夏のカケラ集め | 酒とホラの日々。

夏のカケラ集め


酒とホラの日々。-夏あつめ1


夏も本番、梅雨も明けてすがすがしい青空に照りつける太陽、沸き立つ入道雲。
海・山・夏祭りとイベントに賑わいを見せる日本各地の風景には活気が宿る。

と同時に、日本の夏のピークは存外に短いもので、

今よ盛りの賑やかさのなかにも、どこか一抹の寂しさも見え隠れするものだ。
 
この週末の私は列車に乗って遠方への旅となったが、私には大きな祭りや立派なホテル・寺院や歴史建築物などの人工構造物を巡るよりも、なんでもない町外れの散歩などばかりが印象に残った。


短い夏の盛りを担っているのは人間のイベントばかりではない。

圧倒的な夏を構成しているのは、誰も気にもとめない小さな命の集積である。

草や木や広がり虫が這い回った上に夏の空気がわき起こり、

夏の光景が目に飛び込んでくる。


線路の端で揺れる名も知らない夏草、道路に飛び出した蔓の端、遠くの木立から聞こえる蝉の声。水やりに疲れた誰かの鉢の花。

これらすべてがやがてすぐにいなくなってしまう、私にはいとしい夏のかけらである。