↑
タイトルは上記から取りました。
「それでもボクは信じない 」同様、ブログの中身とは全く関係ありません。
民主主義国家について自国の運命のルーレットを廻すのは国民自身(のはず)です。
選挙と言う機会に自分たちで自分たちの運命のルーレットを廻す訳です。
そして今月17日、1回やった議会選挙にて自国の運命を決められなかったため再選挙に突入する国があります。
それは<あの>ギリシャ。
しかしギリシャの場合は、ギリシャの有権者が自国の運命を決めるだけではなく、欧州の運命を、いや場合によっては世界の運命を決める事になるかもしれないと言う異様な状況です。
14日の「クローズアップ現代」ではギリシャ国民が廻したルーレットの結果が世界経済危機へ伝播するリスクについて触れていました。(「ユーロ離脱か残留か ギリシャ再選挙の行方 」 関東視聴率11.8%)
今から約1か月前の5月15日日経新聞記事に「ギリシャ、ユーロ離脱のXデー 通貨暴落、インフレ必死 国民の8割残留を望むが」と言う記事があります。
今回はこの記事を取り上げたいと思います。
その前にギリシャについての大まかな流れ。
①ギリシャが財政支援を受けるために緊縮財政(簡単に言えば予算額を減らす事)を諸外国に約束させられる(2大政党が文書で約束させられる)
↓
②ギリシャ議会選挙で緊縮財政を約束させられた2大政党がまさかの過半数割れ
↓
③組閣に向けて連立協議開始するが難航する
↓
④連立協議失敗で再選挙確定
↓
(⑤6月17日 議会再選挙 もしかしたら世界の運命を決める事になるかもしれないルーレットが廻される日)
この記事が書かれたのは③の時点です。
もはやほぼ連立協議は無理で④へ行くだろうと言う時点です。
この記事ではギリシャがユーロを離脱した場合どうなるのか予想しています。
資金逃避が起きないよう、資本規制や国境検問を敷く。
だが新ドラクマ(*注 引用者)通貨価値が大幅に切り下がるのは明らか。
切り替え前にユーロの現金を持とうと預金者は銀行に殺到するはずだ。
資本規制の網も万能ではない。
離脱方針の議決に始まり、新ドラクマの紙幣デザインから印刷、各金融機関への輸送、実際の紙幣の交換といった作業には長時間を要する。
その間に混乱が増幅するのは自明だ。
焦点は新ドラクマの切り下げ幅だ。
エネルギーなどの輸入価格は上がる。
インフレで国民生活は厳しくなり、国内総生産(GDP)の160%にのぼる政府債務も膨らむ。
外貨建て債務負担が急激に増えるので、ギリシャ企業の債務不履行は続出するとみられる。
緊縮を拒否したギリシャ国民の8割がユーロ残留を望むという矛盾した世論調査の結果は、行き場のないギリシャの深い葛藤を示す。
(*)ドラクマ=ユーロ導入前のギリシャ通貨。
(以上紫字記事引用 太字・赤字・注は引用者)
この期に及んで「外国からカネは欲しい。けど緊縮財政をするのも嫌だしユーロにも残りたい」。
これがギリシャ国民の民意。
民主主義国家において民意を反映させるのが正しいとすれば、このような政策を実行するのが正しい事のはずです。
本当に?
そんな事は「市場(経済)」が許すのか?
また他の民意もあります。
それはドイツでの民意。
ギリシャのためにカネをむしり取られているドイツ国民は支援を嫌がっています。
さらにドイツ人から見ればギリシャ人はかなりグータラに見えるようです。
ドイツの民意に従えば「もうギリシャにカネを出すなんてまっぴら御免」となります。
どちらも民主主義国家における民意です。
はて困った。
去年の11月放送「未来世紀ジパング 」ではそんな状況をアリとキリギリスに例えていました。
マジメなアリさんはドイツ、グータラなキリギリスはギリシャです。
マジメなアリさん(ドイツ)は支援疲れ、グータラなキリギリス(ギリシャ)は緊縮財政疲れを起こしています。
きっと問題なのは打ち止めが見えないからでしょう。
もうこの辺で終わるだろうと言うのが分かれば我慢もできるのですが、その打ち止めへの光が見えないと嫌になっちゃう。
ギリシャ人は緊縮財政で年金は減るは、公務員はクビになったり減給されるは、仕事はほとんどなくなるはの状態が続いています。
しかも緊縮財政は景気を悪化させる(と言われています)から我慢すればするほど景気が悪化する。
景気が悪化するので税収が減るので思ったほど財政再建が進まないと言う悪循環に陥ります。
泥沼にはまります。
「じゃぁ、何のためにこんなに我慢しているのか」と。
ギリシャが泥沼にはまれば、危機から脱出できないので財政支援の連鎖となります。
ドイツ人は「いつまでカネをむしり取られるのだ」と。
こんな状況下でギリシャ議会再選挙。
ノルウェーにおける年金改革の成功例を元にした「民主主義国家では大事な問題こそは民意を無視しないと妥当な政策が実行できないのか? 」の最後にてギリシャの再選挙の事に触れました。
この記事ではノルウェーの年金改革の姿勢として「大事な問題で民意をくみ取っていたらロクな結論が出ないか、収拾不能になるのがオチだ」と言う考えがあったのではないかと述べました。
このギリシャの件でも同じことが言えるかもしれません。
ギリシャでは緊縮財政を約束させられた旧2大政党と緊縮財政に反対する諸政党が激しい選挙戦を行っています。
緊縮財政を破棄を主張している中でも急進左派が伸びています。
この急進左派の主張 が「緊縮財政を伴う支援条件は破棄するが、ユーロ圏にはとどまる」という何ともギリシャ人にとっては都合が良いものです。
緊縮財政は苦しいので嫌だけど、ユーロ圏離脱で先の引用のような苦しみを味わうのもいやだと。
ただしこれがギリシャ人の民意です。
さすがキリギリス様です(笑
ギリシャ問題というのは経済だけではなく、結構「民主主義」にとって深い問題だと思うのですがあまりこの点を気にする人はいないようです。
ユーロがどうなる、世界経済に波及するという事はグローバル経済で我々の生活に直結するので大事である訳です。
しかし少し視点を変えれば「民主主義」の根幹に触れるような「政治的な」問題でもあるようにしか思えません。
ギリシャ人の民意は「市場(経済)」の前に屈するのか?
屈するとすればそれはもう実質的に民主主義とは言えないのではないか?(屈するようにするために外部から旧2大政党に誓約書を書かせた訳です。書かせた側も市場(経済)に脅されている状態です)
逆に市場(経済)が求めている緊縮財政に民意があくまでnoを突き付けた場合(このケースでは急進左派などが勝った場合)、その選択は単なる自爆行為、しかも世界をも巻き込みかねない自爆行為でしかないのではないかということです。
先ほど述べた「大事な問題で民意をくみ取っていたらロクな結論が出ないか、収拾不能になるのがオチだ」ということです。
急進左派が言っている事はかなりまゆつばモノにしか見えませんけど、ギリシャ人はそのまゆつばモノを信じるしかないのかもしれません。
「ただ、ギリシャが欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から受けた支援の条件を破棄してもユーロ圏からの離脱を余儀なくされると恐れることはないとし、「投機筋」はギリシャの離脱に賭けるべきではないとした」
なんて威勢の良いことを言ってますけど、自分たち急進左派などの緊縮財政反対派が勝ったら投機筋(これも市場(経済)の一部)におもちゃされてグチャグチャにされる事が分かっているから言っているのでしょう。
でも投機筋はそんな事を言われたからって黙って見過ごす可能性はほぼ0でしょうけど。
むしろ政治的に混乱するほうが儲かると手ぐすね引いて待っているんじゃないですかね。
このように緊縮財政派、反緊縮財政派のどっちが勝っても「ギリシャにとっての民主主義」とは何なのであろうか?と思ってしまう次第です。
これって結構深い問題だと思うのですがね。
「さすがギリシャ、キリギリスの国だ」とアリさんの国である日本人は言うのでしょうかね。
わがニッポンも国が借金まみれの上に社会保障を削るのは嫌だ、増税は嫌だと駄々をこねているようにも見えます。
去年、年金額減額の可能性を言ったら厚生労働省に批判の電話が殺到したそうですからね。
これも強力な民意ですからね。
世代間格差論者の私から見れば厚生労働省に電話した奴らは国賊ですけど(笑
この手の話(特に増税)になるとみんなが自説を唱えて収拾不能になっちゃいますよね。
日本国債についての見方は本当にさまざまです。
私のように「今から消費税アップなどの財政再建をしても手遅れ」という過激な意見と、岩本さんの言うように「日本はまだ余力があるから消費税アップを急ぐ必要はない」という楽観的な意見と、現在野田内閣が行っているように「消費税アップをここで行うことで財政再建を間に合わせよう」という姿勢と、いろいろです。
(上記紫字部分「2013年 株式投資に答えがある」p265より抜粋)
- 2013年、株式投資に答えがある/ビジネス社
- ¥1,575
- Amazon.co.jp
増税することが唯一の答えではないでしょうが、ほとんど何も考えていなかったり、自分にとって都合が良いからというだけで増税不要論に賛成するのはおそらく今のギリシャ人と変わらないのではないかと思います。
先に述べた厚生労働省にクレームの電話をしている老人並みにひどい(笑
増税になると言い出すのが「先にやることがあるはずだ」論ですが、それは「やるべきことはあるでしょう、永遠に」と。
究極的にはトヨタの「カイゼン」じゃありませんけど現状に満足せずにカイゼンし続けるのが正義な訳です。
だから「先にやることがあるはずだ」と言えば永久に答えは「yes」である訳です。
「先にやることがあるはずだ」論を唱える人の大半(全員ではないでしょうけど)は増税が嫌だからこの論を唱えているだけのようにしか見えません。
我々にとっての問題は「先にやることがあるはずだ」と言い続けて問題を先延ばしにしてどうにもならないところまで来た時には今のギリシャ人みたいなところまで行くのかどうかという事でしょう。
行くの行かないのかは分かりませんが、万が一行ったら「日本人にとっての民主主義とは何であろうか?」と言うところまで突き付けられるのでしょう。
向かっている道はギリシャと似ているように見えます。
少なくとも政治的には。
東京新聞記事に「消費増税へ3党合意 一体改革談合の末 」とあります。
民・自・公という枠組みで消費税増税路線を決めてしまおうと言う事でしょう。
つまり民・自・公という現在の議会1~3党で基本路線を決めてしまい、国民に選択肢を与えないというという風にも見えます。
衆院解散前に決めてしまおうが、万が一増税前に衆院選を迎えようが消費税増税は決定事項で国民に実質的には選択権はないと言う枠組みを作っておく。
「談合の末」と東京新聞は悪く書いていますけど、前回取り上げたスウェーデンの年金改革の成功例で述べた「年金問題と言う大事な問題は民意を無視することが正しい」という視点で見ればむしろこっちのやり方が王道とも言えます。(スウェーデンの年金改革を実質的に決めたワーキンググループは非公開だったそうです)
オウム事件でマスコミがあたふたしている、1万人反原発デモでネット上があたふたしている隙を狙った訳でもないでしょうけど(いや狙っている?)
このやり方がスウェーデンの年金改革のようにうまく行くのかそれともギリシャのように民意の押し戻しがあるのかどうかは私には良く分かりません。
押し戻しを行う可能性があるのは民主党小沢グループか橋下大阪市長グループでしょう。(または両グループの合体・提携)
ギリシャの急進左派みたいになる可能性があるのは小沢氏・橋下氏のどちらか(または両方)であるような気がします。
別に恨みはありませんがもし小沢・橋下の両氏が本気で行動すれば「みんなの党」はおそらく埋没すると思います。
特に橋下氏が本気で動けばみんなの党は相当厳しいでしょう。
民・自両党への批判票で生きてきた政党(昔の共産党みたい)だと思いますので。
渡辺氏が一生懸命「アジェンダ」と叫んでもみんなの党に一票入れた人が本当に党のアジェンダを理解し共鳴して投票したかはかなり謎だと思いますので。
共産・社民左派はギリシャと違ってもはやいるんだかいないんだか分からない。
国民新党も同様。
日本の政治状況はこんな状況だと勝手に妄想しています。
日本がどうなるかは分かりませんが、もしギリシャみたいになったら悲惨ですね。
ギリシャはなまけもののキリギリスだからひどい目にあったのに日本はマジメなアリさんなのにひどい目にあう訳ですから。
どれだけドMなのかと(笑