韓国の古い李氏朝鮮モノの時代劇を見ていると王様は,赤色か濃紫、すぐそばについている秘書みたいな人は緑。
会議で王様のそば、つまり上座にいるのは、赤服、次いで、青服が並んでいることが多いと思います。
今回は緑色の官服を着ている、内侍について、少し…

朝廷という公の官職のほかに、王様や家族の身の回りをお世話する、私的な役職には“内”の字がついています。
韓ドラを見ていて、よく出てくるのが、内人(←女官のことですね)や、内官・内侍だと思います。


中国から伝わった宦官制度ですが、古代では戦争に負けて捕虜になって去勢された者や、貢物として去勢された者が中国皇帝のもとに送られてきたようです。「史記」の著者、司馬遷のように、死刑になるところを、罪一等を減じ、宮刑を受けて去勢されることもあったようです。

☆高麗王朝での内官 内侍
李氏朝鮮王朝の前の高麗王朝では、王や家族の身の回りの仕事は、内官が担当していましたが、初めの頃、宦官の役目とは決まっていませんでした。
★高麗の初めの頃は、内官というのは有力貴族の子息が就く役職で、後々色々な重職に就いていったケースが多いそうです。
高麗の国の成り立ち上、建国当初は有力貴族の子息は、人質として都に集められていたのですが、王の私的秘書としてのお仕事や、まれに特殊任務として密偵のような内偵のお仕事など重要な任務にも、就くこともあったようです。

★それとは別に、内侍というのは、王の身の回りを世話する仕事で、賎民など、身分の低い者が、幼い頃、選ばれて去勢され、仕えたようです。
高麗中期以降、武臣政権が王の存在を脅かしたり、外国からの脅威もあり、王様は、しがらみの多い者を信じることができなくなり、去勢した男性である内侍を重用するようになります。
内侍は、内官の仕事も行うようになり、混同され、そのまま李氏朝鮮時代にも受け継がれていったようです。


☆李氏朝鮮王朝の内侍
王様や王子・王女・王妃など宮中に住む王の家族の身の回りのお世話をするのですが、全て男性としての機能を失っているので、自分の子供は望めないので一代限りということになります。
が、やがて権勢を持つ者も現れ、養子をとり、いつまでもその力を保とうとする者もでてきたようです。
養子をとり家族を持つのは慣例化していったようですが、李氏朝鮮独特のようです。

内侍は、身分を問わずになることが出来たので、志願者も多かったようです。
「チャン・ノクス」を見ていると、遠くまで賎民の子供を、多くの物と交換で、養子として迎えにいってました。

内侍も、一生宮中で過ごす者と、通いの者がおり、通いの者より、宮中の住み込みのほうが出世できたようです。

幼い時に去勢手術を受け、宦官としての見習い生活が始まります。
礼儀作法や掃除など、基本的なことや読み書きなどを習っていくようです。

さて、そうして成長して担当が決められ、働きにより出世していくわけです。
担当の役所は内侍府/ネシブです。
一般的な官位を上から順にいきます。。

★尚膳/サンソン…品階は内侍の最高位で、従二品です。定員は2名
仕事は、宮中で、王妃、世子、世子妃、大妃などの食事の統括(チャングムの時スラッカンに出入りしてました長官さま).
もう一人は内侍全体の統括担当。

★尚温/サンオンorサンフォン…品階は正三品。堂上官。定員1名。
火気管理。王室の管理。

★尚茶/サンダ…品階は正三品。ここから堂下官。定員1名。
茶菓担当。王、王妃、世子、世子妃、大妃などの、お茶のお世話担当。

★尚薬/サンヤク…品階は従三品。定員は2名。
宮中で使われる煎薬に関する業務を担当。

★尚伝/サンジョン…品階は正四品。定員は2名。
王命を伝える業務担当。

★尚冊/サンチェク…品階は従四品。定員は3名。
宮廷の書物管理担当。

★尚弧/サンホ…品階は正五品。定員は4名。
武器としての弓矢などの製造・管理担当。

★尚帑 /サンタン…品階は従五品。定員は4名。
財貨・財物管理担当。

★尚洗/サンセ…品階は正六品。定員は4名
大殿の器物の管理など担当。

★尚燭/サンチョク…品階は、従六品。定員は4名。
灯燭管理担当。

尚亘/サンフェ品階は正七品。定員は4名。
宮中の火気管理担当。

★尚設/サンソル…品階は従七品。定員は6名。
宮殿補修,宴会担当

★尚除/サンジェ…品階は正八品。定員は6名。
宮廷の掃除担当。

★尚門/サンムン…品階は、従八品。定員は5名。
宮廷の門の開閉など、門の担当。←政変が起きると内侍が、門の開閉を行ってました。

★尚更/サンギョン
品階は、正九品。定員は6名。
日常の身の回りの担当。

★尚苑/サンウォン…品階は従九品。定員は6名。
宮廷の庭の管理担当。

計60名。

★品階のない者がおよそ80名。

★各宮で、上直する小宦/ソファン(お勉強中の幼い内侍)が、90名。

内官・内侍は、予備軍の小宦を入れると、大体230名ほどいたということでしょうか…
いつも仕事ぶりが査定され、年に何度かテストもあったようです。
出世できるだけでなく降格もあったようです。



おまけ1
★「王と私」には、内侍たくさん出てきましたね。
主人公のキム・チョソンは、実在の内侍です。
尚膳(サンソン)になりますが、内侍の最高位従ニ品ではなく、さらに上の正二品になります。特別待遇で、彼だけです。それだけ功が大きかったのでしょうね。

★「王と妃」に出てきた田畇(チョン・ギュン) も、実在の内侍で、「王と私」で、チョン・グァンリョルさんが演じたチョ・チギョムのモデルだそうです。内侍として唯一人「君」の位に就いたそうです。

★「王と妃」「大王世宗」に出てきた厳自治(オム・ジャチ) も、実在の内侍だそうです。

★「イ・サン」で、サン@イ・ソジンさん@正祖(チョンジョ)付きのナム内官は、世孫時代は尚洗(サンセ)、サンが即位後は、尚膳(サンソン)になってました。

★「同伊」の粛宗には、ハン内官がいつも寄り添っていますが、あの方も、尚膳。

おまけ2
☆中国や、中国の影響の強い朝鮮やベトナムなどの東アジアの宦官のお仕事
★料理・清掃などの雑用←これが大部分
★財産・神器の管理
★身辺の護衛
★継嗣の確認
★皇子の学問や行儀作法教育
★不穏な官僚の摘発
★皇帝と宰相の連絡



※最初に緑の官服が内侍とカキコしましたが、身分により本当はいろんな色があるのですが、一番わかりやすいので、そのように、カキコしました。
役職の仕事は、実際には、多岐に亘っており、異なっていることもあると思います。
朝鮮半島では古くから宦官は、いたようです。高麗王朝の内官と、内侍については、成り立ちや定義があいまいというか、複雑だった程度で考えてくださいませ。
私も、まだよくわかりません…
いつも中途半端で申し訳ございません。


さらにおまけ
日本で
★内官というと、律令制で、都の官吏のこと。また、宮中の官吏のこと。外官は国司や郡司などの地方官のこと。

★内侍(ないし)は、天皇に近侍して、天皇への奏上や、天皇からの宣下を仲介するなどを職掌とした内侍司(ないしのつかさ)の女官の総称。長官は尚侍(ないしのかみ / しょうじ)。

追記:
日本で、宦官は普及しませんでした。
「外国から征服されて…ということが、なかったからでは?」など諸説ありますが、よくわかっていません。




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