「伊豆戦士バイオレイザー」というヒーローがいる。(らしい)


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私は別に、彼のスーパーヒーローとしてのマイナーさや、その均整が取れているとは言いがたい肉体を問題にしたいのではない。

バイオパーク の正義の味方」という企業資本とのあからさまなフランチャイズも、大人である私は目をつぶろう。


問題は、ここだ。


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なんと彼の所轄地域は、わずかに日本の伊豆半島のみなのだ。

伊豆。我が国を代表する温泉地帯であり、訪れて四季の海産物に舌鼓みを打った人も多いだろう。

だが、伊豆半島の面積は約1,400平方キロ、人口にいたっては47万人強に過ぎない(2005年資料)。

いずれも日本全体の1パーセント以下だ。


それに引き比べ、歴代の戦隊シリーズのヒーローは3人ないし5人、宇宙刑事の面々はわずか1人で日本全体をカバーしている。

バイオレイザーは、同じスーパーヒーローとして果たして彼らに面目が立つのだろうか。


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しかし・・・ふとここで疑問が頭をよぎる。

毎週、ブラウン管で大活躍しているメジャーヒーローと比較するのは、ひょっとすると彼にとって過酷すぎるのかも知れない。

静岡県警と比べてみたらどうだろう。


資料によれば、現在の静岡県警察官の総数はおよそ6千人。

伊豆地方に限っての統計はないが、伊豆と県全体の人口比(12.4パーセント)を考えると、なんとバイオレイザーは1人で警察官744人分の地域を所轄していることになる。

やるじゃないか、バイオレイザー。


だが、ここで再び疑念が頭をもたげる。

いくらなんでも生身の人間と比較するのは、バイオレイザー氏にとってあまりにも不本意かつ不名誉なことであるまいか?

担当地域の広さがすべてではないだろう。そう、所轄区の狭いヒーローと言えば、他にもいる。

この方だ。


どん。


robocop  デトロイト市警より、アレックス・J・マーフィー巡査。現在ロボコップ。


デトロイト市は、人口こそ89万人と伊豆の倍近いとはいえ、市域はわずか370平方キロ。警察管区も6つがあるのみだ。

これらの数字から、バイオレイザーも決して他のメジャーヒーローと遜色ない働きをしていると言える。

さすがは我らのバイオレイザー。


しかし…。

私は忘れていた。何たって、デトロイト市は全米有数の犯罪都市なのである。

10万人あたりの殺人件数は、東京1.0件に対してデトロイト41.8件。強盗に至っては、東京8.6件に対してなんと653.6件である。(2002年資料)分類方法が違うので比較しづらいが、静岡も東京と同じようなものだ。

つまり、バイオレイザーは国土全体の1パーセント以下、治安はデトロイトの40倍良好な区域で、安寧を貪っていたことになる。


彼は何をしていたというのだろうか。

いみじくもスーパーヒーローとして、猛省を促したいところだ。


そして要するに、

静岡県警察官29,760名=バイオレンジャー40人=ロボコップ1人。



……

何だか、図らずも静岡県警の皆様には大変失礼な結論になってしまった。


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地獄で会おうぜ、ベイビー。(映画が違う)