オウム病になった文鳥愛好者っているのかしら? | 文鳥屋店主 敬白

文鳥屋店主 敬白

~商品案内その他もろもろ~

 妊婦さんで、オウム病で亡くなられていた事例があって、ちょっと話題になってますね(夕刊が無くて安いのが魅力な朝日新聞が大嫌いな産経新聞の記事)。でも、なんにも知らない人に大まかな報道をしても、不安がらせるだけかと思います。オウム病って、古くから知られてるのによくわからない病気なんですけど、事例がおきるたびに「鳥を飼うときは気をつけろ!」とか、わからないだけに大まかに言われちゃうので、迷惑するんですよね。

 

 この病気は、細菌のクラミジアに感染して起きるんですけど、クラミジアにはいろいろ種類があって(人には性病を起こすのもありますね)、生物種ごとにちがいがあったりします。で、鳥類のクラミジアが「psittaci」、カタカナなら「シッタシ」なんですけど、みなさん「ちょっとまった~」、と不思議に思われませんか?鳥類全体で一種類しかないことになってるんですよ!ほ乳類だったら、人に感染する共通感染症と言えそうなものでも、流産を引き起こすヒツジのクラミジア(abortus)とか、結膜炎を引き起こすネコのクラミジア(felis)とかあるのに、ほ乳類のおよそ2倍の1万種もいてしまったりする鳥類で、クラミジアが同じわけないでしょうに!!
 つまり、細かくわかっていないんでしょうね。で、オウム・インコ類に固有のクラミジアが人に感染してしまって、古い病気なのにその危険性を知らない人がいて、たまたま発見がおくれる不幸がかさなった話をもってきて、「鳥を飼うときは気をつけろ!」なんですから、イヤになっちゃいますよ。
 鳥類の多くにクラミジアの「psittaci」が共通して存在するのに、人に重大な影響をあたえるのが、すごくたま~なケースで、そのレアケースの過半が、オウム・インコ類なんです(「オウム病の感染源となった鳥類の追跡調査では、60%がオウム・インコ類」by国立感染症研究所の記事)。他にはドバトの保菌は多いとされていて、ドバトと言ったらあんなに公害になってるのに、オウム病の感染源として問題になってないのは、「psittaci」が鳥の種類によって、シッタシーA型、シッタシーB型、シッタシーC型・・・とちがいがあって、人への影響もそれそれちがうと考えるのが、あたりまえだと思うんですけどね。
 でも、そこまで細かく今の科学ではわかってないので、鳥類みんなヤバイ、になっちゃう。文鳥とデレデレすごしてオウム病になったケースなんて、たぶん無いのに、です。科学的にわかってるのが「psittaci」だけで、それを持つ鳥類みんな危ないことにすればカンタンですけど、将来的には、非科学的なレッテルはりだったと気づかされるんじゃないかなぁ。

 

 オウム病でさわぐ前に、妊婦さんは普通の状態じゃないので、いろいろ気をつかわないといけないことをもっとケーモー(啓蒙)してほしいですね。お腹が大きいのに、生肉なんて食べてトキソプラズマに感染してしまうようなこともあって、トキソプラズマって原虫は、ごく一時期の発症ネコから多く排泄されるものだから、「妊娠したらネコ飼うな!」とか、とってもおおざっぱなことを言う産婦人科のお医者さんもいるくらいですから。みんなダメにしとけば安心なんて、非科学的すぎてどうかと思いますよ。
 愛鳥家の妊婦さんは、妊娠期間に新しいインコ類をむかえたり、ペットショップとかよその子を見に行くのはひかえるとかして、もし肺炎症状がおきたらオウム病の可能性を考えるようにお医者さんにいえば、ほとんどの悲劇はさけられるはずですから、あわてることはないです。厚生労働者様その他関係各位のご努力で、それくらいは常識となってくれるよう願います。