第5回産業競争力会議議事要旨  一部抜粋 | ワンコイン健診「ケアプロ」川添高志のブログ

第5回産業競争力会議議事要旨  一部抜粋

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai5/gijiyousi.pdf



第5回産業競争力会議議事要旨
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(開催要領)
1.開催日時:2013 年3月 29 日(金) 18:30~20:05
2.場 所:官邸4階大会議室
3.出席議員:
議 長 安倍 晋三 内閣総理大臣
議長代理 麻生 太郎 副総理
副議長 甘利 明 経済再生担当大臣兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
同 菅 義偉 内閣官房長官
同 茂木 敏充 経済産業大臣
議員 山本 一太 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)
同 稲田 朋美 内閣府特命担当大臣(規制改革)
同 秋山 咲恵 株式会社サキコーポレーション代表取締役社長
同 岡 素之 住友商事株式会社 相談役
同 榊原 定征 東レ株式会社代表取締役 取締役会長
同 坂根 正弘 コマツ取締役会長
同 佐藤 康博 株式会社みずほフィナンシャルグループ取締役社長 グループ CEO
同 竹中 平蔵 慶應義塾大学総合政策学部教授
同 新浪 剛史 株式会社ローソン代表取締役社長 CEO
同 橋本 和仁 東京大学大学院工学系研究科教授
同 長谷川閑史 武田薬品工業株式会社代表取締役社長
同 三木谷浩史 楽天株式会社代表取締役会長兼社長
臨時議員 下村 博文 文部科学大臣
同 田村 憲久 厚生労働大臣
同 石原 伸晃 環境大臣

鈴木 俊一 外務副大臣

(議事次第)
1.開 会
2.国際展開戦略について
3.クリーンかつ経済的なエネルキー需給の実現
3.健康長寿社会の実現
4.閉会

(配布資料)
○ 「次元の違う国際展開戦略」に向けて(秋山議員)
○ 国際展開戦略について(佐藤議員)
○ 国際展開戦略について
○ クリーン・経済的なエネルギー需給実現(佐藤主査)
○ 茂木経済産業大臣提出資料
○ 石原環境大臣提出資料
○ 健康長寿社会の実現(佐藤主査)
平成 25 年第5回産業競争力会議
2
○ 田村厚生労働大臣提出資料
○ 下村文部科学大臣提出資料
○ 規制改革会議の活動報告(3月後半)
○ クリーンで経済的なエネルギーの実現のために



○ 健康長寿社会の実現
(甘利経済再生担当大臣)
引き続いて、「健康長寿社会の実現」について議論を行う。このテーマについて、去
る3月 22 日に開催したテーマ別会合で民間議員から指摘のあった主な論点について簡
単に紹介する。

 医療分野における研究開発の司令塔である「日本版 NIH」の設置をすべき
 再生医療の制度整備や医療機器の承認の迅速化等に向けた法的対応が必要
 ICT を活用した医薬品販売や、医療関連情報の電子化・共有・活用の推進が必要
 予防や健康増進の取組に対するインセンティブ付与の検討が必要。
本日の会議においては、主に関係大臣からの御意見を伺い、議論を深めていきたいと
思っている。

(佐藤議員)
健康長寿社会の定義は、 ①「国民が健やかに生活し、老いることができ、医療関連
産業の活性化により世界最先端の医療がリーズナブルなコストで受けられ、更に病気や
けがをしても良質な医療へのアクセスを通じて、直ぐに社会復帰ができる社会」、②「国
民の健康長寿が経済成長に繋がる社会」である。
提案の中身としては、一つ目が、国民が健やかに生活し、老いることのできる社会と
して、健康寿命アップによる医療費削減、健康であることによる労働生産性上昇、高齢
者労働力の活用、海外展開といった様々な観点で予防医療の強化が重要。具体的には、
テレビ会議などの ICT を活用した健康診断や、自分で OTC 医薬品を購入するセルフメデ
ィケーション促進、中長期的には、インセンティブ付与として、保険組合の負担割合、
社会保障負担の削減に向けた自己責任の範囲の在り方の考察も必要。
二つ目が医療関連産業の活性化、世界最先端の医療が受けられる社会の構築。まず何
と言ってもライフサイエンス分野の研究開発の司令塔としての日本版 NIH を前に進めて
実施してほしい。その際に、予算の運用の一元化、あるいは独法の予算の削減からの除
外など具体的な提案を進めてほしい。再生医療制度整備の法案、薬事法改正については
今国会で成立させてほしい。PMDA 体制強化として、審査員の大幅増員、民間人材の活用、
レベル向上についても待ったなしで進めていただきたい。医療関係情報の電子化・共有・
活用の推進も時間がかかるかもしれないが、前向きに進めていただきたい。
三つ目が良質な医療へのアクセスを通じて直ぐに社会復帰ができる社会へ向けてと
いうことで、電子処方箋の活用に向けてぜひ前向きなご検討をいただきたい。
四番目は、国民の健康長寿が成長につながる社会。これについては、高齢者の健康関
連消費に対して「ヘルスケアポイント」を付与し、将来の介護サービスの受給権と結び
つけるとしているが、難しいという話もいただいている。受給権との結び付けにはこだ
わらないが、様々な形で財政負担を意識しない形を作れるのではないか。日本型予防シ
ステムの確立と世界への輸出については、医療機関等が海外で具体的案件を組成するこ
とを支援する組織や体制を強化すること、医療機関の海外展開に当たって海外の現地法
人に出資できることの明確化といった環境整備でインフラ輸出の基軸に据える戦略を明
確にしてほしい。

(田村厚生労働大臣)
健康寿命の延伸と関連産業の育成のため、医療関連イノベーションの一体的推進、予
防の推進等による健康長寿社会の実現の2つを柱として、それぞれ3つの具体的な方向
性をもって取り組んでいく。
医薬品・医療機器等の開発について、実用化にうまくつながらない現状を打破するた
め、基礎研究から審査・薬事承認までそれぞれの段階で支援を強化し、革新的な医薬品・
医療機器を迅速に実用化する。特に、研究活動や臨床研究の司令塔機能を強化・拡充す
ることが必要と考えており、ライフサイエンス研究費を拡充しつつ一元化し、予算の執
行、評価・PDCA、臨床研究・治験の推進を一元的に行う日本版 NIH の設置を検討してい
く。
iPS 細胞等を活用した再生医療は関係法令が整備されていない状況にあり、安全性・
倫理性を確保しながら、実用化を加速させる必要がある。このため、再生医療製品の特
性に応じて、早期承認制度を導入するとともに、細胞培養加工について民間委託を可能
とする。また、医療機器も、その審査を民間の力を借りて迅速化させるために、薬事法
改正法案と再生医療新法案を今国会に提出したい。
アジアなどの新興国での医療・介護ニーズの高まりを踏まえ、医療技術と医療機器等、
更に制度まで含めれば競争力が高まるが、これらをパッケージ化して、戦略的な国際展
開を図るための体制を作り、関係省庁とも連携して更なる取組を推進していく。
2つ目の柱である「予防の推進等による健康長寿社会の実現」は、生活習慣病とその
重症化の予防が、国民の健康増進、保険制度の持続可能性、経済成長の3つの観点から
重要な課題。官民一体となって予防・健康増進を進めていくため、特に、民間・地域の
取組を積極的に横展開するなど、健康づくり産業や社員の健康づくりに取り組む企業へ
の支援などにより、健康関連産業を育成・拡大する。なお、保険者や企業の取組を促進
するためのインセンティブとして後期高齢者支援金の加算・減算の仕組みの活用は重要
であり、来年度からしっかりと実施をしてまいりたい。
高齢化により多様な生活支援サービスや住まいのニーズが拡大している。今後は、多
様な主体による生活支援サービスの充実を図るとともに、国交省とも連携して、高齢者
向け住宅の供給促進を進めていく。また、経産省とも連携して介護ロボット等の開発支
援などを推進し、地域で安心して暮らせる社会を実現していく。
医療・介護・健康分野において、関係機関の情報連携やデータ活用は重要。まずは ICT
活用を促進するための基盤整備を行うとともに、レセプトの利活用を拡大するとともに、
呉市のような好事例を横展開し、受診勧奨や予防の促進に繋げていくため、さらに、遠
隔医療の助成や、遠隔保健指導面接のための規制改革を行っていく。
その他、民間議員の皆様からご提案いただいた事項に対する厚生労働省としての考え
方については資料にまとめたとおり。社会保険制度の根幹にかかわるようなご提案につ
いて、対応が困難なものも含まれるが、その他の事項について、できる限り対応したい
と考えている。

(新浪議員)
田村大臣には予防医療の政策について、大変踏み込んでいただいた。もう少し踏み込
んでいただけるとありがたい。
何よりも、予防医療は GDP の成長につながるということをご理解いただきたい。つま
りは、75 才くらいまで働ける世界を作るということであり、生産労働人口を増やすこと
になる。また、健康になると生産性が上がる。
生産性の向上に加え、健康と ICT を組み合わせると GDP の成長につながる。健康寿命
産業は、成長産業であり雇用を生み出せる。例えば食育。特に子供への食育は非常に重
要。適度な運動は、ジム等で雇用を生む。自分で健康管理し、疾病の治療をするセルフ
メディケーション関連も同様。例えば健康食。おいしくて満腹になる日本の加工食品産
業は、新産業を生む能力を持っている。サプリメントは、もう少し効用を書ければ産業
にできる。万歩計は世界で一番良いモノを日本で作っている。こうして、新しくより面
白い産業ができる。
医薬品の対面販売に関連して、ICT を活用すれば、もっと OCT 医薬品を始めとしたセ
ルフメディケーションにつながる。持病の処方箋はリフィルで良いのではないか。薬剤
師のアドバイスのもとで配給される仕組みが、ICT を活用して可能になる。
更に重要なことは、看護師は 145 万人のうち 50 万人が家庭に入っているが、こうい
う人たちの雇用が生まれる。管理栄養士も同様。家庭に入った人が、雇用される産業が
作られる。ヘルスケア産業は女性の就業率が 75%であり、女性が活躍できる分野。そう
いった分野を作ることが可能になる。
田村大臣には、予防医療についてインセンティブをより強化することを検討して欲し
い。もっと個人が健診を身近に受けられるようにしていただきたい。採血について、看
護師は現在医師の監督の下でのみ行えるが、簡易なキットを使って看護師が行えるよう
に門戸を開いて欲しい。
中小企業では、なかなか健診が受けられないという問題もあるが、看護師が健診をで
きるようにしてはどうか。健診結果は医師が見るようにしつつ、予防医療に向けての仕
組みづくりをすることで、雇用も生まれる。個人が健診を受ける場合、税額控除等を付
与することや、健診を促すことで、生産性向上が可能になる。
最後に、自己負担を風邪では7割、がんでは3割ほど導入してはどうかと、事務レベ
ルには提案をした。今後とも消費税が上がる予想の中で将来を描けない若者が多い。こ
の部分の構造を見直すべき。医療や介護でベネフィットを得られる人には、もう少し負
担をしてもらい、消費税をなるべく抑えるべき。若い人のやる気は、持続的経済成長に
大変重要。すぐには難しくても検討は開始してほしい。困難であるものに、是非チャレ
ンジしてほしい。