まえがき(はじめに)によると「15年間、英語教育の道一本で、ひたすら「暗記英語撲滅」だけを考えて試行錯誤してきた英語講師が、マジメに単語の本を書いたらこうなりました」とのこと。

著者の関正生氏。



世界一わかりやすい英単語の授業

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著者:関正生
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厳選400語を収録。

基本方針は

1語につき訳語はたくさん載せない(なるべく1つにして大事な意味が2つある時は2つの意味を関連させて解説する)

派生語・同意語・反意語はカット。
英単語に関して最初は余計なことを覚えないというのが著者・関正生氏の方針のようです。
ツタヤで借りられるDVD「世界一わかりやすい英単語」でも英単語に関して「①目標は1つだけ ②~した方がよいは×」とおっしゃっていました。
「まずは意味だけ」で英語を見て日本語を出せるようにする事が大事。
しかもうーん、うーんと考えてではなくパッと。

そして例文は短い。
これはありがたい。
あれもこれもなんて詰め込んだ長い例文は頭が悪い人間には困りものですから。

関正生氏の基本方針は「最小限の労力で英語力を上げる」事であり、当然英単語でもその姿勢を貫いておられます。

英語講師とすれば「あれも覚えろ」「これも覚えろ」、この単語にはこんな意味もあるんだ、覚えておけと言っておけばとりあえず説明した責任を表面上は果たせるのでしょうが、関正生氏はそういうのはお嫌い(と言うか生徒には何も役に立たない)と思っておられるのでしょう。
よって英単語も「語源」であったり「自分の知っている知識」であったり「音の感じ」からであったり「2つに分けてみたり(例 overlook=over(向こう)+look(見る)=大目に見る、見落とす)」して楽に英単語を覚えられるように構成されています。

このようなひたすら楽に覚える姿勢を最も感じる事ができる単語がevilです。
evilは(形)邪悪な(名)邪悪と言う意味です。
evilの先頭にdをつけるとdevilになるという解説です。
実際のところdevilとevilは似ていますが無関係だと解説しています。
しかしどうせなので一セットで覚えてと言っています。

「事実なんてどうでもいいので楽に覚えられればいいんだ」と言うことですね。
確かに私たちは言語学者になろうとしている訳ではないですから。

ただし自分の知っている知識から覚えるパターンでは覚えられない単語もあります。
私なんかはスポーツの知識がありませんので「チョークスリーパー」(格闘技で相手を窒息させる技なのだそうです)を元にchoke=窒息させると言われてもピンときません。
またネット上では「burglar=強盗」の項で取り上げている「マクドナルドのHamburglar(ハンバーグラー)を知らない」と言う意見もありました。
確かに私も知りません。
ネット検索したらコレだそうで、そう言えば見たことがあるけど名前は知りません。

著者としてはなるべく多くの人が知っていそうでかつ広い分野の知識から苦心して引っ張ってきているのであって、例えば著者は男性だが「ヴァニティーケース=化粧箱→からvanity(名)見栄」というのも挙げています。
人の知識・趣味はそれぞれなので「私は知らん」と言う事を批判的に言っても仕方がないと思います。
あなたの知っている知識は隣の人は知らないかもしれないからです。

よって現実的にはそのような自分が知らない知識を元に解説がなされている場合は

①別の自分の覚えやすい覚え方で覚える
②仕方がないのでひたすら暗記する
③諦めてすっ飛ばす

のいずれかかと思います。
実際に厳選された400語が読者にとって必須かどうかはわかりませんし。(大学受験のことはわかりません。当方34歳のおっさんなので)
③諦めてすっ飛ばす場合は、どこかで出てきたら覚えればいいと思います。
その時は「リアリティ」を持って覚えられるでしょう。

さて、この本の目的は400語を覚える事は言うまでもないのですが、もう1つは「この本にあるような方法を駆使して楽に400語以外の単語も覚えられないか自分でやってみよう」と言う事なのだと思います。
よって「ハンバーグラーなんて知らない」という批判はあまり批判としては的を射てないように思います。

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