『変身』 | 考えすぎ

『変身』

フランツ・カフカの『変身』
まんが版 も出ているようです。


主人公は、平凡なサラリーマン。
ある朝、ベッドの上で目が覚めたら、自分の姿が巨大な(人間大の)虫になっていた。
自分の体が変わってしまったこと以外は、今までと同じだった。
人が話している内容もわかるし、昨日までの記憶も鮮明に残っている。
しかし、体が変わってしまっているので、
以前のように話すことができない。
家族の理解を得るどころか、自分の意思を伝えることさえままならない。


ある日、極端に不条理な状況に突き落とされた主人公の、
孤独と焦燥を生々しくリアルに描いた作品。




この作品は、
「ある朝、自分が虫になっていた」
という状況設定を忠実に守り、
そこから当然の帰結として展開されるであろう人間模様や心理を、極めて冷静に描いている。


SF小説やファンタジー小説にありがちな、
「言葉はわからないけれども愛の力によって通じ合えた」
といった“都合の良い”展開は一切ない。
状況設定こそ非現実的であるものの、
SF小説やファンタジー小説とは一線を画する“不条理文学”と呼ばれている所以がここにある。