纐纈さんの作品は「祝の島」でもそうなんですが、いろんな要素が入っています。人によっては複雑とか、散漫とか言う人があるかもしれないですが、私はむしろ、ニュートラルなところにギ

アが入った人で、その場で心に触れたものをどんどん取り込んでいく、凄い能力なんだと思いました。それでいて、しっかりした軸を持っているし。以下コメントです。「1年4か月かけて撮

影したんですが、取材させていただいたお仕事を、どう見ていただくかで、最初に決めたことがあって、まずきちんと見ていただきたい、というのが目標としてありました。その空間と仕事を

どう見せるかとか、職業人として当たり前に、普通に、仕事が暮らしの大切な一部であることを見せていかないと、映画に出来ないと思ったんです。それをするために、家族の人間性がわかる

シーンがあったり、どこでどんなふうに食事をしてあれをしてこれがあって、仕事場もその一部である、ということができるのかな、と。お仕事のところだけ切り取っても十分成立するという

風にはしたくなかった。家族のこと、歴史を入れて、ひとつのもので見ようとしないようにしました。後から自分で見なおして、いろいろ思うというのもありますが、自分が思いながらカメラ

を向けていることが大切で、ナレーションとかダメ押しにいろいろ重ねたりする必要はあまりないんだろうと思ってます。私がそう思って撮ったように、観た人もそれを感じるということがあ

るだろうと。そこにあんまりプラスしたくはないんですね。」(つづく)

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