8月3日の朝、虎ノ門駅から300mほど、

西新橋の繁華街の一角にある住宅で、

なんとも痛ましい事件が起こってしまいました。


秋葉原の耳かき専門店で働く人気ナンバーワンの

女のコが、好意をもたれ、ストーカーと化した客の

男に刺されてしまったのです。


玄関で応対した彼女の祖母は、首などを中心に

複数刺されて死亡。女のコも同じように首などを

刺されて意識不明の重体で、生死を彷徨っている

危険な状態です。


どうして、このような事件が起こってしまったのか。

そして、彼女が働く耳かき専門店とは、どのような

ところだったのか。今日の『チダイズム』は、急遽、

この事件の真相に迫りたいと思います。


僕は、秋葉原のメイド喫茶やメイドマッサージなど、

いわゆる「秋葉原のオタク文化」を3年以上にわたり、

見つめてきました。ブログでは、ただの趣味のように

書いてきましたが、実際には、仕事の一環です。


テレビやラジオ番組で秋葉原を特集する際には

コーディネートさせていただきますし、時には、

お店そのものの企画提案や経営的分析を行い、

アドバイスをさせていただくこともあります。


ですから、このたびの事件を知れば知るほど、

深い悲しみで胸が締め付けられ、自分に何か

できることがないかと考えるようになりました。


そして、作家の僕には、やはり書くことぐらいしか

できないという結論に至ったのです。真実を伝える。

これによって、少しでも、この事件をまっすぐに

受け止めてくれる人が増えたらいいと思います。


今まで、この耳かき店を利用したことがある人は、

おそらく、事件の真相を知ろうと、「2ちゃんねる」を

開いたのではないかと思います。


実は、事件が起こったお店は、これまで何度も

テレビ番組で取材させていただいたこともあり、

つい数日前も、このブログで紹介させていただいた

お店なので、自分が関わった女のコではないかと

心配になって、僕も「2ちゃんねる」を開きました。


が、「2ちゃんねる」を見て、味わったことないほどの

衝撃を受けたのは、きっと僕だけではないはずです。

そこに書かれていた誹謗中傷の数々は、とても見るに

堪えないものだったのです。なんと、半数以上が

「風俗みたいな店で常連客から金を取る女は

殺されて当然だ」というような書き込み・・・。


およそ、まともな神経をしている人間が書いたとは

思えないような書き込みの嵐。被害者の女性には、

まったく罪がないのに、いかにも自業自得のような

言葉で溢れ返っていたのです。


人間の心とは、醜いものです。


本人が見たら、あるいは、その親友が見たら、

その無責任な言葉の数々に心を痛めることでしょう。

匿名のネットの掲示板だから、どんなことを書いても

責任を問われることはないのでしょうが、何の正義の

つもりか知りませんが、この事件を本当に悲しんでいる

僕の目には、ただの「ひとでなし」としか映りません。


いきなり気持ち悪いストーカーの男に自宅まで

上がりこまれ、首や腹など複数刺され、瀕死の重傷を

負った女のコを、上から見下ろして、「オマエみたいな

男にこびて、お金を稼いでいた女は死んで当然だ」と、

そう言える人が、この世には、たくさんいるということ。


「そんな書き込みは、やめろ!」なんて言ってみても、

この現実は、きっと変えることはできないと思います。

それが「正義」だと思っている人が、たくさんいるから。


人間の心とは、醜いものです。


感情的な話はこれぐらいにしまして、ここからは、

なぜこのような痛ましい事件が起こってしまったのか。

他のメディアより、もう少し深い部分に迫ろうと思います。


まず、そもそも「耳かき専門店」とは、どのような店なのか。

おそらく、性的サービスがあるように受け止めている方も

少なくないと思うんですが、基本的には性的サービスは

一切ありませんし、女性に触れることもできません。


埼玉に「耳かき専門店」と名乗りながら、実際には、

性的サービスを行っていたお店があり、摘発された

ことがあるので、そのようなイメージがついてしまった

可能性もあるんですが、そのようなお店は、ごく稀です。


今回、女のコが働いていたお店は、30分と60分の

2種類の中からコースを選ぶもので、サービス内容は、

浴衣の女性が膝枕をしながら耳かきをして、最後に、

簡単な肩や首のマッサージをしてくれるというもの。


容疑者の男は、お金を積み、10時間コースなどという

特別なコースを選んでいたようですが、こんなバカげた

コースを選んでいたのは、この男ぐらいなものでしょう。


ただ、このぐらいハマる客というのは、お店側としては、

ある意味、おいしいお客さんです。まさか殺人事件に

発展するだなんて誰も予想していなかったでしょうし、

キャバクラもそうですが、女性に好意を持った客を

いかにうまくコントロールして、たくさんお金を払って

もらうかが、「ビジネス」です。


今回の事件では、犯人の男が女性に好意を抱き、

大量のお金をつぎ込んで交際を迫り、最後はお店を

出入り禁止になったため、ストーカーと化してしまい、

自宅まで押し掛けるようになり、最後は殺人事件という

悲劇を生んでしまいました。


では、どうすれば、このような事件を防ぐことが

できるのでしょうか? 100%防ぐことはできなくても、

まずは改善点だけでも提案できないかと思います。


そもそも、「秋葉原の萌え産業をすべて無くす」という

全否定的な考え方もできるのですが、今回はあえて、

肯定的な立場で問題点を2つ挙げたいと思います。


1つは、キャバクラの場合、自宅まで送迎があるため、

家まで尾行するのは、オートバイにでも乗らない限り、

なかなか難しいのですが、送迎がない多くのメイドは、

自宅まで簡単に尾行できる状態にあるということ。


「オートバイで尾行できるなら一緒じゃん!」という人も

いるかもしれませんが、免許を持っている人に限られ、

電車で尾行されるよりは確率が低くなります。

また、常に男性が家までエスコートすることになり、

もしかすると、尾行されているという異変に気づいて、

問題を未然に防げる可能性も出てきます。


現在、多くのメイドさんは、お客さんに会わないように、

寄り道もせずに、早足で秋葉原駅まで向かい、もし、

駅のホームでお客さんを見つけた場合には、なるべく

見つからないように、時には遠回りするなどして、

家まで慎重に帰っています。しかし、これでは

安全対策というには、あまりにも不十分です。


一人暮らしをしているメイドさんも多いでしょうから、

今回のような殺人事件はレアケースにせよ、性犯罪に

巻きこまれる可能性は十分に考える必要があります。

まずは、家が特定されないように、人気のある女のコは

車での送迎などが必要になるのではないかと思います。


2つめは、好意を寄せていた男に対する店の対応が、

果たして「出入り禁止」という措置で良かったのか。

メイド系のお店において、悪質な客に「出入り禁止」を

宣告するのは常套手段であり、けっして珍しいことでは

ないのですが、一方的に恋愛感情を抱いている客が、

行き場所を失い、ストーカーと化してしまう今回のような

ケースは想定できたかもしれません。


僕が考える、このような場合の対応策は、実は、

かねてから提案しているんですが、その女のコの

「ファンクラブを作る」ということです。


アイドルのファン心理に見られる不思議な現象で、

「みんなの△△ちゃん」という位置づけにすることで、

独占的ではなく、共有的に応援する心理が働いて、

「一歩引いた形で、純粋に応援するようになる」という、

有名キャバクラ店でも使われているテクニックです。


実は、こうすることで、秋葉原の場合は特に

ファン同士の横のつながりが生まれるため、

危険な人物に対して、ファン同士が監視の目を

持つようになり、本人以外から店側に情報が

入ってくることも期待できると思うのです。


まだ秋葉原での実例がないため、うまくいくのかは

分かりませんが、試してみたい対応策の一つです。


続いて、秋葉原における「萌え産業」の動向と、

そこで働く女のコのメンタル面の話をしましょう。


最近の秋葉原は、メイドカフェが衰退し、少しずつ

マッサージ店が主流になっています。カフェよりも

客単価が高く、女性と直接的なコミュニケーションを

図れるお店にニーズがあるからです。


秋葉原に来るオタク層の男性客には、もともと

「女性と話がしたい」という欲求があります。

ゆえに、耳かき専門店は、この二ーズにしっかり

応えているお店であると言ってもいいと思います。


なぜ、マッサージ店ではなく、耳かき店が流行るのか。

これは、女性に膝枕をしてもらえるという非日常的な

感覚に加え、「うつ伏せ」で話すよりも会話がしやすく、

さらに、マッサージ店に比べ、値段がやや安いことが

あげられると思います。メイドマッサージ店に比べると、

1時間あたり1000円~1500円程度安いです。


半個室の薄暗い空間の中で、膝枕をされながら、

まるで恋人のように耳かきをしてもらえるお店・・・。

心理的には、「擬似恋愛体験」ができることもあり、

「このコが好きだ」という感情が芽生えてしまうことは、

何ら不思議ではありません。


さらに、個人的な印象では、他のお店に比べ、

今回の事件が起こってしまった耳かき専門店は、

かわいい女のコが揃っていたように思います。


殺人事件まで起こしてしまうような鬼畜な男は

珍しいにしても、この店で働く女性に恋に似たような

気持ちを抱いていた男は、一人や二人ではないはずで、

同じように通い詰めている客は、たくさんいたはずです。


ちなみに、このようなお店で働いている女のコは、

仕事とプライベートを完全に分けている場合が多く、

心理学的に言えば、何度も通いつめて恋人にするのは、

ほぼ100%不可能です。通い詰めれば詰めるほど、

ただの「お客さん」としか見られなくなるからです。


もし、「本当かよ?」と思うのなら、そこらへんにいる

メイドの女のコに、それとなく聞いてみるといいでしょう。

メイドさんとお客さんという関係から付き合うこと自体は、

僕の知り合いの実例からも可能だと思うのですが、

通い詰めることは逆効果です。


そして、「萌えなお店」で働く女のコたちは、アキバ系の

男たちに対する偏見がなく、裏で「このオタク野郎!」と

言っていることは、ほぼありません。ただし、狂ったように

何度も通い詰めては指名するお客さんに対しては、

はっきり言って、かなり怯えています。


秋葉原で働く女のコの多くは、ややオタク気質で、

コスプレなどに興味があり、加えて、接客が好きで、

純粋で真面目な女のコだったりします。


ナンバーワンになると、それなりにお金がもらえるため、

「お金にがめつい」という偏見があるかもしれませんが、

実際には、時給が良いからやっているケースは少なく、

秋葉原という街の雰囲気や、同じ職場の友達だったり、

接客そのものが楽しくて、仕事をしていることが多いです。


また、自分がカワイイという自覚も少ないのです。

そのため、好意を抱き、尋常じゃない頻度で来店する

お客さんに対して、メイドさんはどのように感じているか。


それは、「自分のことをそう思ってくれるのは

ありがたいので、そっけない態度で接するのは

申し訳ないし、あくまで丁寧に対応するが、

本音を言えば、あまり来てほしくない」。


しかし、「来るな!」と言うことは、できないのです。

売れっ子のキャバ嬢であれば、うまい交わし方だって

できるのでしょうが、いざ好意を持たれた時の対応は、

人気ナンバーワンであっても不慣れなのです。


それを言えたら、今頃、こんな事件になっていないし、

何度も通い詰める男に、「付き合えない」ということは、

もともと、くどいほど伝えてあるはずなんです。


他の男を接客されたくないからと、一人でバカみたいに

お金を使い、「これだけお金を使ったんだから」と自分の

気持ちばかりを押しつける男。普通の女のコだったら、

そんな男と付き合おうとは思いません。ましてやキレて

殺人事件を起こすような男とは、どう逆立ちしたって

付き合えるはずがありません。


何度も何度も断り続け、一生懸命理解してもらおうと

尽くしていたにもかかわらず、勝手な逆恨みによって

刺されてしまった・・・。


今回の殺傷事件、被害者の女のコには何も非がないと

断言できます。たとえ、我々が知らないところで被害者の

女のコがどんなに酷いことをしていたとしても、そもそも

「人を殺す」というバカな選択肢があるでしょうか?


ましてや、犯人は、何の罪もない祖母を殺害しています。

にもかかわらず、「2ちゃんねる」に書き込みをしている

腐りきったバカは、「犯人は英雄だ!」とさえ書き込んで

いるのです。無関係の祖母を殺していい理由を、

誰もが納得できるように述べてみてほしいですね。


反吐が出る。


もちろん、コメント欄をオープンにしています。

論破できるものなら論破してみろ、クズども!

「人殺し」を絶賛してんじゃねぇぞ、バカ!