2016年度入賞作品 テーマ:大切な資源 | NPO法人地球こどもクラブ

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NPO法人地球こどもクラブは、1991年環境庁創立20周年記念の事業としてスタート。

現在活動33年目のNPO法人です。

こどもと一緒に環境を考える活動を行っています。

内閣総理大臣賞 作文部門

兵庫県 中学校2年生 西村 公介 
タイトル:『「始末」ということ』

 

 「始末は、始まりを増やして終わりを減らすことやで。」亡くなった祖母がよく言っていた言葉だ。裏面が印刷していないチラシは小さく切って束ねてメモに。タオルは破れるまで使った後は雑巾に。祖母は、物を最後まで使い切っていた。昼間は、カーテンを全開にして部屋は電気をつけない。お風呂は、家族みんなが連続して入る。「始末」は、徹底していた。

私が四年生になり、祖母が亡くなるまで始末は続いた。正直に言うと、少し面倒くさかった。祖母が亡くなって、もうすぐ三年。「資源」というテーマを見たときに、最初に思いついたのが祖母のことだ。祖母は、戦時中に育った。物が無くて、本当に困ったらしい。「戦争で物をたくさん壊したりしとったお陰で、みんな物が無くて困ったんよ。日本は資源も無い国やからね。」と聞いたことがある。大変な時代を生きてきたのだと思った。

 

 今、私たちの周りは物にあふれている。もちろん、日本が資源の豊かな国になったわけじゃない。世界中の国の人たちから、資源を分けてもらっているからだ。でも、その資源は、無限に出てくるものではない。石油は、あと四十年くらい。原子力に使うウランも百年くらいで無くなってしまうらしい。その後の世界はどうなってしまうのだろう。祖母が子供に頃のように、物が手に入りにくい時代が来てしまうのだろうか。それとも、強い軍隊やお金を持っている国が、資源を独り占めするような世の中が来てしまうのだろうか。そんな世界にはなって欲しくない。この問題を解決するには、祖母の言っていた「始末」が大切だと思う。新しいエネルギーやリサイクルの方法を開発するのでは駄目だと思う。この二つは、どちらも大切なことなのだ。

 

 これからは、限られた資源を効率よく活かすための新しい技術を開発することが必要だ。

新しいエネルギー源の発見や少ない資源で物を作る工夫も大切になってくるだろう。今までは、捨てていた物を資源として利用する方法も見つけなければならない。この分野では、日本の得意な科学技術が世界の役に立っていると思う。同時に、私たちも物を大切にしたり、エネルギーを節約したりする工夫を凝らすのだ。リサイクルできる物の数を増やしたりすることも大切だが、もっと大切なことがある。自分の家や国だけが良ければいいと考えないことだ。物やエネルギーを大切にする代わりに、物や資源には今までよりも高いお金を支払う。そうすれば、物をより大切にするし、資源を売っている国の人も、売れなくて困らないで済む。私たちは、世界中の人と協力して、資源を大切にしながら、今より良い世界を作っていく方法を見つけていく。きっと、出来ると思う。そのために、私たちは頑張って勉強しているのだから。