子育て中のママがレッスンに通うことは、容易ではありません。

ただいま一歳の娘ちゃんを子育て中で、お仕事もされている

ママさんもピアノを頑張って続けておられます。

今年の発表会もご出演くださいました。

発表会前にカワイ川口のグランドピアノを借りて練習し、

「先生、やっぱりグランドは違います~。欲しいです~」

とおっしゃったHさん。

学生の頃習っていらしたピアノ教室で、かなり上達されてから

いったんピアノをおやめになり、その後私のところにレッスンに

来てくださるようになりました。

初めて来られたとき、

「友人の結婚式で、”愛の夢第3番”を演奏したいのです。」

とおっしゃって、一生懸命練習されていました。

演奏を聴かせていただくうち、

(力を抜くべきところに力が入りすぎて、無駄に疲れているよう

だなぁ。)

と感じていました。が、愛の夢を本番で弾くまではそこをあまり

指摘し過ぎずに、指導させていただきました。

でも、手首や肘や肩の無駄な脱力ができたらもっとラクですよと

私の手の動きをお見せし音の違いを比べてもらいましたら、

「えっ!脱力って初めて聴きましたっ。ただ力を入れてガンガン

弾けば良いってわけではないのですね。」

と驚かれて…!

以前のピアノの先生は実際に弾いたり、具体的な身体の部位の

使い方は教えてくださらなかった、と。

今度は私がびっくりしました。

上級の曲を弾けるくらい教本が進んでいても、無駄な力を抜いて

美しい演奏ができるとは限らないのだ、と。


その後もHさんはご出産や子育てで毎日お忙しい中でも、

月2回のレッスンに通っていらっしゃいます。

今年の発表会までには、少しずつ自然な弾き方ができるように

なっていました。と同時に、音がなんと柔らかくなって美しくなって

きたことか…!打鍵するときに、手や指に主に力を込めて弾いて

いたのが、今では身体全体を意識し、同時に自分の音に耳を

傾けながら良い音で弾こうという意識がアップしました。

身体の中心から肩、腕、肘、手首を通り、指先から鍵盤へ。。

音が湧き出るその瞬間を感じられるようになってきたんです。

音を指先で感じるとでも申しましょうか。

私もそんなに偉そうなことは言えませんが、これまでの経験から、

(ああ、良い感覚を得られたようでよかった~。)

と感じるまでになりました。

やっと、スタートラインに立った感じです。

さあ、Hさんに次の課題を♪

何が弾きたいか、どんな曲がお好みか…わかって参りましたので、

それを踏まえたうえで、4曲ほど候補を提示致しました。

その中で、Hさんが選んだのがこの曲です。



モーツァルト/ピアノソナタ ニ長調 K.311

私の楽譜は昨日のレッスンでHさんにお貸ししましたので、

手持ちの楽譜からここにアップしました。

(NHKスーパーピアノレッスン・モーツァルト、フィリップ・アントルモン)


そしてレッスンでは、まず基礎練習をし身体の使い方で音が変わる

ことをあらためて実感していただきました。

(久しぶりのレッスンでしたので、思い出す意味でも。)


そして、小倉貴久子さんの「輪舞(ロンド)」のCDから

K.311の第一楽章を聴きました。

この時代はまだ現代のピアノではなく、フォルテピアノで演奏されて

いたこと。この曲を作ったきっかけが、モーツァルトがシュタインの

フォルテピアノに出合い、その優れたメカニックと音質に感動した

からであること。

(CDでは小倉さんは、ヴァルターで演奏されています。)

響きはダイナミック、反復音やスタッカートの反応が極めて鋭敏

であったこと…。そして、その楽器体験がこのピアノソナタを

生んだということ。。。

そしてこの時代、即興演奏もとても重要であったこともお伝えし、

実際に小倉さんがリピート後に非常に美しい即興を生み出して

いる演奏を聴き、Hさんはとても驚いていました。

なんて生き生きと、目の覚めるような美しさで颯爽と歌っている

のでしょう、と。

ついでに(?!)CD最後の「トルコマーチ」も聴いてみたらば、

かなり目から鱗が落ちたようです。


このK.311のソナタは何度聴いても、画期的だなあと思います。

奏者によって解釈はいろいろですが、モーツァルトの目の輝きが

そのまま伝わってくるような作品。

明るく、華やかで、聴き手を夢中にさせてくれる魅力があります。

まさに傑作ですね。Hさん、お目が高い♡

モーツァルトを選んでくださった段階で、私は実はニヤリ。

ほかの作曲家の名曲もいくつか挙げましたが、まさに私の

イチオシど真ん中を選ぶとは♪

これはメールでのやり取りのことでした。我が意を得たりの

講師のニヤリは、Hさんは知りません。うしし。。。


一音一音の美しさを出すために、ますますHさんの耳と心は

研ぎ澄まされることでしょう。…と同時に身体もね。

まさに…講師の狙い撃ち!

Hさん、これからがピアノを本当に楽しめるんだと思います。

ご一緒にモーツァルトの世界を堪能して参りましょう。





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