神々と男たち | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚色 グザヴィエ・ボーヴォワ
脚本 エチエンヌ・コマール
撮影 カロリーヌ・シャンプティエ

編集 マリー=ジュリー・マイユ

出演 ランベール・ウィルソン、マイケル・ロンズデール

2010年 フランス


1830年からフランスに支配されていたアルジェリアは、
1962年に、FLN(民族解放戦線)の抵抗運動によって独立を
果たしますが、その切っ掛けになったアルジェリア戦争を描いた
『アルジェの戦い』が1966年に製作されて、世界中で絶賛されました。
しかし、映画のラストで映し出される、蜂起する市民の歓喜する姿も
束の間に、その後FLNの社会主義政策の失敗によって、
イスラム勢力が台頭すると、イスラム勢力とアルジェリア軍部との
内戦が勃発、1992年以降イスラム原理主義過激派によるテロが
頻発して泥沼化、やがてテロの標的は、軍や政府関係者から
一般市民へと無差別化して、21世紀には入った現在でも、
政情は不安定なままです。
本作は、アルジェリア危機と呼ばれているこの時期の1996年に、
何者かに誘拐されて殺された7人のフランス人修道士を主人公に、
テロの脅威に晒されながらも、フランス政府の帰国要請を無視して、
修道士としての職責を貫く決心をするまでの葛藤を描いた実話です。
7人のフランス人修道士を殺害したのは、ペンタルハで400人の村人を
虐殺する等の過激な活動で知られるGIA(武装イスラム集団)では
ないかとされていますが、映画の最後のテロップにあるように、
犯人および殺害の状況には今も謎が残っており、
最近、アルジェリア軍が、フランス人修道士をテロ集団と間違えて
発砲してしまったという、フランス軍の元将軍の新証言が出て、
話題を集めています。
『野の花は光を追って動くことはない。神は花のある場所で
受粉して下さる。』と修道士が祈りを捧げる神と、『アラーは偉大だ!』
と叫びながら自爆を決行するテロリストたちの信じる神との違いは、
一体何なのでしょうか。
確かなことは、どちらの神も沈黙を続けていると言う事なのです。


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