獣医師は国家試験合格し一定水準を超えていればOK 2年前の国家戦略特区WGヒアリング(その2) | KHのアメーバブログ

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テキトーなタイミングで、テキトーにコメントします。

※この記事は、『獣医師は国家試験合格し一定水準を超えていればOK 2年前の国家戦略特区WGヒアリング(その1)

http://ameblo.jp/brendy6m/entry-12284111409.html

の続きです。

 

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今からほぼ2年前の平成27年6月8日、「国際水準の獣医学教育特区(愛媛県・今治市)」をテーマとして、国家戦略特区WGヒアリングが東京・永田町合同庁舎7階特別会議室おこなわれました。その時の議事要旨が以下のURLで公開されています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

 

 

 

農水省のたくさんある食堂のうちの和食屋さん。

http://www.maff.go.jp/j/heya/syokudo/#wasyoku

ブログ主がこのあたりで働いている頃は、しばしば農水省の食堂を使用しました。最近はどうかわかりませんが、当時は、なんと620円で1人前のにぎり寿司が食べれたので、相当なお得感がありました笑。さすが農水省!

v(。・ω・。)ィェィ♪

 

 

 

WG委員として、原英史委員(株式会社政策工房代表取締役社長)、本間正義委員(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)、八代 尚宏委員(国際基督教大学教養学部客員教授、昭和女子大学グローバルビジネス学部特命教授)の3名が出席しています。

 

 

関係省庁として、文部科学省高等教育局専門教育課の北山浩士課長、牧野美穂課長補佐、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課の藁田純課長ほか課長補佐2名が出席しています。

 

 

さらに、WG事務局として、内閣府地方創生推進室の藤原豊次長、富田育稔参事官ほか2名が出席しています。

 

 

2年も前の、このWGヒアリングの議事概要を読むと、初めは、WG委員・事務局に対して、強く抵抗する文科省側、それに追従する形で文科省をヨイショする農水省の姿が描かれていますが、

 

途中で、国家資格試験で一定以上の質が担保された獣医師が増えた場合に何が問題なのか、改めて、繰り返し、その理由をWG委員から問われ、文科省はたまらずに農水省に話を振るが、農水省側から「はしご」を外され、獣医学部新設を文科省の告示で規制するという文科省の既存の枠組みには明確な根拠がないことが明らかになっていく様子、すなわち文科省側の考えが破綻していく様子が見て取れます。

 

 

それにも関わらず、ほぼ2年後の2017年年5月25日の記者会見で、前川喜平・前文科事務次官は、次のように述べています。

 

「本来なら、農林水産省から獣医の人材需要への明確な見通しが示されるべきなのに、それは示されず特例を認めることになってしまった。極めて薄弱な根拠のもと認められた」

 

 

2年も前に、文科省自身の考えの方が根拠希薄の考えであることが明らかになり、既に瓦解しているのに、多くの国民がその事実を知らないと思ったのか、あるいは、いちいち過去の国家戦略特区WGの議事禄にまで目を通さないと高をくくったのか。

 

 

前川前事務次官は、その事実には触れず、既に瓦解したはずの旧態依然として自省の考えを、さも正論であるかのごとく、公言している、、、、ブログ主はそう感じました。

 

 

さて、この議事概要は長いので、今回を含め3つのブログ記事にわけて掲載していきます。前回に引き続き、今回がその続きの議事概要の部分になります。なお、読みやすさを考え、文科省関係者の発言を濃い赤茶色で、農水省関係者の発言を濃い緑色で、表現することとします。

 

 

 

越境国際感染症は農水省の根源的な政策課題   

  

 

○本間委員 私が聞きたいのは、従来の犬、猫だとか、牛などの大動物の話ではなくて、こうした新しい分野に対する需要を満たすための人員をどう確保していくかということなのです。

  

○藁田課長 恐れ入ります。新しい分野といいますと、具体的に言うと。

  

○本間委員 バイオテロでもいいし、危機管理発生時の越境国際感染症だとか、そうしたさまざまなリスクに対応するために獣医師の増加は必要はないのかということです。 

 

○藁田課長 越境国際感染症、すなわち海外で発生しているリスクの高い家畜伝染病ということなのですけれども、これについては我々にとって農水省は、まさに根源的な政策課題でございまして、これについては、これまで全国の家畜保健衛生所と当方の動物衛生課が協力して既に対応してきているということでございます。 

 

○本間委員 獣医師は要らないのですか。 

 

○藁田課長 要らなくはない、現状で対応できているということです。 

 

○本間委員 今後の見通し、こうしたものに対する危機の増大ということをどうお考えかということです。 

 

○藁田課長 これは危機の増大というか、従来から海外でのリスクの高い伝染病を我々は非常に神経を使っておりまして、例えば今鳥インフルエンザ、これもアジア諸国で発生して、日本でも発生していますが、これまで我々は対応していますし、これからもしっかりと対応していきたいと考えています(#1)。 

 

あとは、食の安全も当然ながら獣医だけではなくて、いろんな分野の専門の方と一緒に対応しております。厚生労働省中心でございますけれども、当省もいろんな職種、専門家、当然ながら薬学系も人材として必要でございます、そういう人材と連携しながら対応してきておりますし、これからも対応していきたいと考えています。 

 

 

(#1) 農水省の担当課長は決して、委員の誘導質問に乗らずに、獣医師の数という問題には踏み込まずに、農水省の考えを説明しています。官僚としてはふつーに優秀です笑

 

 

 

文科省告示による学部新設規制の理由

  

 

○八代委員 文科省にお聞きしたいのですが、文科省が新しい大学を認めるときに、例えば教授の数とか教授のレベルとかということ以外に、この獣医以外では、その学部の卒業生の就職先があるかないかということを新設の基準にしているのですか。そういう例があれば教えていただきたいのです。医学部は別にして、例えば歯科医師などは別にそうしていると思いませんしという就職口まで考えて新設大学の認可基準に入っているのかどうかということです。 

 

○北山専門教育課長 お答えします。文部科学省の告示において新設を規制している分野として、歯科医師と獣医師と船舶職員というものがございます。 

 

○八代委員 逆に医学部はしていないのですね。 

 

○牧野課長補佐 医学部もしています。その就職口までをも設置基準なりに入れているかというと、そういうことはございません。 

 

○八代委員 就職口が問題ではなくて、では、何が問題で規制しているのですか。それは告示ですか。 

 

○北山専門教育課長 需要に基づいて、告示において規制をしております。 

 

○八代委員 では、法律ではないわけですね。小泉内閣のとき、そういう需給調整条項というのは一般的には廃止されるというはずだったのではないか。つまり、なぜかというと、どんな需要があるかというのは役所が判断するものではなくて市場が判断して、もし就職口が見つからなかったら、それは本人の責任というので、なぜその3つだけでやっているのかということです。特に公益性が高いとかということですか。 

 

 

 

文科省告示による獣医学部新設規制の根拠なし

  

 

○北山専門教育課長 国民の生命、身体の安全という健康という非常に大きな問題にかかわる職種であるからということと、いずれも6年制の課程で養成しているということがあろうかと思います。その6年制の学部を卒業することがそれぞれの国家試験の受験資格に直結しているという点が理由かと考えます。

  

○八代委員 だから、国民の安全に大事だったら、そちらの観点であれば供給側は、むしろ多いほうがいいわけですね。6年というのは、それだけ大事だからそうなので、今、農水省の方が言われましたけれども、大丈夫だと言い切れる根拠というのは何があるか国民の安全を守るためだったら、供給は多ければ多いほどいいわけですね。そのほうが競争を通じて質も高まるわけですし。

 

今の量だけで大丈夫だというのは、もう何十年前の知識を持った獣医でも新しいものに対応できるという前提になるわけですがそれが妥当なものか。こういう分野というのは日進月歩だから、それは新しい技術を学んだ医者が必要だという、質の問題というのは全く考慮されていないのかどうかということです。 

 

○原委員 どちらがお答えになりますか。 

 

○八代委員 その農水省のほうにおねがいします。 

 

○藁田課長 質の問題は当然大切な問題と考えております。文科省さんのほうでコアカリキュラムをちゃんとつくっていただいて、我々も当然ながら学校の教育を踏まえた形で獣医師国家試験を考えております。定の人材が確保されていると考えています。 

 

○本間委員 前も議論したと思うのですけれども、一定の技術といいますか、資格試験を与えているわけですね。とするならば、それは量的なことに関しては全く関与する必要はないと思うのです。だから、どんな人がどれだけ獣医学の教育を受けていようが、農水省が認めている基準としているものをクリアすれば、それは量的にコントロールする必要は農水省として全くないと思うのですけれども、いかがですか(#2) 

 

○藁田課長 この前もお話ししたかと思うのですけれども、獣医師国家試験は一定のレベルを超えていれば、それについては合格としておりますので、量的なコントロールはしておりません。(#3)。

 

 

(ブログ主注)(#2)の本間委員の「農水省の国家資格試験をクリアすれば、獣医師の数を制限する必要がないのではないか?」という質問に、農水省の担当課長は、(#3)のように、獣医師の数を制限する必要があるかどうかには直接答えていません。獣医師の数については、農水省の管轄外というスタンスです。

  

  

○八代委員 ただ、それは弁護士と逆で、弁護士は学部での調整はしていないけれども、司法試験で調整している。こちらは、いわゆる国家試験では調整していないけれども、事実上医学部で需給調整しているわけですね。それはボーダーラインの把握は難しいのですけれども、おっしゃったような国家試験レベルでは全然調整していません。それはわかりました。だけれども、制限(するに)して(も)何で学部のほうで調整しなければいけないのかということですね。文科省の方でも結構です。 

 

※()内はブログ主追加。

 

○北山専門教育課長 そこは私どもの間で見解が若干違うのかもしれないですが、仮に獣医系大学において需給に関係なく養成をするということにした場合には、現在の受験者より多大な受験者が国家試験を受けることになるということになりますが、毎年の合格者数が今より多くなって、その合否の判定というのを正答率でされているのではないかと考えているのですが、毎年輩出される獣医師数というのが増えてくるということになってしまうのではないかというように考えますが、それについて農林水産省さんとしてどういうように考えられるのかというところは、私どものほうから逆にお伺いしたいなと思います(#4) 

  

 

(ブログ主注)(#3)で農水省の担当課長が獣医師の数については農水省の所管外と発言したにも関わらず、(#4)で、文科省の担当課長は、しつこく蒸し返し、獣医師の数が増えるということについて再度、農水省の見解を問う姿勢を見せています。

 

 

○八代委員 まさに文科省の今のお話に対して、獣医が増えたら何が問題なのですかということをお聞きしたいわけですね。

  

○藁田課長 私どもが大学に関して我々に権限があるわけではございませんので、我々、需給の現状についてデータに基づいてお話しすることはできますが、先ほど言ったように国家試験について一定のレベルをクリアしたものが合格になると思います(#5)

  

 

(ブログ主注)(#5) のようにあいかわらず、農水省の担当課長は回りくどい表現をしていますが、結局、八代委員の「獣医師が増えたら何が問題なのか?」という質問について、答えるのは獣医師の質を管理している農水省ではないと答えています。裏を返すと、「獣医師が増えたら何が問題なのか?」という質問に答えるべきは、告示行為によって獣医学部新設規制をおこなっている文科省であると答えたのと同義です。

 

  

○本間委員 とするならば、獣医師養成大学の提案に対して、農水省さんからはそんなに聞くことはないように思います。つまり、今、どういう状態にあってどういう体制にあるかということだけお聞きすればいいのであって、獣医師は幾ら要るか、必要かどうかということは置いておいて、(農水省さんは)国家試験さえ通れば獣医師として認めるというお考えですから。

 

合格して生まれた獣医師がどういう活動をして、どのような職についてどういう報酬を得るかというのは、まさに市場の問題ですから、それは前もそういう議論をしたわけですけれども、獣医師の数を(国が)規制するという理由はない。規制するというのは全く我々にはわからないということです。獣医学部の段階で規制するという理由は、全く私には理解できないところなのです。 

 

※()内はブログ主追加。

  

 

 

獣医師の質の管理は農水省の仕事

  

  

○原委員 文科省さんの理由をもう一回おっしゃっていただけますか。 

 

○北山専門教育課長 獣医師養成では産業動物の診療、防疫、あるいは食の安全、人獣共通感染症対策といった公衆衛生の確保という国民の健康に直結する問題を扱うということで、無制限に養成するということが質の確保の観点から望ましくないという考えがあり、また、獣医系大学における教育というのは獣医師養成に特化しておりますので、卒業生の卒業と密接不可分であると考えております。その適正規模を検討するに当たって、やはり獣医師の各分野における社会需給の見通しというのを踏まえる必要があるのではないかという考え方から、獣医系大学の定員管理を行っているところでございます。 

 

○本間委員 質の管理というか、そこは全部農水省さんがやっているわけです。ですから、国民の健康、安全に対する確保というか、そのところは農水省さんの試験がある限りは、我々は確保されていると解釈するわけで、それを超えて例えば無制限にというお話をしましたが、無制限にたとえ獣医師が増えたとしても、それはそれだけの知識と技術を持っている人たちが増えるというだけであって、何ら国民にとって害のある話ではないと思うのです。 

 

○北山専門教育課長 それは獣医師国家試験に合格する獣医師がどれだけ増えても問題ないということかどうか、私どもは農水省さんのほうでのお考え、獣医師数がどうであるかということについてのことかと思います。(#6)

  

 

あと、もう一つは、現在、法科大学院の問題というのが大きな問題になってきておりますけれども、あちらについては、まさに法科大学院に入っても法曹資格を得ることができないのではないかという危惧を持っている学生がふえていて、今、法曹志願者の数が激減しているという状況でございます。一定の長い年数、6年という年数をかけて教育課程に入った上で、その目的としていた職業につけないという可能性が高くなってくるということがどういう影響を学生たちに及ぼすのかという点については、慎重な検討が必要かと考えます。 

 

 

(ブログ主注)(#5)で既に、農水省の担当課長が獣医学部新設を規制することによって獣医師の数をコントロールしなければいけない理由については獣医師の質を診ている農水省はあずかり知らぬところと答えているのに、(#6)で、なおもしつこく農水省に獣医師数が増えてはいけない理由を求めています。WG委員も農水省の言い分を認めており、完全に文科省の負けです。

 

 

○本間委員 それは大学の方針と運営の間違いであって、ロースクール(卒業者の司法試験)の合格率が悪いということは、国民に何の被害も与えていないと思います。それは予定している就職ができなかったとか、予定していた資格が得られなかったというだけであって、それは就職試験に失敗する学生がたくさんいるのと全く同じ話であって、それを文科省が心配される話ではないのではないか。

 

 

※()内はブログ主追加。 

 

  

○原委員 確認ですけれども、獣医師の場合は法曹資格とは違って人数制限はしていなくて、点数をクリアすれば受かるわけですね。だから、今の御心配はないのです。 

 

○藁田課長 受験生の質によって合格者数は大分変わってくると思います。我々、国家試験では一定のレベルを必ず求めますから、そのレベルを超える受験生がどれだけいるかという問題だと思います。

 

 

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『獣医師国家試験は一定のレベルを超えていればOK 2年前の国家戦略特区WGヒアリング(その3)』

http://ameblo.jp/brendy6m/entry-12284136272.html

に続きます。