五風十雨
五日ごとに風が吹いて、十日ごとに雨が降る。
稲作にほどよい天候だという。
五日ごと、十日ごとという間隔はどうやって計ったのか?
それは長い長い年月を経た人間の経験によるものだろう。
曖昧でいい加減に思える日本人の感覚も、
意外に数値で表されるものが多い。
たとえば八十八夜や二百十日など、日数を指折り数えては、
種まきや台風への備えも怠らない。
88や210といった数は、立春から数えて88日目の夜、210日目の意味。
「 夏も近づく八十八夜 」 は茶摘みの唄でもよく知られ、
二百十日は9月1日前後で台風シーズンの到来を告げ、厄日ともいわれる。
雨や風は、できることなら避けたいけれど、
農作物にとってはなくてはならない大切な自然の恵み。
ほどよく吹いたり降ったりしてほしい。
最近では、ゲリラ豪雨や突風の被害もよく耳にする。
「 風よ、凪げ! 」 と、 「 凪 」 の一文字に祈りをこめる。
ちなみに 「 凪 」 という漢字は、日本で創られた国字である。
日本人の自然への祈るような思いが伝わる。
書: 清水 恵