監督 マーク・フォースター
原作 マックス・ブルックス
原案 J・マイケル・ストラジンスキー
脚本・原案 マシュー・マイケル・カーナハン
脚本 ドリュー・ゴダード、デイモン・リンデロフ
撮影 ロバート・リチャードソン
編集 ロジャー・バートン、マット・チェシー
出演 ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ダニエラ・ケルテス
2013年 アメリカ/イギリス
マックス・ブルックスが2006年に発表したゾンビとの戦いを描いた同名小説を、
「キック・アス」「ツリー・オブ・ライフ」等で知られる、ブラッド・ピットが設立した
製作会社プランBが映画化した作品。
原作は、An Oral History of the Zombie War“”と副題があるように、アメリカ、イスラエル、
中国など世界12か国を舞台に、ゾンビと遭遇した様々な人々の忌まわしい記憶を
取材する形で書かれたオーラル・ヒストリーになっていて、ゾンビ以上に不死身の主人公が
活躍する映画とは趣を異にしています。
他にも原作のゾンビは動きが鈍かったり、ゾンビに襲われた感染者は直に症状が出ず、
一般人に紛れて海外に移動することでパンデミックが起こる原因になっていたりと、
視覚的な妙味に欠けるので、本作では、感染すると12秒の速さでゾンビ化して、
逃げ惑う人々を猛スピードで襲い掛かかる設定に変更して、映画としてのダイナミズムを
生み出すことに成功しています。
現在のゾンビ映画は、30年以上前に作られたジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・
ザ・リビング・デッド」が原点で、その後、恐怖映画の一ジャンルになるぐらい、
大量の作品が生み出されて来ましたが、本作の様なスケールの大きなゾンビ映画を
今まで観たことがありません。
土石流が押し寄せるように、数えきれないゾンビたちが都市を埋め尽くしていく光景は、
ホラー映画と言うよりパニック映画を観ているようで、手を替え品を替えて、
矢継ぎ早に繰り出されるアクション仕立ての修羅場に、拳を握りっぱなしでしたが、
主人公の行動の源泉である家族愛や人間を上辺しか描いていないので、
多くのハリウッド映画と同じく、心に何の足しにもならない、数年後には記憶から
零れ落ちて、忘れ去られてしまう類の映画です。