ドラクエ4冒険日記(30) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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ブロンズの十字架。
それはガーデンブルグの至宝。
ガーデンブルグのシスターが、
誠心誠意を尽くした結果、
女王からその功績を讃えられて贈呈された品。
この十字架が、
ガーデンブルグにとってどれだけ重要かというと、
「最後の鍵」と「天空の盾」と「炎のツメ」と「賢さの種」と、
これらをすべてまとめても、
釣り合わないほどの価値のある物だった。
少なくともガーデンブルグにおいては。

しかし、それだけ重要なものを取り扱うにしては、
ずいぶんずさんな管理体制ではないか?
と、トルネコは思った。
施錠するでも、見張りを立てるでもなく、
ただタンスに入れているだけ。
少なくとも、ガーデンブルグにとって、
より重要度の低い「天空の盾」は、
宝箱に保管し、それを祭壇の上に奉り、
なおも、牢屋の扉で施錠するという、
完全管理体制にあったにも関わらず。
そして、「天空の盾」の扉を開けることができる、
「最後の鍵」は女王自らが常に携帯しており、
女王には側近の衛兵がついていた。
だから、不審者が「天空の盾」を手にしようとすれば、
側近を倒し、女王から鍵を奪い取り、保管倉庫を探し当て、
牢屋を解錠し、祭壇の上の宝箱を開いて盾を盗み、
その後に逃亡しなければならない。
一方で、「ブロンズの十字架」のタンスの部屋には、
旅人が簡単に入ることができ、
バコタもトルネコも、
この国の住人でもない、いわゆる外国人であるにも関わらず、
何の労もなく侵入することができている。

いや待て、と、ちょっとトルネコは状況を整理した。
トルネコはバコタよりも後に部屋に入っているので、
もしかしたら、ドアの施錠をバコタが破った後だった、
という可能性はある。
それに、
タンスにも施錠していたのをバコタが開錠したのかもしれない。
もっと言うと、十字架がタンスに入っていたのかどうか、
それも定かではない。
盗んだバコタと、盗まれたシスターしかその場所はわからない。
ただ、トルネコがタンスを漁っているのを見て、
シスターは十字架が盗まれたと思ったようなので、
やはり、十字架はタンスにあったんだろう、
と、トルネコは結論付けた。

そして、今になって考えると、
女王の依頼が無理難題だったことにトルネコは気づいた。
トルネコは、一度も「ブロンズの十字架」を見ていないのだから。
詩人の言動と、シスターの発言から、
簡単に詩人=犯人と結論付けたのだったが、
バコタを捕まえた後でさえ、
彼が犯人である証拠、すなわち「ブロンズの十字架」を
見ることはできなかった。
なぜなら、バコタを捕らえた瞬間に、
カインを尾行していたガーデンブルグ衛兵が、
すぐに現れて、バコタを連行して行ってしまったのだから。
もし、バコタが、
「ブロンズの十字架」を所持していることを確認できなかったら、
そして、もし、バコタが自白しなかったら、
証拠不十分で、バコタを逮捕することはできない。
そうすると、
トルネコに掛けられた嫌疑を晴らすことができたとは言えなくて、
アリーナを牢から出すのは、
いささか早計だったのではないか。
いやいや、もっとよく考えたら、
バコタは几帳面にも日記を付けていたことを思い出す。
「『ブロンズの十字架』を盗み、カンダタ、ラゴスと肩を並べる盗賊になれたと思う。」
この記載は、
バコタが犯人であることを十分に証明してくれるはずである。

そんなことを考えたトルネコであったが、
この結論は、今となってはどうでもいいことであった。
後のことは、女王がうまく話をまとめてくれるに違いないと、
簡単に思った。
かくして、念願の「天空の盾」を手に入れたカイン。
そして、それをうれしそうに鑑定するトルネコ。

これで、天空の4武具のうち2つを手に入れたことになり、
竜の神様に、また一歩近づいたことになる。


さて、ガーデンブルグを後にした一行であるが、
最後の鍵を手に入れたことで、
ロザリーヒルに行く前に、
カインは行くべきところがあるのを思い出していた。
それは、リバーサイドの歩く像のところ。
以前、魔物の城があるということで、
ある島へと訪れたのだったが、
牢屋の鍵を前に、先に進めずにいたのだった。
今、また黄金の腕輪が魔物の手に渡ったことがわかった以上、
それをいち早く取り戻すため、
そして、憎きデスピサロを討つため、
いや、憎さではなく、デスピサロの邪悪さを討つため、
魔物の城へと潜入することを決意するカインであった。


ところで、動く像に到達する前に、
いくつか、新しい武器を手にした。
その一つは、皆殺しの剣。
この恐ろしい剣に、トルネコは、
「手にしただけで身震いがします。強い攻撃力はありそうですが、果たして。。。」
と評する。
「装備できるのはライアンさんと私です。」
トルネコは言いにくそうに言った。
なるべく、自分が装備できることは伝えたくなかった。
なぜならば、この武器は呪われていることがわかっていたので。
また、ライアンに奨めるわけにもいかなかった。
それは、以前事件を起こした反省からのことであった。

ところが、そのトルネコの考えを見透かすようにライアンが言う。
「よいでござる。呪われておるのでござろう。」
ライアンは、もはや呪いを恐れてはいなかった。
ライアンの目から見ても、切れ味の鋭さは諸刃の剣以上であり、
勇者カインを守るために、
ライアンはこの魔剣を進んで装備するのだった。
ずいぶんとライアンの生き血をすすってきた諸刃の剣を
教会でお祓いしてもらい、
引き続き、より切れ味の鋭い魔剣を装備するライアン。
いつしか、
皆はライアンのことを「呪いの戦士」と呼ぶようになった。
それは、ライアンの行動がのろいのと、相まってのことだった。
ちなみに、この剣の呪いとは、
物理攻撃に対して、完全に無防備になることだったが、
ライアンは、その意味を十分に理解した上で、
勇敢に、前線で戦っていた。

一方で、カインも新しい武器を手にしていた。
氷の刃。
この凍えるほど冷たい刃を手にし、
長らく使って刃こぼれした鋼の剣を卒業したのだった。


さて、ガーデンブルグの牢屋で、
アリーナとカインが不思議に思ったキメラの翼について、
その所以を説明するために、ボンモールの牢屋を訪れるトルネコ。
そのついでに、囚人と少し話をする。
ボンモールの囚人は、バコタの元相棒だった。
片やボンモールで、片やガーデンブルグで、
罪を償うべく軟禁されている2人の泥棒。
2人とも、罪を償うどころか、全く反省の様子はなかった。
反省しないというのなら、
ガーデンブルグでいろんなものを盗んだ怪盗トルネコもまた、
反省など微塵もしていなかった。
反省しているのは、むしろボンモールを脱獄したトムの息子。
彼は、今やレイクナバの教会のシスターと結婚し、
心を入れ替えて、武器屋でアルバイトをする毎日であった。
反省したと言っても、罪は償っていないわけだけども。


さてさて、少し寄り道があったものの、
満を持してリバーサイドの歩く像へと向かう一同。
閉ざされていた扉が、最後の鍵によって開かれる。
扉を開くと、カインは、一気に魔神像を上りきった。
魔神像の最上階には、なにやらレバーのようなものがあったが、
カインは、このレバーの意味するところがよくわからなかった。
慎重派のライアンは、
レバーを引くと落とし穴が作動する可能性を危惧した。
無鉄砲なアリーナは、勢いで引いてしまうことを提案した。
議論重視のクリフトは、
一旦引き返して他のメンバーの意見も聞くことを考えていた。
三者三様の考え方がある中で、
カインがとった選択は、勢いで引いてしまうことだった。
せっかくここまで来たんだし、
手ぶらで帰るのもナニかと思ったので。

ライアンとクリフトの心配をよそに、
レバーを引くと、魔神像が歩き出し、
川を越えて対岸へと辿り着くことができた。
なるほど、これがリバーサイドで聞いた「歩く魔神像」の正体か、
と、カインは納得するのだった。


魔神像の終着点から少し歩くと、
城が見えてきた。
これが、魔物の城であることは、疑いなかった。

カインは、いよいよ決着をつける時が来た、と思っていた。
もちろん、デスピサロと。
カインは、当初、
勇者狩りなど現場の任務についているデスピサロは、
魔物の中でも下級な者だと思っていた。
ところが、キングレオやバルザックの発言から、
どうやら、
デスピサロこそが諸悪の根源であることがわかってきている。
シンシアの羽根帽子をぎゅっと握りしめながら、
カインは魔城へと侵入した。

魔城だけあって、城内は魔物だらけだった。
しかし、肝心のデスピサロが見当たらない。
カインは、城内の魔物を全滅させれば、
デスピサロが駆け付けるかもしれないと思い、
魔物を次から次へと討伐する。
そして、討伐している最中に気がついてしまった。
今やっていることは、
デスピサロがやっていることと同じではないか、ということに。
勇者が出てくるまで人間を殺し続けることと、
なんら変わりないことに。
対象が魔物になっただけで、
カインのやっていることは、正義とは掛け離れたことだった。

いや、やっていることが正義でないわけじゃない。
なぜなら、
魔物たちは、食用として人間を捉えて飼育しているのだから、
人間を助けるために、魔物を倒すことは正義に反しない。
ただ、デスピサロが来るまで殺戮を続ける、
という考え方が正義に反する。

カインは、やや混乱しながら、
ただ魔物を倒し続ける以外の方法を考えていた。
そんな折りに、飼育小屋から逃げ出した人間から貴重な情報を得る。
何にでも変身できる「変化の杖」というものが、
エンドール地方の王家の墓に眠っているらしい、というのである。
もし、そんな杖があるのなら、
魔物に姿を変えて、敵の目を欺き、
デスピサロに近付くことができるかもしれない。
いや、果たしてそううまく事が進むだろうか。
魔物に姿を変えたとしても、
見慣れない者が、上位階級のデスピサロに近づけるだろうか。
そう思わないでもないカインだったが、
少なくとも、今の正面突破よりは上策である気がして、
一旦、この場は引くことにした。
デスピサロも黄金の腕輪も見つからなかったとはいえ、
魔物の城を突き止めただけでもかなりの収穫であるのだから。

そういえば、こんな魔物同士の会話を耳にすることができた。
デスピサロの腹心らしき、エビルプリーストなる魔物が、
何か企んでいるような話。
なんでも、デスピサロの大切なものを奪って、
自らが魔族の王にならんとしている、とか。
この時点でカインに理解できたのは、
デスピサロは上位階級どころか、魔族の王であったということ。
それ以外は、今のところ意味がわからない話であった。


カインは手持ちの情報を整理した。
デスピサロが魔族の王。
魔族がかつて住んでいたロザリーヒル。
ロザリーヒル・・・
ロザリー・・・
イムルで見た夢。
断片的だった情報が、少し繋がってきた気がしたカイン。
ロザリーヒルには塔があり、
そこにロザリーというエルフがいるがいることは想像に難くない。
そして、夢で見たとおり、
デスピサロはロザリーと密会していることは、ほぼ間違いない。

と、いうことは、
今は、変化の杖のことは後回しにして、
先にロザリーヒルに行くのが妥当だろう。
そう考えたカインは、
次の進路を
ガーデンブルグ南にあるというロザリーヒルへと定めた。

場合によっては、ロザリーヒルで決着だ、デスピサロ!
カインはまた羽根帽子を強く握った。


カイン:レベル23、プレイ時間19時間54分




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