社長は顔が10割 | 舩木俊介 『かつて未来とよばれたソサエティ』

社長は顔が10割

Economist.comの「Face value」より。どのように行動するかは見た目で分かる、つまり会社の業績はボス(社長、CEO)の顔で決まるというきわどい話が載っています。

要約すると、
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当初、エール大学とピッツバーグ大学で「会社の成功」と「社長のパーソナリティ」の間に相関性があるかを調査した。しかし、個性(エキサイティングなビジョンを語ることや人を惹きつけるような振る舞い)と業績にはなんの関連性も見つけられなかった。

一方、Ambady博士は数年前に、講義を撮影したフィルムをたった2秒見るだけで、人々はその教授が優秀かどうかを判断できることを発見していた。その研究を発展させて、フォーチューン1000リストの業績上位25社と業績下位25社のCEOの写真を100人の学生に見せて調査したところ、その学生達の観察があまりに正確なので驚き、研究の結果(Psychological Scienceで発表される)として「CEOの顔の第一印象と会社の利益の間に相関が見受けられた」という。

「仕事がデキそう」、「威厳を感じる」、「成熟した顔つき」といった印象のCEOの業績は良く、「親しみやすい」、「信頼できそう」という印象と利益とはあまり関係がなかったということ。

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時々、人材採用をしている人が「結局は顔に出るんだよ」と言うけれど、人間というのは今までやってきたこと、今後の可能性、能力、性格、自信なんかをまとめて「顔つき」としてパターン認識しているので、第一印象が物語ることは意外に多いと思う。

こういう救いどころのない話は好きだなあ。顔で決まるなんて言ってしまったら、仕事ができなさそうな顔の人は整形でもするしかない。でも、たしかに顔は重要な情報源だ。

「努力すれば夢は必ず実現する」という類の話は、自己啓発マニアにウケはいいけれど、努力というのは「個人的な活動」、内に内にへと向かう話だから現実の世界で考えるとちょっと甘すぎる。

自分の力だけで出来ることは限られてるので、現実には自分以外のことの方がより大切で、特に優秀な人々と知り合うことや他人の評価などは、見た目や雰囲気といった要素が大きな意味を持ってくる。(当然、中身が無ければ人間関係は続かないけれど。)

なので、社長の主な仕事をネットワーク作りやマーケティング、顧客の開拓・掘り起こしなど「外向きの活動」だと考えれば「仕事がデキそう」な顔の方が有利で、またそうやって外部に作ったネットワークが社内的にも大きな影響を及ぼす。業績が顔で決まるといわれても不思議でもないわけです。