その時間、保護者の方は子どもたちと離れて、自分の気持ちをお話したり、子育ての悩みを共有したりしています。
この時間を「月1回のごほうびの時間」だったり、「自分のためのメンテナンスの時間」と捉えている方もいらっしゃいます。
保護者の会では、お話だけでなく、クラフトや手芸、アートなどのアクティビティを一部取り入れることもあります。
何か手作業を入れることによって、お話のトーンを変えて話しやすくしたり、作業に没頭することでリラックス効果があったり、自分と向き合う時間になったりと、さまざまなねらいがあります。
特にクリスマスなどのイベントシーズンには、そのイベントに合わせたアクティビティを行うことがあります。
それは、ただ単に季節感を感じたい、という理由からではありません。
イベントシーズンを感じるアクティビティを行うことで、そのイベントシーズンに向けた心の準備ができるのです。
クリスマスやバレンタイン、父の日、母の日などのイベントシーズンは、グリーフを抱えた人にとっては、必ずしも楽しいイベントではありません。
クリスマスシーズンは、家族団らんや愛情がイメージされた広告や飾りが街中にあふれます。
テレビを見ていても、街を歩いていても、この時期になるとクリスマスシーズンを感じずにはいられません。
すると、「あの人と一緒に過ごしたかったな」など、喪失感を特に感じやすくなります。
父の日や母の日も同様、父母を亡くしている人にとっては、とても過ごしにくい日です。
イベントシーズンは、グリーフを抱えた人々にとっては、ちょっと心が揺れ動くシーズンなのです。
なので、グリーフプログラムでは、あえてイベントシーズンに向けた「準備」を行います。
心が揺れ動く日があることが予想されるのなら、事前に当日の計画を立てたり、準備をしたりすることで、軽減させることができるからです。
この時期であれば、簡単なクリスマスリースを作ることも、ひとつの準備になります。
落ち着いた環境で、自分で材料を選びとりながら、ひとつひとつリースの飾り付けをしていくことで、少しずつ少しずつ、心の準備をしていきます。
自分なりのリースが出来上がったら、持ち帰って家に飾ることで、イベントシーズンの準備をした実感を感じます。何も準備をしていないときとは、気持ちは違って来るかもしれません。
もちろん、やりたくない人や、ちょっと抵抗を感じる方は、無理にやる必要はありません。
ご自身が「やってみたいな」という気持ちになってから行うことが大事だと思います。

ハロウィン用のリースです。
10月の福島グリーフプログラムの保護者の会でリースを作りました。
難しそうに見えますが、材料をグルーガンでくっつけていくだけなので、意外と簡単にできます。
子どものプログラムでも同様、イベントシーズンに対応したアクティビティを行うことがあります。
父の日や母の日には、手紙や絵を描いたり、クリスマスツリーの飾り付けをしたり。
このような「準備」は、大人にも有効ですが、子どもには特に有効だとされています。
11月も後半に入り、もう既にクリスマスシーズンを感じることが増えてきました。
これからクリスマスに加え、お正月、バレンタインなど、さまざまなイベントが目白押しとなります。
心が揺れ動きやすいこの時期、ご自身の心を大事に扱っていただきたい、と願います。