日本国内でどれほど報道されているのか知らないのですが、
中国国内で逮捕され死刑判決を受けていた4人の日本人がいます。
その死刑執行を1週間以内に行うと中国政府から日本政府に通告があったそうです。
これに対する日本政府の対応は、「対中感情を悪化させる可能性があるから中止を」
と言うものだったそうです。
正直言って日本政府の対応にがっかりしてます。日本人が外国へ行って
死刑に相当するような犯罪を起こしたんですよ。最初に謝罪するのが当然だし、
逮捕から死刑執行までに掛かった費用の負担を申し出るのが有るべき対応だと思ってます。
この事実(死刑執行を日本に通告したこと)、じつは中国内ではほとんど報道されていません。
私もYAHOOニュースで見るまで知りませんでした。
でも中国内で報道されていないと言うことは、中国政府はこのことについて、相当日本に気を使っているな
と思います。江沢民時代だったら、『日本人が中国でこんな悪いことをした』
と大々的なキャンペーンをしたでしょうし、一部市民は『日本鬼子を中国から追い出せ』と反応したでしょう。
死刑囚の罪名は麻薬密売の罪なのですが、日本人の中には『そんな軽い罪で死刑なの?』
と思う人もいるかもしれません。それでなくても日本と言う国は刑罰が軽い国ですし、
世界に類を見ないほど、犯罪加害者の人権が徹底して守られる国なので、日本で同じことを
しても死刑にならないどころか、場合によっては執行猶予がついて刑務所にも行かなくて
いいような罪なのですが、世界的には死刑や終身刑にもありうる重罪です。
さらに中国では麻薬というか薬物についての刑罰は非常に重いんです。所持していただけで
死刑は免れません。これについて日本では「アヘン戦争」というキーワードで説明して
いますが、もう少し丁寧に説明すると、今から200年ほど前19世紀の前半に、イギリスと言う超大国がありました。
イギリスは今でも有りますが、
この当時の超大国ぶりは、今のアメリカと日本と中国を足し合わせたよりももっと大きな
経済力と軍事力を持った強国だったと言えばいいでしょうか。
そのイギリスでは紅茶の習慣がありました。でもイギリスではお茶は栽培していません。
そしてお茶を飲むときには陶器製のティーカップがもてはやされていましたが、当時ヨーロッパでは
陶器はほとんど生産されていませんでした。今でもヨーロッパ製の陶器は希少で効果ですよね。、
お茶も陶器も中国からの輸入だったのです。
そうするとイギリスの対中貿易は大幅赤字という事になり、超大国としての面子が保てません。
それではどう対策したかと言うと、中国からお茶や陶器を輸入する代金の代わりとして、
インドで栽培していたアヘンを中国に輸出したんです。この当時インドはイギリスの植民地
ですから、これによってイギリスの対中赤字は解消されたわけです。イギリスからインドへは
産業革命によって大量生産が可能になっていた絹織物が輸出されていましたので、
これをイギリスーインドー中国の三角貿易と言ったわけです。しかしアヘンと言う麻薬が
恒常的に輸入されては中国はたまったものでは有りません。市中にアヘンが広がりアヘン中毒になる
市民がどんどん増加し、社会の停滞が始まってしまいました。そこに一人の英雄が登場します。
英雄の名前は林則徐と言い清朝政府高官でした。林則徐は中国人民や国家を救おうと立ち上がり、
アヘンを積んだ英国船を打ち払いました。しかし怒ったイギリス政府は中国に対する宣戦布告を
決議します。後にイギリスの名宰相として名を馳せる事になるウィリアム・グラッドストーンが
こんなばかげた非人道的な戦争には反対だ、と議会で演説したのは有名な話です。
しかし戦争は実施され中国は完敗し、その後列強諸国によって半植民地化されました。
これをアヘン戦争といいます。
中国の半植民地状態は1945年までの100年以上にもわたって続くことになったのです。
これが中国が麻薬によって国を滅ぼしてしまったと言われる一件です。実際には1945年まで
麻薬がらみの亡国の話は続くのですが、それを書いていたら今夜寝る時間がなくなっちゃいます。
中国が麻薬犯罪に特に厳しい理由は分かってもらえたでしょうか。
日本が唯一の核兵器の被爆国として、核兵器廃絶のオピニオンリーダーたらんとするのと同様に、
中国政府も麻薬撲滅のオピニオンリーダーたらんとしているわけです。
当時の中国人がアヘンに手を出したのは自業自得だろうと言う意見も有るのですが、日本が核兵器を
落とされたのは、日本が落とされるようなことをしたからだ、日本の自業自得じゃないかと、今でも
主張する人に対してと同様に、全く次元の違う話ですと言っておきます。
余談ですが、*********************************************
アヘン戦争を吹っかけた当時のイギリスについてどう思いますか?
欧米諸国は昔からむちゃくちゃなことを繰り返しています、たとえば鯨の問題。
グリーンピースなどのように「鯨保護保護」を訴えて一見すると動物愛護のような
偽善を主張する団体が有りますが、そもそも鯨を絶滅寸前まで殺しまくったのは
誰でしたか? 日本もイヌイットもノルウェーも捕鯨国といわれる国民は、鯨の
生態系を崩すほど鯨を捕獲したことはありません。今は鯨保護を訴える国々の人たちが
ランプの燃料としての鯨の油が欲しいために乱獲したのが生態系を崩してしまった
原因ではないですか。 油をとった後の鯨を貴方たちはどうしましたか?
全て捨ててしまっていたではないですか。 自分たちの行為を棚に上げて、鯨を食用と
するだけでなく、ひげも工芸用の部品として大事に利用してきた日本人を責める資格が
この人たちにあるのでしょうか? もっと腹立たしいのは、自国の歴史を全く学ぼうとしないで
捕鯨反対を平然と言ってのける日本人に対しては、頭を冷やして勉強し直して来いと言いたいです。
****************************************余談終わり
この一件では中国政府の大人の対応に感謝するとともに、死刑囚に対しては、自分の犯した
罪の重さ(つまり外国に行って重罪を犯したということ)を自覚し、罰としての死を厳粛に
受け入れてもらいたいです。そして日本に対しては海外で日本人が犯してしまう犯罪を戒める
キャンペンでもやって欲しいと思います。女子大生がイタリアの文化財に落書きした事件だって
日本人は軽く考えすぎているし、キリスト教徒でもないのに、欧米の教会で結婚式を挙げたがる
日本人カップルに対しても、現地の敬虔なクリスチャンたちがどんなに傷つけられているのか
知らしめて欲しいものです。彼らは自分たちの神が汚されたと考え、精神的なレイプをされたと
さえ思っている人もいるんですよ。
本当はもう一つ日本人の犯罪への鈍感さを追求したいことがあるのですが、長くなりすぎるので
一言だけにして本題は別の日にしたいと思います。
「日本政府に言いたい、早くハーグ条約を締結し、日本人が海外で誘拐してきた子供を
本国に帰してあげなさい」