「ナージャの村」「アレクセイと泉」「バオバブの記憶」の監督、本橋誠一さんと初めてお会いしたのは、「ナミイの唄」という小さな映画の公開前でした。既に写真家として名を成して

おられる本橋さんですが、映画は必ずしも成功したものばかりではありません。この「ナミイの唄」は特に、営業するにはしんどい作品で、取材先のエレベーターに入ってこられた時は、ひど

く疲れ切った表情をしておられたのを覚えています。石垣島生まれのあるお婆さんを取材していくうちに、そう遠くない過去の日本の記憶が生々しくよみがえってくるドキュメンタリーでし

た。今は年老いたナミイおばあさんが、昭和初期に石垣から那覇の花街に、250円で売られてきた・・というところから始まる悲しい話で、唄うことが得意なナミイさんのキヤラクターを生

かして、わりにカラッとしたミュージカル仕立ての演出にしてあるのですが、やっぱり内容はどう演出しても、かなり悲しいわけです。  (つづく)

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