球状雑記
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『ハウルの動く城』(再掲) ※ネタバレ

2004年日本
監督・脚本/宮崎駿
原作/ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
声の出演/倍賞千恵子 木村拓哉 美輪明宏


あちらこちらで言われていることだが「キムタク=ハウル」は俺としても全く問題無し。
しかし逆に大問題にされてる人がいるわけだが…

主人公ソフィーは荒野の魔女の呪いによって己の内面にふさわしい外見、つまり90歳の老婆にされてしまう。そして彼女が若々しい内面を取り戻すことによって元々の18歳の外見を取り戻す。
というのがストーリーの大きな軸としてあるわけだが、宮崎駿はそれを観客に実感させるためにあらかじめもう一つの呪いをかけておいた。その恐るべき呪いの正体とは…

18歳のソフィーに倍賞千恵子の声を与えること。

この映画を観てソフィーが口を開いたとき、あまりの違和感に誰もが映画館の椅子からずり落ちただろう(前の席に座高の高い野郎が座って目障りだった人はそんな配役に感謝したかもしれないが)。
しかしそれは宮崎駿にとってまさに期待通りの反応にすぎない。その違和感こそ宮崎駿の求めていたものだったからだ。
当然そんな違和感は登場人物だって感じるわけで、荒野の魔女はあっさりと
「その声にふさわしい外見になっちゃいな!」
とばかりに呪いを発動、ソフィーの外見を「倍賞千恵子の声にふさわしい」90歳の老婆に変えてしまう(ひでぇ)。
本当に倍賞千恵子の声が90歳の老婆にふさわしいかどうかは置いといて、とりあえずこれで声と外見はなじんだ。
「子供のくせに声が婆くさーい」と常日頃からいじめられ(<憶測)、外見と声の乖離にコンプレックスを抱いていたソフィー(<超憶測)は声にふさわしい外見を得たことで逆に生き生きしだす(なんか「性同一性障害」の話みたいだな…この場合「声同一性障害」か)。

実際眠っているときは声を出す必要がないのでソフィーは18歳の外見に戻っている。
このとき寝言を言おうものならそのときだけソフィーは老婆の姿に戻ってしまう…に違いない!(<妄想)

話を「表向き」のストーリーに戻すと、ソフィーはハウルの城での様々な経験によって徐々に内面の若々しさを取り戻していく。
それはソフィーの外見が内面の変化に応じて「中年女性」「18歳の少女」と姿を変えることで表現されるのだが、それは観客が頭の中で「理屈」として「見た目年齢がこのくらいだから、心の年齢もこのくらいと言いたいわけね」と納得しているに過ぎない。しかしそのとき同時に観客は「倍賞千恵子の声」が少女の姿のソフィにもなじんでいく過程を「理屈」ではなく「実感」として受け入れはじめる。
そして最後ソフィーは完全に(髪の色以外は)少女の外見を取り戻す。
それは彼女の内面が18歳の若々しさを取り戻したことを表すのだが、それだけでは観客は頭の中で理解することしかできない。「倍賞千恵子の声」が「18歳の少女の声」として響くことを無意識のうちに受け入れることで観客はソフィーの心の旅を「実感」として得ることができるのだ。

ソフィーがはじめて声を発したとき実は観客こそが宮崎駿の「呪い」にかかってたのである。


*補足
かなりこじつけ臭いレビューになってしまった。でもこう考えると宮崎駿が「クライマックスでドラマティックにソフィーの呪いが解ける」という王道の展開をあえて避けたのも納得がいくのだ。ソフィーが少女の内面を得ることで急激に外見を変化させるという展開は映像上は簡単に表現できるが、違和感があったはずの声が「なじむ」というのを「ドラマティック」に表現するのは難しい、いや不可能だろう。
呪い解除のカタルシスを捨ててでも宮崎駿は「声がなじむ」ことにこだわったとしか思えないのだ。

(バウ)

2004.12.22 球状媒体批評より再掲)


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せっかくこまめに更新しようと決意したのにアメブロで記事の公開が上手くいかない。
「公開」ボタンを押してもポップアップブロックがはたらいて公開できない。
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