『ケンカに強い わんぱく空手』はワニの豆本で、
当時中学生の私にも求めやすい大変安い価格でした。
中には、極真空手の強さを物語る、大山倍達の実践エピソードや
極真空手の技術などが書かれていました。
タイトルとは裏腹に、本文に「ケンカに使ってはいけません」
と書かれていたのには、当時中学生の私は戸惑いました。
大山先生の実戦エピソードは、実は架空のものが多いと、
今日では言われていますが、とりわけ目を引いたのは、
唯一の敗北のエピソード。
太極拳の陳老人に敗れたという話です。
前回書いた松田先生の『秘伝 陳家太極拳入門』には、
陳家溝の直系、第17代の陳発科は北京において敗れることが一度もなかった
との記述があり、私の中ではすっかり
陳老人=陳発科
になってしまっていました。
『わんぱく空手』では、たんに「陳老人」としか書かれておらず、
また中国のどこで立ち会ったと書いてあったか覚えてないのですが、
まあ、ともかくもまったくの思い込みだったようです。
そんなわけで、空手の本を読んだ私は、
ますます陳家太極拳をやりたくなってしまいました。