人生勝ち負けでは無い
今、オリンピックの真っ最中ですね。私は元々国体とかインターハイに何回も出場した事のあるスポーツ選手です。西日本の強化選手にも選ばれていました、若い頃の私はスポーツが大好きでした。スポーツ好きの両親に育てられたので、家庭環境としてはスポーツをしないと人間では無いような雰囲気がありましたね。そしてやはり勝たなければならないという意識が強かったです。普通はそのままスポーツ好きで一生が終わる人が多いと思います。
ところが今の私はスポーツが悪いとは思いませんが、勝ち負けにこだわるところが嫌なのです。「一生懸命やったのだったら勝っても負けてもいいじゃない」と思うのですね。もし本人が自己ベストを出していれば良いと思うのです。ところが、日本のマスコミは金メダルが何個とかメダル獲得数がどうとか、オリンピックでメダルを取らないと敗者で終わりみたいな雰囲気を作るのが好きですね。勝たなければならないとか、日本の威信をかけてとか選手を追い込むような事ばかりを言っています。そしてそのプレッシャーに負けずに勝てば賞賛されるのですね。
昔の私もそうでしたが、そういうことが当たり前のようになっていますが、今の私は｢ちょっと違うだろう？｣と思うのです。勝てば全てみたいな概念は人生にとっては良くないと思います。まあ、勝てば良かったねとは思いますが、負けても一生懸命やったのだから良いじゃないと思うのですね。だから私の中では勝ち負けは余り問題では無いのです。自分の力を出し切ったかどうかが一番大切なことなのですね。だから、オリンピックをテレビで見る気には余りなれません。まあ、道場にはテレビがありませんので見ずに済んでいます。
オリンピックで金メダルを取るのは名誉なこととは思いますが、メダルを取らないとダメみたいな雰囲気は好きではありません。人生でもそうです。勝ち負けにこだわらなければ勝ちも負けも無いのです。自分を出し切ったかどうかが大切で、勝った負けたなどは意識しない事です。自分なりに一生懸命する事は大切です。ただ、周りの雰囲気に流されて勝ち負けみたいな概念を持たない事ですね。
禅の修行で参禅の時に、自分が老師に持っていく答えが間違っていると、老師に鈴を振られます。この鈴が鳴ると何があっても参禅の部屋からはすぐに出なければなりません。一生懸命坐禅して持っていった答えがあっさりと鈴を振られることになるのです。そこでまた苦心するわけですね。答えが間違っていれば負け、公案が通れば勝ちという概念ならば、禅ではしょっちゅう負けばかりという事になります。まあ、負けっぱなしで一つの摂心が終わる事もあります。私など最初の公案が通るのに二年かかりましたから、二年間負けっぱなしという事になりますね。
面白いのはスッと通る公案より、苦心して鈴を振られっぱなしで通る公案の方が結果としては自分のためになっていると思います。だから勝ち負けでは無いのです。一生懸命やるかやらないかです。諦めずに一生懸命するのです。勝ち負け程度の概念では計り知れないものがそこにあるのですね。私はこれが大切だと思うのです。世間一般の勝ち負け程度の狭い心の境涯に捕らわれずに、そこを越えたところに何とも言えない穏やかなそして豊かな境涯が広がっていると思います。まあ、私は私なりにスポーツでの勝ち負けは国体、インターハイに出ていた頃にやりきったと思います。そして、その頃を思い出すと｢ご苦労さんだったな｣と思う程度ですね。
勝ち負けに捕らわれた人生では本当の意味で人にやさしくなれないような気がします。勝てば官軍なのですから。これでは人生を本当の意味で味わう事にはならないのですね。でも人生はそんな程度のレベルでは終わりたくないものです。だから人生は勝ち負けではありませんよ。本当の安心は勝ち負けの中にはありません。「安心」イコール「幸せ」ですから、「人生大安心」という心の境涯を参禅で老師に鈴を振られっぱなしになりながら、死ぬまでには得たいと私は願っています。
合掌
仏光
仏光さんの名古屋講演
来る８月５日(日曜日）に下記の要領で名古屋での講演が決まりました。定員に制限がありますが、どうぞ参加してください。
E-mail：hirosix20002000@yahoo.co.jp
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