まつやまひろしの“抜けないトンネル”第5回 | ゲーム制作会社 サイバーコネクトツー 松山洋の「絶望禁止」ブログ

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福岡に本社を置くゲーム制作会社 サイバーコネクトツー 代表取締役 松山洋の公式ブログです。
定期的に最新の“思っていること”や弊社で刊行した書籍に掲載したコラムのアーカイブを掲載していきます。

電撃「マ)王2006年4月号コラムより


▼これまでの「抜けないトンネル」コラムアーカイブ
http://ameblo.jp/cc2-piroshi/themeentrylist-10075270773.html


■第5回“おとなしくかっこつけてあきらめんな、
あがいてあがいてダメだったら、そん時ゃ…
にっこり、笑うしかねえけどよ。”



「とりあえず、いいと思えることからやっていこう。
そうすることでしか前に進めないから。」

前作の「.hack」シリーズの主人公・カイトの言葉。
あれから4年たった今も、この言葉が頭の中を反芻することが多い。


2006年2月6日都内某所で「.hack//G.U.」のプロジェクト発表会が開催され、
様々な今プロジェクトの全貌が明らかになりました。


全3巻なのに、ゲームDISCは実は4枚あること。
4月よりスタートするTVアニメ「.hack//Roots」とのクロスオーバー連動のこと。
角川書店から創刊された新雑誌における漫画・小説の5本同時展開。
ラジオ・ネット・カードゲーム・・・様々なメディアで展開されること

が一気に情報として放出されました。


各企業の代表者にもコメントをいただき、前作シリーズを遥かに凌駕する勢いで
大々的に発表された今作。
・・・あれ?“全貌”じゃないな。
まあ、他の情報はこれから順次・・・発表されていきますので。


それにしても今、発表されている限りでもすごいでしょ?
今の日本で考えられる全てのメディアで展開されることになっています。
「.hack」が他のいわゆる“メディアミックス”と違うところ。

よく、言うのは“「.hack」はクロスメディアである”ということ。


“クロスメディア”とは何か?

例えば、すごく人気のある作品があって・・・仮にこれを“漫画作品”としましょう。
これに目をつけた一部の大人たちが、“アニメ”を作ることを考える。
そんでそのアニメがいい視聴率なんかを取ったりしたら、
また別の大人たちが“ゲーム”などの商品展開を考える・・・


これがいわゆる“メディアミックス”というヤツですね。
今まで幾度となく繰り返し行われてきたことですね。

「.hack」が持つ“クロスメディア”というのは、“親”がいないということ。
全てのメディアを同時に制作して、そのうえ
同時多発展開するということなのです。


いまいち、ピンときませんか?
要するに「.hack」は、一番制作に時間のかかるゲームから着手して
同時にアニメやコミック・小説のことも考えて企画を制作していく・・・という
ものすごくダイナミックなプロジェクトなのです。


業界にいる人間であれば、それがどれだけ大変なことで、体力を使う行為で、
無謀なことか想像がつくかと思います。
だって、全然違うんですよ?
ゲームもアニメもコミックも、全て・・・それと作っているクリエイターの人種や文化やサイクルが。
それをひとつにまとめることは本当に難しいのです。


なぜなら、文化が違うということは“別の人種”ということなのです。
違う人種をひとつにまとめる・・・こう言えばなんとなく“難しそう”って感じるでしょ?
そうなのです。
しかも、それぞれの人種には大人たちがいて・・・それぞれに“メンツ”というものがあるのです。
まあ、“プライド”と言い換えてもいいのかもしれませんが。ここはあえて“メンツ”といいましょう。

その“メンツ”が邪魔して、大人たちは結局、手を取り合うことがなかなか
できないのです。



本当ですよ?
ほっとくと、誰も動かないなんてことがあるのです。
誰かが“接着剤”にならなきゃいけないんです。
たくさんの大人たちにかこまれて。それでも前に進むために。
私のこの4年間はそんな毎日です。ずっと、そうしてきましたし、
これからもそうします。


なんでそれができるのかって?

そりゃ、“面白いモノを作るため”ですよ。

その目的の前には“メンツ?何それ?そんなモノ戦場には必要ない”って感じでしょ?
私は毎週、毎月、いろんな人と会って話をします。
脚本家・漫画家・小説家・イラストレーター・出版社・編集担当・アニメ制作会社・TV局・
広告代理店・プロデューサー・プロデューサー・プロデューサー・・・
当然、社内にいるウチのゲーム制作スタッフとも。


勘違いされないようにあらかじめ言っておきますが。
その、いずれもの誰と会って話をしても・・・本当に“楽しい”のですよ。これがまた。本当に。
みんな、考えていること、やろうとしてること、それぞれ違うのです。


だから楽しい。
だから面白いモノが作れる。

本当にこの仕事・この「.hack」というプロジェクトは、“楽しさ”がたくさん詰まっています。
通常ではありえないバランスで。
いつ離れてもおかしくない大人たちがまさに手をつないで歩いているのです。
「.hack」という繋がりで。


そんな奇跡のプロジェクトが装いも新たに。
もうじき“始まろう”としています。準備はいいですか?
このプロジェクトは“生モノ”です。“生きて”いるのです。同時に、この流れに乗ってください。
正直、“あとから”ではもったいないです。

その流れに乗ったお客さんには他では体験できない
“素敵”が約束されます。


まだ、味わったことのない素敵に触れてみたくないですか?
「できればずっと、絶頂を感じていたい。そう考えた時には既に行動してた」
なんてことを考え、身震いをして、笑いながら、

今週も「からくりサーカス」を読むのです。


【ひろしの今月のひと言】

最近の鳴海兄ちゃんは、どうですか?
なんか、ねえ?いいかげん頑なすぎやしないかい?
僕らの知ってる鳴海兄ちゃんなら、とっくにわかりあえててもいいもんなのに。
しろがねもマサルも、そばにいるのに。ああ、もどかしい!って
全国のファンが思ってる んだろうな。

けど、大丈夫。きっとそのぶん、このあとに大きい波がやってくるから。
もう、誰も泣かない・そんな結末そんなクライマックスが待っている。
そう確信させて くれるから。藤田和日郎という作家が私は大好きなのです。

電撃「マ)王2006年4月号コラムより


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