そして5回の鈴が鳴る/篠原千絵 | 元漫画少女の雑記帳

そして5回の鈴が鳴る/篠原千絵

ちりん ううう。。あっさりと人が死にすぎ・・。

「闇のパープル・アイ」などの篠原千絵さんの短編集。

描かれた時期がどれもパープルアイの頃なので、当然

絵柄もそんな感じ。

だから、懐かしの倫子や麻衣、水島くん等と同じ顔をした

人たちがわらわらと出てきて、パープルアイ好きな方と

してはちょっぴり嬉しい1冊かも。

「訪問者は真夜中に」



【あらすじ】

ある夏の日、合宿から帰宅した真沙実は室内に不審な男達が

いるのを発見。彼らはセールスに来たといそいそと出て行った。

家にいるはずの母親と弟は夜になっても帰ってこない。

1人で帰りを待っている所から不可思議な事が起こる。
帰宅していた母親と弟になんとなく違和感を感じながらも

同時になぜか命を狙われる真沙実。男達は一体何なのか。

【ひとこと】

とても不思議な話でした。

言うならば「あなたの知らない世界」とか、はい!ゴローさん

(・・の番組ってまだやってんのかな??)とかの

実際に起こった怖い話系でも出てきそうな話だという印象。

んでもって篠原さんの描く幽霊っていつ見ても怖い・・。


「そして5回の鈴が鳴る」

【あらすじ】

愛子が偶然拾った鈴には悲しく恐ろしい秘密があった。
鈴が鳴る時、殺人が起きる。

殺したのは愛子?!それとも?!

【ひとこと】

気付いたら服に血がついていて、被害者が普通じゃ

考えられないような殺され方をしていた・・・

というパターン。まるで初期のパープルアイのよう

ですが、別に主人公は豹等に変身するというわけでも

ないです。

ラストは正直拍子抜けではあったけど、幽霊の女性って

意外と潔くていいオンナじゃないかと思った。。。うん。

「優しい殺人者」

【あらすじ】

片思いの相手が殺人を犯している所を偶然目撃してしまった

あゆみ。

その場に渡そうとしていた彼への手紙を落としてしまった事により

執拗に命を狙われる事になってしまう。
本当にあの彼は殺人者なのか・・。

【ひとこと】

以下、ネタバレです。

犯人は片思いの相手の双子の兄弟だったという

ある意味典型的なオチなんだけど、その犯人兄弟の

名前が「優」「勝」。。親は何に期待していたんだろう。

と、全然関係のない事が気になっちゃっただよ。

スポーツでもやってたんだろうか。
・・とまあそんな感じ。



「目撃者にさようなら」

【あらすじ】
変態教師に暴行されそうになった遼子。

咄嗟に近くにあった鉄の杭で頭を殴打し、その結果

変態教師は死んでしまった。

現場から立ち去る所を通りすがりの男に見られ・・・。

【ひとこと】

通りすがりの男が水島慎也くん・・というわけじゃないけど

顔や髪型がそのまんまなのはファンサービスなのかな。
主人公は殺害現場に戻って証拠消しをしたり、

目撃者である慎也似の青年を殺そうとするんだけど、

・・・カタギじゃないわあ。。度胸があり過ぎるな・・と。


「冬の花は鎮魂歌」

【あらすじ】
親友の亜美が事故死したと聞かされた真理子。

特別に焼香させてもらい、こっそりと親友の顔を見ようと

すると、棺桶の中は空だった。

そして彼女はとんでもない実験の被験者に・・・。

【ひとこと】

この舞台となる病院の医者は1人を除いて曽根原薫子系。

早い話トンデモな人体実験を秘密で行っていたりする。

つくづくマッドサイエンティストって怖いわあ~。

しかも医者なのに普通に拳銃持ってるし・・。密売品?


「クリスタルドール」

【あらすじ】
21番目の彼女とデート中だった和也は不思議なものを

見てしまった。

それは電極をつけられた女の子の死体。

翌朝、その21番目の彼女が事故死した事を知った上

舞台となる大学では人造人間(アンドロイド)の研究が

行われている事を知る。あの少女がアンドロイドなのか。

【ひとこと】

これにはCIAのスパイが出てきます。

だけど諜報活動をしているというわけではなく、護衛みたい。

サングラスにスーツに新聞紙に銃・・と出てきて、やっぱり

これがスパイのアイテムなのねとなぜか変に納得。
スパイが普通に研究室の電話に出ていたのは・・・

ちょっと面白かった。



「眠る街」

【あらすじ】

何の変哲もない開発中の住宅地が異変に襲われていた。

偶然ここに来た大学の弓道部員たちは、その異様な

街の様子にうろたえる。やがてその部員たちもバタバタと

死んでいく。一体何が起こったのか・・。

【しりとり】

ある意味「海の闇月の影」の原型でもあるかなと思った。

実際はあの話のような太古のウイルス云々は関係ないけど。
ところで、200メートル近くありそうなビルに火のついた矢を

飛ばせるってすごいなあと・・・ううう。。


「赤い伝説」


緋紗子のおさなじみ「のりくん」は時々何かがとりついた

ように人格が変わることがあった。
それには深くて悲しい秘密があった。

【ひとこと】
これがデビュー作です。

昭和56年の作品ですが、絵の系統としては篠原さんは

今もそんなに激しくは変わってないんだなと実感。
古代史が好き(らしい)篠原さんの趣味全開!

楽しく描いたんだろうなあ。


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と、以上8編収録されています。
今読み返して思わずつっこんじゃった部分もあるけど

改めて篠原さんの短編も面白いじゃないかと思います。

まあ・・「赤い伝説」以外はあれよあれよと人が殺されて

ばかりいくんだけど、考えたら篠原作品はそういうのが

多いですもんね。「パーブルアイ」も「海闇」も一体

何人死んでしまったんだろう・・・野暮な事は考えまい。


「そして5回の鈴が鳴る」篠原千絵 (文庫版)