本当にあった、ちょっと素敵なイリュージョンの話 | 「遊ビジネスのススメ」

本当にあった、ちょっと素敵なイリュージョンの話

あなたはラスベガスといえばどんなイメージを持っているだろうか?

カジノ?それとも華やかなネオン?

確かに、それもラスベガスの魅力ではある。

ただ、私はラスベガスの魅力はショーにこそあると断言したい。

と、こういうと、

「そうそう!で、やっぱりO(オー)だよね〜」

と、一度でもO(オー)を観に行った人は必ずそう言うだろう。




(身体全身でOを表現する石像。そこまでやる?がシルクドソレイユなのだ。)

確かにシルク・ド・ソレイユのO(オー)は、全てが神がかった究極のショーであることに異論はない。

もちろん、私もそう思っていた。

ディビッド・カッパーフィールドのイリュージョンショーを見るまでは・・

今日はそんな私が体験した、ちょっと素敵なイリュージョンな話である。

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この日、私は人生2度目のラスベガスに来ていた。

当然、O(オー)は一回目のラスベガスで鑑賞済みである。

ただ、どうしてももう一度O(オー)を観たいと思った私は、当日券を買おうおとチケットサイトを見ることにした。

しかし「O(オー)」はSOLDOUTだった。

そりゃあ、そうだよな・・

と、ガックリと肩を落とし、サイトを閉じようとしたその時!

突然、見覚えのある名前が飛び込んできた!

そう。

何を隠そう、その名前こそディヴィド・カッパーフィールドだ。

この瞬間、30年ぶりに私の記憶がフラッシュバックした。 

私が子どもの頃にCMをやっていたのを思い出したのだ。

「やっと会えたね!今日は最高のマジックを披露するよ!」

画面の中のカッパーフィールドウインクしたように見えた。

私は迷わず「BUY」のボタンを押した。

会場に到着し、案内された席は白人の親子との相席だった。

白髪のお母さんは車椅子に乗っており、そして、その隣には40代くらいの娘さんの二人組だ。

私は映画館のような席を想像してたのだが、カッパーフィールドの客席はそうではなかった。

まるでオペラの劇場のような雰囲気といえば想像出来るだろうか?

私は小さな丸テーブルに半円状に並べられた4脚の内の一つに腰を下ろした。

すると、御年66歳のカッパーフィールドがスローリーな動きで出てきて、右手を胸に、左手を大きく開きお辞儀をした。

その瞬間!

ヒヤーーーオーーーウ!!!

と、会場が盛り上がった。

一際大きな声をあげていたのが横の娘さんだった。

娘さん・・といっても小太りなおばさんではあるのだが、見た目が大人しそうに見えたので私は少々驚いてしまった。

すると唐突に、カッパーフィールドがフリスビーを振り向きざまに投げた!

それをキャッチした人が前方スクリーンに写し出されて、自分の好きな番号を言う。

それを何度か繰り返す。

「まずは古典的な数字当てのマジックか。」

と、思って見ていると案の定、

ドジャーン!と

その番号が書いてある布を広げた。

正直、私は「まぁ、この程度じゃ誰も驚きはしないな。」と思い、周りを見渡そうとすると

ノーウェーーーーーーイ!

(有り得ない!)

と、横の娘さんが叫んだ。

え?ウソでしょ?

すると続くように会場全体が地鳴りのような歓声に包まれたのだ!

そして、またうやうやしく頭を下げるカッパーフィールド。

私は愕然とした。

満足げなカッパーフィールドは、続いてチープな宇宙人のパペットみたいなのを出した。

そして延々と宇宙人との小芝居を始めた。

私は睡魔に襲われた。

必死に目を開けようと思っても、マッチョにまぶたをギューッと押さえられてるかのように開かない。

ラスベガスまでの長時間の移動が効いてきているのか?

いや、シンプルに地味なのだ。

私はもっとド派手なイリュージョンが見たいのに!

しかし、これは非常にマズい状況だ。

なぜなら、これまで一貫してカッパーフィールドの客いじりはとどまることを知らないからだ。

いつカメラに抜かれてステージの大画面に映し出されるか分からない!

しかし、もうダメかもしれない。

おやすみ・・

そう思った時に起死回生のアイディアが閃いた!

「そうだ!オレも声を出そう!それで眠気を吹き飛ばそう!」

私は横の娘さんや会場のリアクションに乗っかるカタチで、フォーーーーッ!!と叫んでみた。

案の定、眠気が少しだけ飛んだ。

すると横の娘さんが、「あんたやるじゃない」そんな視線を送ってきてくれた。

それからというもの私は声を出し続けた。

私は気がついた!

そ、そうか!

O(オー)は確かに素晴らしいショーではある。

多少の客いじりもない訳ではない。

とはいえ、一方通行であることには変わりはない。

しかし、カッパーフィールドは、顧客を参加させていくスタイル。

そう。

お客さんが主役のエンターテイメント!

カッパーフィールドならぬカスタマーフィールド(観客の場所)なのだ!

ここに「さあ、楽しませてくれよな。」という受け身のスタンスのお客さんは皆無!

全員が「今日は楽しむよ!いや!私たちが盛り上げるわ!」というテンションなのだ!

そう。人生だってショーだっていつだって楽しいかどうかは自分次第なのだ!

私は何度もスタンディングオベーションを繰り返した!

そして、いよいよクライマックスの時間がやってきた。

例の宇宙人が帰る時間が来てしまったのだ。

すると頭上に突然、壮大な音楽とともに巨大なUFOが現れた!

もはや決して眠気を飛ばす為ではなく心から声を出している私がそこにはいた。

会場全体がスタンディングオベーションだ!

割れんばかりの拍手!


感動に包まれる会場。


各々に讃えあう観客たち!


ふと横を見ると車椅子に乗ったお母さんも立っていた。

「おばあが立った!」

私にとってこの日一番のイリュージョンだった・・。

カッパーフィールド恐るべし。


(だけど悲しいかな売り切れるどころか17%オフだった・・)