$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-venetian

お盆休みを利用して六本木東京ミッドタウン内の
サントリー美術館で開催されている
「あこがれのヴェネチアン・グラス」展
に行ってきました。

開催は2011年8/10から10/10(休館:毎週火曜)までです。
行けそうにない、行けなかった方は、こちらのBlogか、こちらのBlogを参照のこと。

ヨーロッパの中世から近世への転換期である「ルネサンス」をスタートに
近世の「啓蒙思想」前後に見られるグラスの変化を

・ヴェネチア
・ネーデルランド
・イングランド

を中心に、その芸術性の奥に見え隠れする
キリスト教を中心とした宗教的要素を
様々な作品を通して見ることが出来ます。

また中世のヴェネチアとネーデルランドの関係、
近世のネーデルランドとイングランドの歴史的関係も視野に入れながら
想像をめぐらして展示物を見るのは非常に有意義な時間でした。

中でもグラスで興味深いのは、上記ポスターにもある
数々の「レース模様」でしょう。

この展示会の中では説明されていませんが、
レースやレース模様は「流れ」や「動き」、
そして「連続性」や「永遠」という意味合いがあり
多く用いられたモチーフです。
この辺の話はダヴィンチ系の本にも出てきますね…

もちろんこの意味合いを持つのはレースだけではなく、
「ドラゴン*」や
$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-glass2
「ツイスト・ステム」↑にも見られます。
上記写真は自由が丘Cupika-glassさんから拝借
2011/9に自由が丘にお店がOPENするようです!

他にも18世紀スペインの
$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-porron
町田市立博物館蔵:同展カタログより拝借
「ポロンPorro」↑や
$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-cantir
町田市立博物館蔵:同展カタログより拝借
「カンティールCantir」↑、
(いずれもカタルーニャ圏の酒回し飲み器)

また中でも目を引いたのは
$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-almorratxa
町田市立博物館蔵:同展カタログより拝借
「アルモラータAlmorratxa」↑
と呼ばれる香水播き瓶でした。

因みに播いていたのは薔薇水だそうで、
蒸留法と香水を伝えたイスラム文化を古くから受け継いだ
スペインならではの展示品に感動しました。

*ドラゴンはエジプト文明で見られるものや日本(しめ縄)のそれと同様、
「動き」や「力」、「夫婦」を象徴するもので、
多くの文明でそうであるように「蛇」でも良かったのでしょうが、
ギリシャ神話では蛇は、アスクレピオス的で良くても、
キリスト教的には蛇は、サタン的でダメだったのでは…
と思います。

で、今回の展示内容とは重ならなかったので、無かったですが、
このレース模様の考え方やデザインは、
やがて「カット・グラス」へと受け継がれていきます。



他にも、今回、個人的に感動したのは
「ディドロ、ダランベールの『百科全書』」もあった事です!
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$Sherry Museum館長[中瀬航也]のオフィシャル・ブログ-百科全書2
左がディドロ、右がダランベール

もちろん展示目的から本の展示内容は「ガラス/グラスの製造工程」でしたが、
当たり前のようにグラスを使う今、大事に使わねばと思ったと同時に、
この大震災の後に、この割れやすい展示物の数々が、
よくもここまで揃ったなと、改めて感動したしだいです…

コーヒー・カップ同様、グラスもハマりそうで危険ですネ(汗;