http://ameblo.jp/cakail770/entry-11343972811.html (第1話)
(第2話)
見事お持ち帰りに成功した太だが、これには訳がある。
実は頻発する性犯罪をかんがみて、今国会にて企業・団体において「遊郭」の所有が認められた。施行は来年4月。その試験的な取り組みとして、太の勤務する警察署内で実施されている。
ただ、現在署員全員が知っている訳ではない。
つまりこの婦人警官も公務員切符と引き換えに「遊郭就職」した。
一見、危ない橋をわたっているように見えて、実は忠実に業務をこなしているだけのこと。
太「どうすんだよ、やんのかよ?」
女は珠子と言う。すべてを知っている太にとっては、ソープ嬢なのか同僚なのか区別がつかない。
珠子「とりあえずやっとこうよ」
風俗サービスも合法化されれば、なんともつまらないものだ。こんなことでおったつのは最初の2、3回。そりゃ、たまには上玉にあたるかもしれない。…が、秘めた関係だからこそモチベーションは上がっていたのである。
セックスフレンドも、風俗通いも、どこかに「うしろめたさ」があったからドキドキした。
太は国の施策とはいえ、失政だと理解するのに時間はかからなかった。
では、なぜこの「失政」が国会を通過したのか?
今から遡ること20年前。女性の社会進出が定着し、働く女性、働くママさんは珍しくなくなった。それが男女ともに婚期を遅らせる結果となった。ひ弱な男性は「草食男子」と呼ばれ、車やコンパにも興味がそがれていった。
少子化対策は国の命題となった。若いうちに女遊びしなくても、楽しいことはたくさんある。ニートや引きこもりはパソコンで収入を得る手段を覚え、外にアルバイトにでなくても生活ができる。インターネットショッピングでいつでも家に商品が届く。その資金はアフィリエイトやFX、株など。
次第に二次元女子にしか出会わなくなる。「街コン」なんてのも一時は流行ったが、すぐに下火。飲食店が儲ける手段として銘打ったものだとすぐバレたからだ。そうするうちに年を重ねる。親からは結婚のプレッシャーをかけられるが、いざ外にでて女性と話せるわけがない。また、そんな男性はキモイと形容されるのが関の山。
しばらくすると、さすがに死ぬとき一人は寂しいと気づくも、そこそこ大人になった段階で「誰かと暮らす=結婚」のイメージはない。ましてやターゲットの女性も既にアラフォーのババァ。長年バカにされてきた世代の女性とつるむつもりはさらさらない。
…で、「結婚しよう」というスタンスで国民に呼びかけても、離婚夫婦もいれば保険金などの殺人事件が後を絶たず、理解を得られない風潮になっていた。そこで、「性行為」という角度でアプローチすることになって、法の施行を待つ。…といった具合だ。
性欲満々、ただのスケベと言われた輩でさえ、萎えちゃって、逆にホモが増えた。野党からは、「シングルマザー倍増運動」を提唱する者まで出てきた。いわゆる精子バンクを積極的に活用しようというもの。
(続く)