「決まりや制度がない場所で、すべての動物が助かった」 ~震災で消えた小さな命展~ | CAPIN(キャピン)公式活動報告

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認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
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昨年8月の「犬と猫と人間と2」の上映会でも、うささんとはいろんなお話をしましたが、

今回も興味深いエピソードをうかがう機会が持てました。


一貫して動物との同伴避難を訴えておられるうささんです。


2011年秋に、宮城県沿岸部にボランティアに入って、ご自分ができることは何だろうと自問をされて、

この命展をはじめられたうささん。


津波に流されて写真も失われてしまった愛する家族=犬猫魚うさぎたちを絵に甦らせて、

飼い主さんにプレゼントをするという企画です。


飼い主さんからは、亡くなった動物のエピソード、その出会い、震災によるお別れの情景を

ていねいに聞いて、それぞれの画家さんに託します。


仕上がった絵は、手紙とともに全国・海外を巡回し、やがては飼い主さんのもとに届けられます。


被災者の方は、秘めていた悲しみや後悔を超えて、動物への思いを言語化することで、

心も平穏を取り戻し、徐々に生きる方向へと立ち直っていけたことと思います。


命展は、ベトナムや台湾でも開催されました。


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「避難所に入れてもらえなくて命を落とした動物も、人間も、たくさんいるのです。

みんな死んでしまっているから、それを訴えられないだけ」

と、うささんはお話されていました。


震災から4年がたちましたが、何が変わったでしょうか。

少しはよくなったと思いたい、こんどは助けられると思いたい。


しかし、法律や決まりは、命を守るために働いてくれるとは限りません。


ちょっとした人間的な配慮によって、助かる場合もある。


空き教室があるのに、動物は入れてはいけない、と言われ、7匹の犬がグラウンドにつながれて、

津波によってみんな死んでしまった。

上階の空き教室は、いくらでもあったのに。


そこで人間的な配慮が、なぜなされなかったのだろう。

津波がきたら死んでしまうとわかっていて、なぜ?


命がいちばん大事なのに。


緊急避難、という考え方があります。

命を助けるためには、法律も犯しても罪に問われないことがあります。


命がいちばん大事。

臨機応変。

話し合って最善を。


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正規の避難所でない場所に逃げた人々は、もともと「動物を入れてはいけない」などの決まりがなかったために、話し合ってすべて決めたので、動物たちも助かった、という逸話がありました。


きちんと話し合えば、みなが助かる。


人と動物の共生の時代。


人も大事、動物も大事、の時代。


しかし、いたるところで、動物より人が大事だ、との叫びが、まだまだ声高に聞こえてくるのは、

とても悲しいです。


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助けられたのに、「動物どころではない」との声が大きくて、助けられなかった命があります。

(避難所で餓死をしたわんちゃんがいました。そのわんちゃんが亡くなる前に、ペットフードをかついで避難所を回ったボランティアさんがいたのに、すべての避難所で「そんなもん不要だ」と断られていたそうです。餓死をしたわんちゃんの避難所でも断られたのです。人間のほうが大事だ、そのひとことで。)


飼い主さんは自分をまだ許せないでいるそうです。

その思いを表に出すこともできないで、ずっとずっと苦しんでいます。

いっさいの支援物資を受け取らないことで自分を罰している人もいるそうです。



命を助けるためには、捨て身の覚悟で周囲と戦うべきときがある、そう考えておいて間違いがないでしょう。


どんなに批判されても、制度の壁が立ちはだかっていても、無言の圧力があっても、

それに負けないで、自分の意見を言うこと。


わがままだと言われても、守るのは自分しかない、命なんだから。


自分が見捨てたら、そこでおしまい。


そんなことを噛みしめた、命展3です。


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五月の風にたなびく鯉のぼり。

結城駅前の図書館・ホールを完備した情報センターです。



4月28日、搬入。



おきくさん、慈子さん、ドラメイさんたちでテーピングや印刷物の掲示など。




ドラメイさんは、今回イラストレーターさんとして、この命展3に参加されていらっしゃいます。


CAPINにとって忘れがたいチャッピーを描いてくださいました。


開いた後ろ足、つぶらな瞳、赤みのある茶のコート、チャッピーの魅力がすべて表れた絵画となりました。


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福島の多頭飼育現場で噛み殺されてしまった幸四郎も、


画家の平澤貴也さんによって、1枚の絵の中に蘇りました。




やわらかな光に包まれて、幸四郎はおだやかに、こちらを見つめています。


もう隠れる必要もない、大輪の花が咲き乱れている、きれいなところにいるんだね。


あのとき助けられなくてごめんね。


次の子は助けられるように、力をください。


最初の飼い主さんが迎えに来るのをずっと待っていたのだと思う。


待ち焦がれた人を。


そんな辛抱強さがほほえみに表れているような、幸四郎のまなざし、そのままだね。


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命展3のなかびの1日(金)、平日のせいか比較的すいていて、主催のうささんとゆっくりお話しできました。

 





満天の星空を見上げていた夜。

うささんのチラシのぬいぐるみバージョンです。

牛も、羊も、犬猫も、魚も、カエルも。


2011年の3.11、震災の夜は星空だったそうです。


人間がいないのは、こちら側にいるから。

この子たちにどう向き合うべきか、が私たちの課題です。


   (うささん、結城市長、おかめ)



結城市長さんもご多忙のなかで、命展を見に来られました。

市の後援をありがとうございます。熱心にご覧くださり、感激いたしました。


結城の情報センターの最上階には天体ドームがありました。

口径25センチ、takahashiの望遠鏡が搭載されていて、うささんと夢中で

星を見上げました。



木星。茶色の筋も、衛星も見えました。







大きく、白く、輝く。


まだ太陽が沈む前の、ブルーの空に浮かぶ月。


覗き込むファインダーにスマホを当てたら天体写真がきれいに撮れました。



うささんも夢中。




宵の明星。

ひときわ輝くヴィーナスです。


「銀河鉄道の夜」に出てきたアルビレオ(観測所)。

オリオンの星雲。

ふたご座のカストルとポリュックス。

南十字星。


星空の話に夢中になり、少年のようなうささんです。


オーロラをフィンランドでみた話、スイスの氷河の音、

ボローニャの絵本市、旅のおはなし。


星降る山小屋に、焚火をたいて、いつまでも夜更かししてお茶をのんでいたい、

そんなうささんでした。


命展1&2の複製画展、こんど院内集会でも開催します。

お楽しみに!



byおかめ