DUMBLEアンプ 3 | おんがく・えとせとら

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 ダンブル・アンプの特長は?


 クリーンとオーバードライブをミックスしたような音、張りのあるクランチ、倍音豊かできめ細かな歪み、よく伸びるサスティン…というようなところでしょうか。音を文章化するのは非常に難しい。

 ギターマガジン2012年7月号に、レネゲイド・クリエイション(Renegade Creation)で新譜「ブレット(Bullet)」を発表したばかりの、ロベン・フォードのインタビュー記事が掲載されていますが、少し引用させていただくと、彼はダンブル・オーバードライブ・スペシャルのサウンドを『ビッグでクリアな低音、パンチがありクリアな中音、クリアだがキンキンしない高音』と表しています。
 音が「クリア」であること、これが一番の特長だろうと思います。

 とりあえず、サンプル音を聴いてみましょう。

■ロペン・フォード「インディアノーラ」(Robben Ford/INDIANOLA)
 2008年の東京JAZZライブから。インディアノーラは、アルバート・キングの生地にしてフォード敬愛のB.B.キングも幼少期を過ごした土地の名(ミシシッピ州)。フェンダー・スーパーリバーブの上にクリーム色のオーバードライブ・スペシャルが見えます。主旋律部分のクリーンっぽい音と中間部のソロのブースト具合の差をチェックしてみてください。
 スピーカーは、最近はセレッション(Celestion)のG12-65を使用。


 

FORD


真ん中がオーバードライブ・スペシャル。左の下にあるフェンダー・スーパー・リバーブを同時に鳴らしている。その上はエフェクター・ループ用のダンブルレイターとt.c.エレクトロニクスのディレイ(しばらく前のセット)。

■スティーヴィー・レイ・ヴォーン「ティン・パン・アレイ」(Stevie Ray Vaughan/Tin Pan Alley)
 こちらは1985年のモントルー・ジャズ・フェスティバルから。レイ・ヴォーンの向かって左手後方に銀色のコントロールパネルのスティール・ストリング・シンガーが見えます。このアンプは、オーバードライブ・スペシャルよりもクリーン感が強いようです。ヒット曲「テキサス・ハリケーン(Couldn't Stand The Weather)」でも聴ける、弦の金属的な鳴りがそのまま出てくる、あの音です。
 スピーカーは、エレクトロ・ヴォイスEVM-12L×4の純正キャビネットも設置されてるようですが、アンプ本体はフェンダー?のキャビネットに乗っかってるのでそっちに接続している?





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スティール・ストリング・シンガーと純正スピーカー・キャビネット。上はイバニーズのディレイ


■ダンブル・アンプの音色分析

 ギターマガジンから1998年に発行された「アンプ・ブック」、その表紙でも紹介されていますが「鈴木茂のハイエンド・チューブ・アンプ徹底チェック!」のコーナーで、ダンブルランド(Dumbleland)の試奏結果が紹介されています。
 ダンブルランドは、レイ・ヴォーンも使っていたスティール・ストリング・シンガーの前身で、本機は1970年代中期から後期の製品とのこと、16年前当時の売価はスピーカーとセットで230万円。今の価格を考えればこれでも安かった?

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 本誌で取り上げられた各アンプには、ストラトキャスターを使用した時の周波数データが示されています。それらのうち、年代的に古い設計のアンプ3種を下に比較で並べてみました(いずれも各トーンコントロールを中央値5に設定)。
 ダンブルで特長的なのは、400~500Hz周辺の中域に大きな谷間があるところ。ミドル・コントロールを極端に絞っているわけではありません。一般的なギターアンプは中低域を強調する傾向があるようですが、それらとは一線を画すドンシャリ系、ハイファイ指向の設計が、冒頭のロベン・フォードの感想にもつながる音を生み出しているようです。ダンブル系アンプはトーンノブをいじっても、それほど大きく音は変わらないようです。