テレキャスター27 /ヴィンテージレプリカの実力 その1 | おんがく・えとせとら

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 ちょっと古い話になりますが、今年3月のシェリル・クロウ&ジャクソン・ブラウンのジョイント・ライブについて、プレイヤー誌のコンサート・レポートで使用ギターの紹介がありました。その中で、本家Fenderに混じって掲載されていたのがNash Guitars製テレキャスター。
 以前、フェンダーからジェフ・ベック・エスクワイア・モデルが発売された折りに、まさに「桁違い」の価格比較ということで同社の製品を取り上げたことがありましたが、このナッシュ・ギター、最近米国プロの間にも愛用者が広がっているとか、ホームページにもリストが掲載されています。
 国内ではなかなか現物にお目にかかれませんが、一度、某楽器店にリオ・グランデPUを装着した中古が展示してあり試奏するチャンスがありました。ネックの手触りもよく、ボディも軽い。カラリとして張りのある音はなかなかいい感じでしたが。使い古した風の外観には賛否あるかもしれませんが、ほど良く角のとれたネックの感触などはgoodです。

 …ということで、デザイン・構造がシンプルで比較的真似しやすいと思われるテレキャスターについては、ナッシュ以外にも、外観ソックリ賞のヴィンテージ・レプリカ(あるいはクローン)メーカーがたくさんあるようです。
 しかし、その音は、いったいどのくらい本物に近いのか。ちょいと聴き比べをしてみたいと思います。(いずれもYouTubeからの引用です。PUを交換しているものも結構あるようです。…というか、個人ビルダーの場合、基本的には市販のリプレイスメントPUを選択して搭載しているケースが多いようです。Lollar(ロラー)あたりの人気が高いようですね。)

■Fender 1950 BROADCASTER
 まずはオリジナル。スモーキン・ジョー・ロビンソンの弾くブロードキャスターの音。SJロビンソンはオーストラリアの若干19歳のプロギタリスト!
 音は至って普通…という感じだが、この普通の音を出すのが結構難しい。生の鳴りに近い音が出せるというのは結構重要な要素である。鍵盤楽器のピアノの名称は正しくは「ピアノフォルテ」、小さな音から大きな音まで出せる楽器。ピアノはもちろん弱音のことで、これをきちんと表現できる楽器が優秀である、というのと同じことか。安物のギターのクリーンサウンドは、大抵しょぼい。


■Fender 1956 TELECASTER
 オールオリジナルの1956年製とある。外観はきれい。ヴィンテージ・テレキャスの音というと、この音の感じではないだろうか。フロントPUの、いくつかの周波数帯域が適度に間引きされたザラついた感じ。若干ドライブさせた音の方が特徴がよく出るように感じる。リアPUはトレブルの痛くない音。


 さて、お待ちかね。ここからヴィンテージレプリカ。

Nash Guitars
 ビル・ナッシュによるJベック・エスクワイアのレプリカ。これは凄い! 攻撃的。ギターの音はもちろんアンプによって随分変わってくるが、ここではVOX AC-30が使用されているとのこと。セレクタースイッチは、フロント側がトーン"0"、センターがノーマルなトーンコントロール可、リアがトーン・バイパス。塗装の剥がれなど、フィニッシュはやや無理矢理な感じがある。


Danocaster  
 ダノキャスターは、テネシー州ナッシュビルのメーカー。米本国では割と愛用者が多いようだ。この映像は、フリーキッシュ・ブルース・ベティ嬢による…いや、これはブースターの商品名らしい…そのクリーン・ブースターのデモらしいが、リズムギターがなかなかええ感じ。アンプはマーク・ノップラー、ウォルター・ベッカーも愛用のラインハルト(Reinhrdt)。他にもいろんなアンプが並んでいる。


Jeff Senn
個人ビルダーによるテレ。アンプはスプロ。お値段は2500-2600ドルとのこと。


Bacchus
ディバイザーのバッカス・ブランドのテレキャスター。「lawsuit(訴訟モノ)ヘッド」との解説がある。現行品にはフェンターヘッドでのバタースカッチ・フィニッシュはないので、少し古い製品かもしれない。ただし、PUをロラー、ブリッジをグレンデイルに交換してあるとのこと。アンプはビクトリア。音だけ聞くと若干ヌケてない感じはするが悪くない。私もベースを使っているが、バッカス製品は値段の割には良質な感じ。


Fender Japan
 現行品のTL-52/VNT。定価87,150円。PUは日本製TLヴィンテージ。アンプはブラックスター。新品のギターの音だなぁ。試奏が大人しすぎ!


Fender Mexico ROADWORN
 フェンダーではカスタムショップじゃなくても、レリック仕様が入手できる。ロードウォーン・テレキャスターは実売価格10万円台。(円高差益還元のせいか?) 太めのフレットの採用など今風のアレンジも。
 音は…弾いている本人があまり納得してない様子も…。PU出力はオリジナルよりもやや高め。