ヒアアフター | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・音楽 クリント・イーストウッド

脚本 ピーター・モーガン

製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ他

撮影 トム・スターン

編集 ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ

出演 マット・デイモン, セシル・ド・フランス, ブライス・ダラス・ハワード

2010年 アメリカ


本作は、他人が書いたシナリオ頼りのイーストウッド監督が、
その弱点を曝け出して、彼自身の輝ける作品歴に汚点を残してしまった凡作です。
東日本大震災の被害者に配慮して、上映を延期する切っ掛けになった、
冒頭の津波シーンで度肝を抜いた後は、津波に攫われて臨死体験した女性、
双子の兄を不慮の事故で亡くした少年、死者の声が聞こえる能力に嫌悪する
霊能者のドラマが独立して淡々と進んでゆき、最後には3つのドラマがひとつに
絡み合っていく設定ですが、あまりにも説得力の無い強引な纏め方で、
死を見つめることで、生きていく事の意味を見出す、
希望と再生のドラマとしてのカタルシスを味わうことは出来ませんでした。

臨死体験や死後の世界について興味がある方は、立花隆の『臨死体験』を
お薦めします。
臨死体験をした人が、『死ぬのが恐くなくなった』のと、『生きるということを、
とても大切にするようになった』と異口同音に話すと文中に書かれているように、
『生きている間にいくら死について思い悩んでも、死を回避することは出来ない。
生きている間は、生きることについて思い悩むべきである。』と言うのが著者の
結論で、読み終わって、映画で味わえなかった、人生に対するポジティブな
気持ちにさせてくれます。

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