韓国映画ではないので番外編ということで…
宮崎駿監督の「風立ちぬ」を少し前に見てきました。

宮崎駿監督らしさが、これでもかって、いい意味でも悪い意味でもいっぱい詰まった作品でした。
映画館はかなり大きい箱で、朝一でしたが、若者からお年寄りまで大人ばかりですが混んでいました。

ここからネタバレありです。ご注意を!


R22くらいの作品…別に暴力シーンやエロいシーンがあるということでなく社会人か、その入り口に入っているという意味でR22です。
なので若くても精神的に大人であったりお仕事されていれば、思うところ、感ずるところ、たくさんあると思います。
ただ高校生でも少し早いかな、と思うのです。
若い人が見ても、その時意味が理解できないだろうけれど、年を重ねた時思い出したり再視聴すれば感じるところの違いが見つけられ、それはそれで素晴らしいことだとは思いますが、即効性がないというか。。。


大正末期の関東大震災からお話はスタートします。
大正ロマンと呼ばれる少し余裕のある時代から震災、金融恐慌と世情不安の中、どんどん軍国主義へとひた走る日本です。

このお話の主人公の二郎の夢がこの物語の中ではよく出てきます。
また正確に何年後とは出てきませんのでいきなり時が経っていることもあります。

二郎と菜穂子の馴れ初めが最初に出てくるものの、後は延々二郎の夢、美しい飛行機を作るというところが描かれます。

中盤の菜穂子との再会からは恋愛、結婚と一気に進む感じです。
ヒロインは結核に冒されていますが、気丈に病気を告白し治してから結婚すると答えます。
当時の結核は、ほとんど死の病ですね。
これはお互い相当の覚悟のプロポーズとその返事です。

戦闘機作りに忙しい日々を送る二郎と、病が悪化して山奥のサナトリウムでの治療に励む菜穂子。
手紙のやり取りが続くものの二郎恋しさに一大決心をしてサナトリウムを抜け出す菜穂子。
知らせを聞いた二郎は仕事をほったらかして駅に駆けつけます。
上司の離れで居候中の二郎ですが、一緒にしばらく置いてほしいと頼み込みます。
結婚前の男女がそんなふしだらな…と上司は怒って見せますが、「結婚します!」と即答するのを聞いた奥さんは、では嫁入りの準備を、と言い菜穂子を別室に。
簡略された式ではありますが心づくしの式で、二人は無事夫婦となり暮らし始めます。

忙しい二郎を朝送り出すために薄化粧する菜穂子。
どんなに遅くても帰ってくる二郎。
医師になった妹は薄情だと二郎を責めますが、二人にはもう時間がないことがわかっていますから(菜穂子の死期が迫っています)そのわずかな時間がとても大切であったと思います。

二人一緒に毎日寝ているから一々言われなくても病状もわかっているはずだし、菜穂子のお父さんからの最初の電話でもっと正確に知っていた上での結婚です。
昔の男性だから、上手に言葉をかけてやれなくても、妻も愛は充分感じていたと思います。
仕事を傍で見守り、一段落したところで置手紙を残して菜穂子はサナトリウムに戻っていきます。

飛行機づくりのほうは、(夢の中で)イタリア人ジャンニ・カプローニさんとの友情物語。
このあたりもアニメならではの楽しさや味わいがありました。

ドイツでの視察の様子もあり日独伊の三国同盟のつながりを感じました。

戦争前から終わりまでを描いているのでスパイ容疑なども含めて暗い世相とともにまだ貧しかった日本と、それでも誠実に前向きに自分の仕事をする姿が主人公だけでなくなにげに描かれています。
関東大震災で火の粉が飛んでくるさなか、本や資料を持ち出し守ろうとする姿、またわずか数年で家が立ち並びます。

主人公の二郎は正義感の強い少年ではありますが、天才型で、一般の人とは少しかけ離れたところがあります。
でもお母さんの子育てを見ていると、昔のお母さんて偉いなあと思います。
全部きちんとさせるわけでなく、要所だけ見て締めていくんですよね。
結婚も韓ドラなら絶対大反対コールが起こると思うのですが周囲もおおらかというか心根が美しいです。

宮崎監督らしいタッチで描かれていますが、二人が再会する高原のシーンは特に美しく、風の音や雨の音も情景に合っていて、後々の二人の切なさが一層深く胸に迫ります。
音楽はエンドロールで改めて流れる主題歌、ユーミンの「ひこうき雲」も、胸に響きます。

声優さんは、全く誰かを知らずに見たのですが、二郎の声が最初おっさんくさくて違和感があったのですが、技術屋らしい雰囲気でよかったです。本職の方でなく「新世紀エヴァンゲリオン」や「ふしぎの海のナディア」の監督の庵野秀明さんだったのですね。経験の浅い俳優さんでも違和感あること多いのですが、今回の声優さん方は、それぞれ皆さんよかったと思います。


我が家は誰も煙草をすいませんが^^;
喫煙シーンがたくさん出てきますが、昔は皆なんな感じでしたよね。
また、夫婦の間の喫煙シーン…
私は、あの短い会話についウルウルときてしまいました。

少し前に見ていたのですが、宮崎駿さんが、引退されるということで、置いていたものを出してきました。
実質的にはもう随分前から引退とは言わないまでも、それぞれ任せていたと思います。
なのでその延長線上での発言だと思います。
ただ、「風立ちぬ」を見て、宮崎監督の頭の中にあるものは、その引き出しの中から出して、まだまだ使っていただきたいなと思いました。


本日チョン・ミンソ(2003年生)ちゃん プロフィール に続き2本目の記事でした。

この映画は年代ごとに感想が異なるだろうと思います。
また堀辰雄さんの小説「風立ちぬ」などを読んでいれば感想も異なるかと。
若い時に読んだイメージより明るく感じました…

私は好きな映画です。



 


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