残酷な神が支配する/萩尾望都 | 元漫画少女の雑記帳

残酷な神が支配する/萩尾望都


割と最近の作品ですが、実はこの作品が私にとって

初・萩尾作品だったりします。


大好きな青池保子さん、山岸凉子さん、神坂智子さん

等もそうでしたが、萩尾望都さんも最初は絵が苦手

で、気になりつつも読めずにいたのでした。


そんな時たまたまこの本を見つけ、タイトルにとても

惹きつけられて買ってみて・・・ハマりました。


正直楽しんで読める作品ではありません。

だって児童虐待の話だもん・・・。

母親の再婚相手に虐待される少年の話。

こんな題材だから始終暗くて・・そしてリアルな長編。

読んだ後は憂鬱な気持ちになりますが、それでも

被虐待者であるジェルミという少年と、義兄である

イアンを応援し、完結後の物語をつい想像してしまう

という、ふかーーーい話なのです。



主人公は母親と2人暮らし。父親は亡くなっています。

この母親は少女のようなところがあり、いまいち頼りに

なる肝っ玉母ちゃんではありません。

もし肝っ玉母ちゃんなら母親は再婚しても物語は

案外明るい方向に流れて行き、こんなに長く続かなかった

かもしれません。


そう。鍵は母親の存在。


この少女のような母親が出会ったのは、妻を亡くした

中年男性・グレッグ。

最初は優しいおじさんだったグレッグには裏の顔が

ありました。

この裏の顔はジェルミだけに見せます。


再婚前にホモでサドというとんでもない性癖を

彼女の息子に押し付けるヘンタイジジイ。


しかし、少年が拒否すると上手い話を作って

母親を苦しめ、遂には自殺未遂にまで追い詰めます。


母親が大好きな少年はそんな母親を見て、自分が

犠牲になる事を選びます。

ヘンタイジジイの相手という犠牲。


やがて彼らは再婚し、アメリカを離れグレッグの家がある

イギリスに渡ります。

そこには義兄と義弟、前妻の姉がいました。

彼らがいる屋敷で夜間行われる性的虐待。

誰も・・母親でさえも気付かない。

そして主人公の心はズタズタに壊れていきます。



すごいでしょう・・・。これが始まり。

ここから心が壊れた少年と、義兄の話へと移ります。

義兄までも闇に引き込まれ、もがき続けます。

出口は全く見えない闇の中、まさに残酷な神に

支配されている兄弟たち。


本当の残酷な神とは・・・


この謎が解けてきた時、鳥肌が立ってしまいました。


とても暗くて怖い話なので、気分が凹んでいる時は

読むことはオススメ出来ません。

かといって元気な時でも読後はどんよりしてしまったん

だけどねっ(苦笑)


そしてこんな暗い話なのに、途中で放り出すわけには

いかなくなってしまう。

大人によって心を壊された子供の結末が気になって

仕方なくなる麻薬のような作品です。

 「残酷な神が支配する」イラスト集


残酷な神が支配する 文庫版 全10巻


面白そうなので参加してみた

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