土曜日は朝から夜までレッスンです。昨日は子供の生徒さんに

交じって大人の生徒さんが2人来られました。

お一人は、昔ピアノを習っていらした方です。

数年前、初めてレッスンに来た時に、リストの「愛の夢第3番」

を持っていらっしゃいました。

ロマン派の華やかでピアニスティックな作品がお好きです。

ご出産後しばらくお休みされていましたが、レッスンに復帰され、

今年は発表会にもご出演くださいました。お子様も目が離せない

時期、お仕事もされながら、隙間時間(主にお子様が寝た後)に

ピアノの練習を頑張っています。

たくさんの課題は負担になりますので、メインの曲を一つ決めて、

一曲集中でレッスンしています。指慣らしのためにハノンも続けて

いただいています。

Hさん、とっても明るくて素敵な方です♪

しかし初めてピアノを聴いたときは、かなり無駄な力を込めてお弾き

になっていました。ダイナミックにドラマチックに演奏されますが、

音が固いかなと。うまく無駄な力を抜くことができればもっと柔らかい

音色になるし、疲れもそんなに感じないはず…と私は思いました。

一曲弾くとかなり疲れてしまう、そんな状態だったんです。

大きな曲を弾くくらいの基礎は習ってこられたのですが、根本的に

打鍵の方法を直さなければいずれ手や手首、そのほかの部位を

痛めかねない。良い響きを作る耳も持っていただけたらと感じました。

それまで、”無駄な力を抜く”ことをご存じではなかったとか。

これには私がびっくりしました。昔習われていた先生は、具体的に

効率の良い奏法を教えてはくださらなかったようです。


私のところに来られてから数年が経ちました。

かなりご自分の手の使い方が上手になられたと実感しています。

そして、華やかな曲ばかりに演奏の醍醐味があるとは限らない

ことも根気よくお伝えして来たつもりです。

今回の課題として数曲候補を挙げましたが、Hさんのお選びになった

のはこちらの曲。



モーツァルトのソナタ第9番、K,311。

モーツァルトの作品に対しては、真珠の粒のようにまろやかな輝き

を持った音色を出したいものです。美しく聴かせるのが難しいですね。

地味に難しい。無駄な音がなく、動きにも無駄はない。

…極力自然に流れる音楽を作って欲しいなと願います。

かくいう私もそんな音色を求めて、そんな音色に常に憧れて探究中。

作曲家の性格、影響を受けた人物、その楽曲の生まれた背景、

それらも含めて少しずつ知っていくことは、とても大切です。

ピアノを弾く時間だけが練習であるとは限りません。

その作曲家が生きた時代にその心に、自ら入り込んでいく。。

作品を知るということは、その作曲家の心を知ることですね。

知ることはその曲への理解を深め、鍵盤に向かう際には気持ちが

変わります。

昨日は、この第一楽章をゆっくりさらいました。

具体的にどういう指運びがいいのか、タッチはどのように?

そのあたりもご一緒に弾きながら、弾き手も聴きても楽な気持ちに

なれる音を模索しました。

ソナタ形式についても少々説明をしました。


Hさんは、お家で夜中に譜読みをしながら感じたことがあるそうです。

久しぶりに新しい曲に取り組んで、とても新鮮な気持ちだったと。

そして、モーツァルトをモーツァルトらしく弾くのがこんなに大変だとは

思わなかったと(笑)。譜面面は難しそうじゃないのに、実際に練習し

てみるとすごく難しい。…でも、とても好きな曲です、と。

…良かったです。

楽な打鍵と、新しい発見。その学びには大きな意味があると感じます。

そして美しい音色を引き続き目指してピアノとモーツァルトと対話して

くださったら嬉しいです。


(そうそう、全回のレッスンでも一緒に聴きましたが

今回も最後に、小倉貴久子さんのCD「輪舞~ロンド~」より、

美しく闊達な演奏を聴きました。読譜をした後に聴いたので

このソナタの小倉さんの演奏に深く感じ入るものがあったよう

です。目も耳も開かれたご様子に、私は目を細めたのでした。)





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