駆けめぐる芸術の秋   ~あぶら汗ふく木綿の ハンカチーフください | 酒とホラの日々。

駆けめぐる芸術の秋   ~あぶら汗ふく木綿の ハンカチーフください

先日、美術館が立ち並ぶ上野のある展覧会に出かけたのだけれど、
私の出向いた展覧会は結構閑散としてストレスもなかったものの、
同じ美術館でやっていたフェルメール展にはデズニーランドの

人気アトラクション並み行列ができていた。
 
芸術鑑賞のときくらい浮世のごたごたを離れてゆっくりと魂を開放したいところだが、
人気のある芸術品ほど本来の芸術鑑賞から程遠い、
行ってみるだけに意味のある遊園地の商業アトラクション化するのは皮肉なことだ。


たしかカート・ヴォネガットの描く虚構の人物、キルゴア・トラウト氏の小説に
国家が毎年抽選で絵画の値段を決める話があった。

   
この結果、中身はどうであれくじ引きで高額がつけられた絵には

見物客の長い行列と買い注文が殺到する。。。
芸術をめぐるスノビズムへの何たる皮肉!

  


誤解して欲しくないのだが、もちろん、

上野にやってきたフェルメールの絵は本当の名画だろうし、
本物の絵からは画集や写真では決して感じられない作者のエネルギーが
発せられているのは疑いがない。
  
それでも押し寄せる人の波を目にして、もう一件別の展覧会へ行く気がすっかり
失せてしまった私は近くのレストランで昼飯をとると

さっさと帰ってきてしまったのだけれど、
もう一件の候補とは実は大琳派展である。
 
同じような内容の展示会は過去にも何度か催されていると思うが、
前回は確か竹橋の国立近代美術館での展示だったと思う。

琳派というと有名な、あの風神雷神図などはじつのところ

年月を経るうちに結構薄汚れてこ汚い印象があってがっかりもしたのだが、

それでも屏風の面から漂う神気と緊張感は実物からしか得られないものだった。

  


そんな本物のエネルギーと対峙できることこそ、
わざわざアート・ギャラリーに足を運ぶことの第一の意味であるのだが、
押し寄せる人の混雑振りにその気が失せた今回は、
かつての琳派展で買ったミュージアムグッズを眺めて、
せめて琳派の名残を偲ぶにとどめるとしたのだった。。
 


風神雷神ハンカチ
これがその皮脂吸着性能抜群の風神雷神ハンカーチーフ
私はタオルチーフ派なのであまり使わないけどね。