宇宙からやってきた野郎ども | 酒とホラの日々。

宇宙からやってきた野郎ども

今頃の季節というものは春風が埃を巻き上げて風景に独特の彩色を施す。春風と埃をどう評価するのかはその人の感性によってだいぶ趣が変わってくる。


家の掃除などをして、普段あまり手の行き届かないテレビの裏や棚の上などを払ってみると、綿埃と土埃の混じったような塵芥が実によく集まる。埃と言うだけでだけで顔をしかめる人もいるが、埃は単なるゴミではない

中には糸くずや綿ゴミもあるにはあるが、どんな埃の中にも、長く中空を漂った後についには我が家に着床した
隕石の微細な粉粒が混じっているのだ。

なぜなら周知の通り地球は絶えず宇宙からの隕石の雨にさらされているが隕石の大半は地上に達することなく中空で燃えて砕け散って塵となって大気中に拡散して漂っているのである。


元の隕石はたいした大きさでなくとも、煙の粒以下の粒塵となって世界中の空気中にまんべんなく漂うには十分な量だ。だから春風に巻き上げられた埃を集める行為は極めて宇宙に接近する行為でもあり、我々が宇宙の一員であることを天文学的に実証する行為でもある。

ところが掃除をしながらこうした解説していた私にB女が言った。

ふん、春風に巻き上げられてとんできた埃の源はねそこらの犬や猫の糞ががびがびに乾いて風化してとんできただけだよね。中にはあんたの嫌いな三丁目のバカ犬の大グソや酔っぱらいの野糞も混じってるに違いないのに、飛んできたウンコかす拝んでなにが楽しいんだか。


・・・・・・埃一つとっても受け止め方は人様々だ。


たとえ風化したウンコが中空を漂い、それをあなた方みんなが呼吸しているとしても、わたしは春の塵は宇宙塵である!と言いたいと思う。