まだ、日中は30度を超える暑さが続きますが、朝夕には涼しい風が吹きはじめ、下旬からは秋の気配が少しずつ感じられるようになってきます。季節の移ろいは、私たちの体と心にさまざまな影響を与えます。その中でも「眠り」は特に敏感に反応します。
これまで「眠れない」「夜中に目が覚める」といった不眠の悩みをお伝えしてきました。特にお母さん世代は、家事や子育て、介護や仕事との両立で心身ともに休まらず、「布団に入っても眠れない」「夜中に何度も目が覚める」といった声が少なくありません。
あるお母さんの事例です。
昨年の夏も気温が下がらず、エアコンをつけても寝苦しい日が続きました。子どもの夜泣きに何度も起こされて熟睡できず、朝になっても疲れが抜けません。昼間は集中できず、つい子どもにきつい言葉を投げてしまうこともあり、「どうして眠れないのだろう」と自分を責めてしまう…。眠れないこと自体が心の負担を大きくしてしまうのです。しかし、10月初旬になると、状況は変わりはじめます。夜風が涼しくなり、布団に入ると体温が自然に下がって眠りにつきやすくなります。さらに日照時間が短くなることで「メラトニン(眠りのホルモン)」が増え、眠気が訪れやすくなります。本人も「あれ? 気づけば夜中に起きずに眠れた」と驚くほど。翌朝の目覚めも軽くなり、昼間の気分もぐっと楽になったのです。
秋が眠りにプラスになる科学的理由
① 深部体温が下がりやすい → 秋の涼しさは自然な入眠を助ける。
② メラトニンの分泌が増える → 日照時間が短くなることで眠気が訪れやすくなる。
③ 自律神経の安定 → 夏の暑さで優位になっていた交感神経が落ち着き、副交感神経が働きやすくなる。
今週の実践ヒント
① 就寝前は静かな時間を持ち、心を落ち着ける。
② 朝はカーテンを開けて光を浴び、体内時計を整える。
③ 短い昼寝やホメオストレッチを取り入れ、睡眠リズムを戻す。
30日のふれあい広場に向けて
今月30日の「ふれあい広場」では、不眠を話題に取り上げます。眠れない夜は誰にでもありますが、「秋は眠りを後押ししてくれる季節だ」ということを知るだけで、気持ちは軽くなります。同じ悩みを共有しながら、安心を得て、新しい工夫やヒントを持ち帰っていただけるはずです。
秋は、眠りを整え直すための大きなチャンス。今週は、体と心のリズムに寄り添ってみてください。