認知

認知とは、自分が体験することに対する

「受け止め方や考え方」です。

認知療法の基礎は、「人の気分というものは、

現実の物事や状況によるのではなく、

その人の物事のとらえ方によって左右される」

という事実から出発します。

 

 

エピクテートスというローマ時代の哲学者の次の言葉が、

この事情をよく語っています。

「人を悩ませるのは、事柄そのものではなくて、

事柄に関する考えである。」  

 

 また、「心暗きときは すなわち遇うところ ことごとく禍なり

 眼明らかなれば 途に触れて皆宝なり」と述べたのは空海です。

 

心が沈んでいるとすべてが良くないことになる。

心に光明があれば,すべてのことが、

かけがえのない幸福になるという意味です。

つまり、人の気分というものは、

客観的な事情によるというよりは、

むしろ多くの場合、自分の主観的な考えや感じ方によるのだ、

ということです。

 

このように、人間は、考え方や受け止め方の違いによって、

感情に変化が起きます。

言い換えれば、認知は、知性や知恵ということがいえます。

よく、自慢げに「私は短気で怒りっぽい」という人に会いますが、

「自分に知性はなく、知恵もありません」といっているようなものです。

 

怒りは、自分と他を区別することから始まります。

区別することで相手と対立するのです。

そして、相手を否定、拒否するようになります。

 

自分は正しく、相手は間違っているという考え方です。

しかし、よく考えてみてください。

 

自分の中にある正しさは、

相手も同じように持っているのです。

だから、知性のある人は、

自分の中にある正しさは自分には使えるが、

他者には使えないと考えます。