先日、C.R.D.O.Brandy de Jerez関係の
セミナーがあったせいでしょうか、
ここ数日、シェリー・ブランデーの
お問い合わせや、
ブログのアクセス解析で
ヒットが増えましたね・・・

【シェリー・ブランデー】
Sherry Brandy

とは

ブランデー・デ・ヘレス
Brandy de Jerezとも申しまして、

シェリー酒の産地である
ヘレスJerez de la Fronteraと
その周辺で造られる
ブランデーBrandyの総称です。


$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-brandydejerez

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一般にブランデーと言えば、
フランスのコニャックが
あまりにも有名ですが、

スペインのブランデーは
フランスより古い歴史があり、
歴史的経緯から言えば、
フランスのブランデー技術は
スペインから伝わったものだとされています。


まず、ブランデーとは、
基本、葡萄由来の原料で
アルコール醗酵したものを
単式ないし連続式*で蒸留し
樽熟成させたもの指します。

ブランデーという言葉は
俗にオランダ語でワインを焼くことを意味する
ブランド・ウェインBrandewijn
という言葉が訛ったとされていますが、
さらに遡れるとする説もあります…

*19世紀以降

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ま、一般的な説明はさておき…

代表的なコニャックと
シェリー・ブランデーの違いを
挙げておきましょう。

< コ ニ ャ ッ ク ><シェリー・ブランデー>
フランス     国     スペイン
中西部   地 域   南西部
石灰質 葡萄栽培土壌 石灰質
17世紀   歴 史   13世紀*
1938年  原産地呼称  1987年**
ユニブラン他   葡萄品種   ア イ レ ン他
酸 味 が 強 い   酸 味   酸味が殆どない
12度  平均気温  17.3度
6 9 0 ㎜ 年間降水量 500㎜***
単 式 蒸 留  蒸 留 法  単式&連続
リムーザン・オーク    樽 材    アメリカン・オーク
2 2 8 ℓ    樽サイズ    250-600ℓ
新 樽 & 古 樽     熟成樽    オロロソ他の空樽
単一樽&バッティング  熟 成 法  ソ レ ラ・シ ス テ ム
香り高く華やか   仕上り香味   柔らかくラム酒様  
4 0 度   アルコール度数   36-40度
☆☆☆,VO,VSO,VSOP,Napoleon,XO等  等 級  Solera, S-Reserva, S-Gran Rserva等


*公式(市役所)記録は1580年
**名称の固定は1967年
***アイレンの栽培地域であるラ・マンチャ

$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-copas
(Web:Brandy de Jerez)

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フランスのコニャックが
どこか上品・高級・食後酒のイメージが強い中、

シェリー・ブランデーは、
気軽・日常・食中なお酒で、
特にソレラ・クラスは他の
ホワイト・スピリッツ系同様、
ロックや、ソーダ割り、コーラ割りなど、
場合によっては朝から飲まれています。


注)スペインではコーヒーに
ブランデーを入れた
カラヒージョという
カクテルも有名ですが、
日本で手に入るコーヒーには
合いませんのでご注意!
何故合わないかはいずれまた…

五反田Bar "Sherry Museum"では
シェリー・ブランデーが
30種類以上ございますので、
ご興味ある方は是非お試し下さい!


今でこそ飲酒運転が
厳しくなったスペインですが、
かつてドライブ・インには
ブランデーのミニチュア・ボトルが
(もちろん、飲料用…)揃っている
というのが実情でした。
事実、シェリー・ブランデーは
かのヘミングウェイが日に
一本空けるくらい気軽で、
飲み易いものですのでね…

ただ、味わいも、その葡萄品種特性から
決して香り高いものではありません。

ただ、シェリー・ブランデーの場合は
シェリー酒の空樽を用い、
ソレラ・システムという
独特の熟成を踏むことで
原料とは異なる葡萄由来の香りで
立派に補っています。


17世紀に盛んだった植民地時代…
フランス領のラム酒は
フランスのブランデーが手本で、
(でもコニャックではない…
何処かはまたいずれ…)
イングランド領のラム酒は
スコッチ・ウイスキーが手本、

そしてスペイン領となった島々で
造られたラム酒は、
シェリー・ブランデーが手本だったと言います。

今の日本ではスペイン領のラム酒の方が
馴染があるせいか、
シェリー・ブランデーは
ラム酒みたいと形容されますが、
それはある種、
本来の味わいの特徴をとらえたもの
とも言えますね。

そうそう、
かつてスペイン領だったキューバでは、
煙草の製造・販売が
自由化(1821年)になる前までは、
キューバ産の葉巻用煙草葉は、
一度スペインのセヴィリアに納入され、
そこで加工されてから、
税金が乗っけられて輸出されていたので、
(ここで生まれた話が、
かの「カルメン」舞台は煙草工場でしたね。)

carmen. カルメン[DVD]/パス・ヴェガ主演


葉巻とのマリアージュは
コニャックやウイスキーに
すっかりお株が奪われてしまいましたが、

歴史的には、葉巻には、
シェリーかシェリー・ブランデーが
合わされてきた
歴史の方が長いんですヨ!


実際、スペインでは
今でもそれが当たり前で、
葉巻・シガリロ好きなオヤジ達は
そうしています!

それに、そもそも
ヨーロッパ人で初めて煙草を吸った人も
コロンブス探検船の斥候の一人で
ヘレス出身の
ロドリゴ・デ・ヘレスでしたしね…

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よく、解らない・・・もっと簡単に…という方は
シェリー・ブランデーとは?基礎編
をご参照ください。