作者、あけのてるは、はオール読物推理小説新人賞、それに
松本清張賞を受賞している。
だから正統派のサスペンス作家だ。
主人公は二人の女性。
一人は都内の住宅地にマイホームをもつ39歳の専業主婦。
定年まで安泰だろう企業に努める夫と、健康ですなおな娘。
しかし、彼女は娘を産んだときから不感症。
もう一人の女性は広告代理店出身。三十路を迎えた女たち
四人で、顧客のマーケティングリサーチと広報代行を行なう
ベンチャー企業を立ちあげた。
ようやく努力が実って業務成績が伸びはじめてきたところ。
だが、彼女は味覚障害をもっている。
そんな二人が満たされないままインターネットの隠しサイト
で偶然出会う。
二人はつまらない現実にひび割れを作るという目的で、ともに
悪い遊びを始める。
中学生が万引きを楽しむように、二人は悪に染まる喜びを
知ってしまう。
そして、ときを同じくして二人はそれぞれ落とし穴に陥る。
SNS(ソーシャルネットワーキングシステム)の仕組みや、ネット
社会の闇の怖さが描かれている。