テレキャスター29 /ヴィンテージ・レプリカの実力 その3 | おんがく・えとせとら

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 最近はなかなか更新が進まず、とうとう年が改まってしまいましたが、前々回前回に続いてヴィンテージ・テレキャスター・レプリカについて。
 取り上げる対象の定義がやや曖昧でしたが、基本的にルックスまでヴィンテージに似せてるモノに限定することにしましょう。そういう意味では、前々回紹介したバッカスやフェンダー・ジャパンはちょっと対象から外れてしまいますね。

 さて、フェンダーでいうところのレリック(RELIC)仕様の起源は、ジョン・ペイジ(John Page)がカスタムショップ(CS)のマネージーャーだった1994年に遡るようです。当時、マスタービルダーの一人ジェイ・ブラック(Jay Black)が、友人ヴィンス・カネット(Vince Cunetto)が個人用に作っていた年代モノ仕上げのテレキャスターにヒントを得てペイジに進言し、1995年冬のNAMMショーにプロトタイプを出展してみたところ、これが好評を博し商品化が実現したそうです。
 カネットはその後会社を立ち上げ、フェンダーからカット済みボディ、ネックの供給を受けてレリック加工を担当しますが、99年、CSマネージャーがマイク・エルドレッドに交代し、内製化を進めるCSの方針転換により契約が打ち切られます。
 カネット・レリックが施された95-99年のCS製品は市場では元値の倍近い価格で取引されるなど高い評価を受けているようです。

 ギブソン・ギターのエイジング処理については、トム・マーフィー(Tom Murphy)という強者がいますが、こちらは最初の展示会デモ出展が97年、商品化は98年のヒストリックコレクションから、ということなので、カネットの方が一足先に世に出ているようです。おそらく、カネットの業績はマーフィーにも何らかの影響を与えているものと思います。

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   Vince Cunetto(左)とTom Murphy…同一人物では…ない

Vinetto
 冒頭で紹介したヴィンス・カネットのブランド。フェンダーとの提携解消後、ストラトデザインを混合した独自商品も発表している。ブリッジはグレンデイルのイントネーション補正タイプを採用、法的問題からヘッド形状は変更されている。
 国内には滅多に入荷しない模様だが、過去にSC56(56年型テレキャス)¥398,000の価格設定あり。

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RELICASTER
その名も「Relicaster」。米ニューメキシコの、自称104歳の男が作っているそうだ。取扱経験のある東京のリペアショップFAT-Guitarによれば「ヴィンテージレプリカを製作している工房の中でもRelicasterは特にテレを作らせたらNo1と言われています。Relicasterは現在連絡を取る手段すらなく、新しいギターを製作していませんので、日本はもちろん海外のギターマニアですら見つけるのは困難なギターです。おそらく日本に1本も入ってきていないと思います。」

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Greenwich Village Custom Guitars
 グリニッチ・ヴィレッジ・カスタム・ギターズは、カリフォルニアのジョナサン・ウィルソン(Jonathan Wilson)の手掛けるブランド。国内中古市場で¥348,000の設定あり。新品は5000ドル以上とも。Fenderデカールや純正ブリッジの使用等により、本家から圧力がかかったとの噂も。こちらも現在の生産状況は不明だそう。

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Big Tex Guitars
 ZZトップのビリー・ギボンズが使ってた、フロントPUキャビティを剥き出しにしたテレキャス(エスクワイア?)、アレで一躍有名になったブランド。主にローラー(Lollar)のピックアップを搭載しているようだ。
 同社HPには日本の代理店としてゼンブジャパン(大阪)が紹介されていて、最近は国内でも取扱店が増えているようだ。販売価格は30万円弱。こちらも、法的問題からか最近作についてはヘッド形状が変更されている模様。

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