マリリンはどうやら海にいそうだ、
ということまではわかっているが、
それ以上の情報は今のところない。
情報もないし、夢の世界の海中を探し回っても、
まだ見つけることができないでいる。
もしかして、とカインは考えた。
現実世界にいるということは考えられないだろうか?
過去にも、夢の世界から現実世界への移動を果たした人物がいた。
その人こそが、カインの父親、レイドック王である。
さらには、魔法の絨毯も、人づてに渡り歩いて、
夢から現実へ移動していた、という経緯がある。
夢の世界から現実世界へ移動する手段としては、
今は無き大地の大穴から移動する方法、
大地を繋ぐ階段、
井戸、
無気力になって狭間の世界に引き込まれた後に脱出、
夢から覚めた、
などがある。
いや、逆に、
ベホマンのほうが、何者が見ている夢であるという可能性すらある。
いやいや、マリリンの見ている夢が、実はベホマンであった、
そんな可能性すらあり得る。
ベホマンの発言の、「すれ違うほど仲がいい」というのは、
そういう意味なのではないか?
同時に存在することができないが、根本は同一である、
そういう意味で言っているとしたら・・・。
これはカインの勘繰りでしかないが、
そうだとすると、ベホマンとマリリンを引き合わせると、
同化して一体になってしまうかもしれない。
カインにも経験のあることだが、
同化を果たすと、ものすごく力がみなぎってくるのだ。
ハッサンもファルシオンもそうだったことから、
これは一般的なことであるようである。
ただ、同化をする対象が自我や感情を持っていると、
非常に切ない気分になるのも確かである。
カイン本体が、
カインと同化するためにターニアに別れを告げたときの気持ちが、
どんなに辛いものであったのか、
当時のカインにはわからなかったが、
「狭間」での経験を経た今のカインには、その辛さがよくわかる。
別れというのは、辛く切ないものであるのだ。
と、ひと通り考えた後、
実際に現実世界の海と海底を探索することにした。
マリリンが警戒するといけないだろうから、
旅はカインとベホマンの2人で、密やかに行うことになった。
ドラゴンやらバトルマスターがいては、
マリリンが逃げ出してしまうかもしれないので。
カインも、自分の職業に気を使っていて、
勇者から僧侶に転職を果たした。
旅の僧と一緒にマリリンを探すベホマン。
こう見えたほうが、
マリリンが警戒しなくていいだろうと思ってのことであった。
海底を探索しているうちに、
ある、記憶を失った旅人と出会った。
彼は、すごく面白い性格のようで、
記憶をなくしていても、子供やシスターに癒しを与えていた。
そんな彼が言っていたのが、
記憶をなくしてここに流れ着いたんだけど、
なにか大切な約束を忘れているような気がする、
というのである。
大切な約束、と聞いて、カインが思い浮かべたのが、
クリアベールのジョン君に、勇気のバッジをあげる、
と言っていたらしい旅人のこと。
たしか、パノンという旅人だったと記憶しているが、
もし仮に、
彼がジョン君のために運命の壁に登ろうとしていたのだとしたら、
その途中で壁から落ちて大怪我を負って記憶を失い、
流れ流れて、この海底に来てしまったのかもしれない。
その事実を確認することはもはやできないけど、
もしあなたがパノンだとしたら、
生きてるうちには間に合わなかったけど、
それでもジョン君を喜ばせることはできたので安心してください、
そうカインは心の中で呟くのだった。
もしかしたら、ジョン君の両親のハリスさんとマゴットさんが、
彼を見たら、パノンだと認識できるかもしれない、
そう思ったカインは、クリアベールへと飛ぶ。
しかし、ハリスさんもマゴットさんも、
勇気のバッジをもらっただけで満足してしまっている。
結局、パノンだという確証は得られず仕舞いだった。
そういえば、とカインは言う。
僕たちはここで出会ったんだっけ、ホイミン?
あ、キミはベホマンだったね。
顔が似てたから間違っちゃったよ。
早速、似過ぎている仲間を間違えるカイン。
やはり、2人を一緒にパーティーに入れるのはやめておこう、
そう思うカインであった。
さて、引き続き海底を旅するカインに、
マリリンとニアピンの情報を得る。
その名もマリナン。
マリナンは命名神であり、マリナンに仕える神官が、
カインたちの名前を変えてくれる、というのである。
名前を変えるぐらいで、
役所じゃなくて神に祈らなければならないとは?
と、ちょっと思うカインであったが、
小説家への夢が叶った暁には、名前を変えて、
「かえさる」というペンネームにしようかなぁ、
などと考えていた。
カインの海底の旅は続き、
ある寂しい祠にたどり着く。
そこには白骨の死体があって、
死体が持っている日記には、こう記されていた。
「すまないメアリ、そしてサリイ。幸せになっておくれ。」
カインはラミアスの剣を鍛えてくれたサリイに、
こんな頼みごとをされていた。
この先、もしコブレという人物と会ったら、
サリイが待っていると伝えてくれ、と。
カインには、
この白骨死体がコブレのものだということは、すぐにわかった。
そして、ロンガデセオのサリイのもとに、
このことを伝えに行った。
しかし、実際にサリイを前にしてみると、
父親の死の知らせを口に出すことはできなかった。
カインは思う。
海底の骸骨は別人で、いつかひょっこり帰って来るといいんだけど。
そんな可能性は皆無に等しいことはわかっていたが、
自分のためにもサリイのためにも、
その僅かな可能性を信じることにした。
重い心境になってしまったカインは、
サリイに鍛えてもらったラミアスの剣を
その後2度ほどオシャレな鍛冶屋に鍛え直してもらったことなど、
言うこともできなかったし、言う必要もないと思ったのだった。
次に、カイン一同は、ある海底の宿屋にたどり着いた。
この宿屋に泊まっていたのがマリンスライム。
彼女曰く、自分は悪いスライムだと。
なぜなら、友達のベホマンが会いたがっているのに、
逃げ回って、殻に閉じこもってしまっている、
と言うのである。
と、そこで、カインに同行していたベホマンの存在に気付く。
そして、こう言う。
こんな私に会いに来てくれたの?と。
ベホマンが聞かれているのに、ついカインが答えてしまった。
「はい」と。
そして、マリンスライムのマリリンが仲間になった。
カインはてっきり、
マリリンというのはしびれくらげであると思っていたので、
不意打ちをされた形となった。
そういえば、
ベホマンは最初から「守りのマリリン」と言っていたではないか。
しびれくらげは守りが弱いので、
どうもしっくり来ていなかったカイン。
マリリンの正体がマリンスライムだとわかって、
なんだか納得したのであった。
そんな仲良しのベホマンとマリリンは、
またルイーダで楽しんでもらうとして、
再びホイミンを仲間に加えたカイン。
次は何をするんだっけ?
と、考え込んでしまう。
「狭間」であったり、揺らいでいたりで、
民間人はまだ平和を実感していないが、
デスタムーアの力はすでに尽きていることをカインは知っている。
となると、また目的はないのであるが、
これから先は、カインと仲間たちの腕試しの物語となる。
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