おはようございます。加藤隆佑です。外来をしていて気づいたのですが、だいぶ胃腸炎(ノロウイルス)がはやってきています。ちゃんと手洗いをしてくださいね。
さて、今日はジェムザール (ゲムシタビン塩酸塩)という抗がん剤において、よく出現する副作用について説明します。
実は抗がん剤の中でも、副作用はそれほど強くでるケースは少ないお薬です。
「自分でわかる副作用として、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢、疲労感がある」と、薬の説明書きにかいてありますが、それらのせいで日常生活に支障のでる頻度は多くはありません。
高齢の方にこのお薬を使っても、「抗がん剤を受けているとは思えないくらい、日常生活は普通にできます。」といわれる方は多いのです。
また、脱毛の頻度も1~10%程度です。
ただし、骨髄抑制(白血球減少、血小板減少、貧血)には特に注意しないといけません。出現する頻度が高いからです。
白血球が減少しすぎると、体の抵抗力が弱くなり。風邪は肺炎にかかりやすくなります。血小板が少なくなりすぎると、出血しやすくなりますし、貧血が強くなると、たちくらみといった症状がでます。
それらも、定期的に採血をすることにより、大きな問題になることを防ぐことができます。
すなわち、採血で骨髄抑制を初期の段階で発見すれば、お薬の量を減らしたり、骨髄抑制が回復するまでお薬を休めば、元にもどるのです。
もう一つの注意点ですが、もしこのお薬を受けていて、咳がでてきたら、必ず主治医に相談してください。
約1%の確立で間質性肺炎という副作用が出現し、咳が間質性肺炎の初期の症状の可能性があるからです。間質性肺炎はほかっておくと、命に関わるのです。
最後にまとめですが、副作用の出方には個人差があるのですが、ジェムザール (ゲムシタビン塩酸塩)は体にかかる負担が比較的少ないお薬といってよいでしょう。