こんにちは
私は、通勤している電車の中でいろいろな本を
読むのですが、先日、グラフィックデザイナー
として活躍されている原研哉さんの著書 「 白 」を読みました。
( 持ち歩いていたので少し表紙が破けています)
書の鑑賞と通じるところがあったのでご紹介したいと思います
『 白は感受性である。
白があるのではない。白いと感じる感受性が
あるのだ。だから白を探してはいけない。
白いと感じる感じ方を探るのだ。白という
感受性を探ることによって、僕らは普通の
白よりも もう少し白い白に意識を通わせる
ことができるようになる。
そして、日本の文化の中に、驚くべき多様さで
織り込まれている白に気づくことができる。 』
こんな文章から始まる一冊。後で知ったのですが
なんと東大の入学試験にもなった本とか。
水墨画や茶室など さまざまな角度で 「 白 」ついて書かれているのですが、
よく考えるとても難しくきちんと理解できているのか少し不安・・・。
「 白 」 原研哉 中央公論新社
しかし、長谷川等伯の松林図の「 空白 」について、コミュニケーションの
コンセプトとしての重要な側面があるという点は書との共通点を感じ、
すんなりと頭に入ってきました。
なぜなら普段から感じていることだからです。
書は、水墨画と同様に真っ白な和紙に黒の墨で
表現するモノクロームの世界です。そして、
その書(黒)と余白のバランスは、
美しく研ぎ澄まされている書線だからこそ一層引き立ちます。
書を鑑賞する時、余白は私たちの心の中に、
イマジネーションを広げます。
その情景(イマジネーション)は鑑賞する人
一人一人の心の中で異なり、さらには、
見る時々によって変化もするのですよね
つまり制作者の創作した作品(余白)と鑑賞者で
ある私たちが、コミュニケーションをしている。
なんて面白いと思いませんか
これこそが日本の美意識であり、
書を観る(飾る)楽しさであると思っています。
このブログを書きながら、部屋に飾ってある
作品「 風 」をふと眺めると、その美しい余白に、
優しい風がそよぐ草原の景色が広がりました。
その景色は、小さな頃に行った長野の草原なのか、
景色が心に広がるとともに、いろいろなことが思い出されます。
こんな風に書を眺めると、いっぱいいっぱいの頭にちょっぴり余白が
できる感じがするのです
ぜひ、小さな作品からでも、お部屋にひとつ書を飾ってみませんか