「ラリサ・ミハイロフ」(はいからさんが通る) | 元漫画少女の雑記帳

「ラリサ・ミハイロフ」(はいからさんが通る)

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「はいからさんが通る」にも美形の名脇役たちが多数

登場します。


さらに男性の美形たちはみんな揃って主人公の紅緒の

事が好きだけど紅緒は少尉一筋で、その少尉も満州で爆撃を

受け、記憶喪失になり・・とマジメに考えると悲劇的な要素も

たっぷりなのですが、それは主人公やお貞というユニークな

キャラクターたちがカバーして、笑いあり涙ありの名作となりました。

そしてこの作品には主人公たちの恋の障害として登場しながらも

実はとても人間らしくてそして立派な女性たちが登場します。

一人は紅緒の親友である北小路環。

初めは少尉に憧れていましたが、紅緒と彼が婚約した(させられた)

後は、意外と短期間であっさりと諦め以降ずっと彼らの理解者として

傍に居続け、やがて少尉の部下を追いかけて日本を離れた格好いい

女性です。


更にもう一人。

こちらは少尉と紅緒のファンからは嫌われていそうですが、少尉を

戦場から救い出し、彼が自分の夫サーシャ(ロシア人。少尉とは

母親が同じ兄弟。少尉は父親が日本人のハーフ。)

にあまりに似ていたので、彼を夫の代わりにしてしまったロシア人女性。

子供の頃読んでた時は邪魔者として嫌いな存在だったのですが

大人になって読んでみると決して憎めないし、かわいそうな人なんだと。

さらに穴場の関東大震災のシーンでは・・正直うるうると来て

しまいました。

彼女はロシアの貴族の娘で内気な性格。

女の子たちに人気のサーシャをこっそり見つめているような、

奥ゆかしい少女でした。

ところがこのサーシャと結婚する事が決まり、幸せいっぱいだった時

ロシア革命・・・。その時多数の貴族たちが殺されたそうですが、

彼らはなんとか脱出します。

なのに軍人だったサーシャは彼女たちを守るために囮になり

そのまま・・。


彼女は彼の母親(少尉の母でもある)とも別れてしまい、一人で

彷徨っていた時に偶然被弾して息も絶え絶えになっていた少尉が。

そして記憶がなかったので「サーシャになってもらった」のです。

その為に紅緒をはじめ伊集院家の人たちは、彼が戦死したものと

悲しい思いをしたたし、大変罪深いことをしてしまったのだとは

思うのですが・・・彼女の側として考えると、彼女の行為はただ

悪だとは決して思えません。いや、悪い事ではあるんですけどね。。

憧れの人とやっと結婚してこれからという時に革命・・。

彼は自分たちを守る為に死んでしまう。

更には家族とも生き別れ、貴族の大人しいお嬢様がたった一人で

大陸を彷徨い続けていた時に出会ったのが愛しい男と瓜二つの人。

状況考えるとね・・・。

彼の記憶が戻った時は異国の地だったし、なかなか

「じゃあ実家に帰れ。さよなら」なんて言えないでしょう。

しかも結核にまでかかってしまって・・・。
まだラリサが強い人ならそうしたんでしょうけど、彼女はとても弱い人。


それでも地震の時自らを犠牲にして少尉を救い、紅緒の元に行って

詫びて欲しいと涙を流す・・・。

単純なのかもしれないけど、彼女も強くなったんだなと思いました。

物語としても彼女の存在は重要だし、悪に徹し続ける事も出来ない、

だけどもう孤独になるのは恐ろしい弱い女性。


そんなわけで実は私はラリサさんも好きなのです。

私にとって「名悪役」というのは考えたらいないかもしれん。

「クソ悪役」ならいるでしょうけど。


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