BANDIT #1 | すかいうぉーかー

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND







檜原街道は、5月のベストな陽気




一晩で下がり切った山の気温と
暖かい初夏の光


次々に現れるカーブの連なりを舐めるタイヤからの情報に神経を集中させてくれる
1年でも、最も走りやすい時期





奥多摩に行った事がないというSと、八王子第二で待ち合わせ

最近、宅配便のスクーターか何かと接触事故を起こしただとかで
あまり元気が無い


まあ、どっちにしろ引率なのは同じだ
ミラーから消えないように注意しながら

武蔵五日市→十里木と、余裕を持って車をパスしながら 自分のウォームアップもして行く



合わせているとは言え、そこらの馬の骨に比べれば充分なスピードだ

檜原街道は、奥多摩に近付くにつれて タイヤをガッツリ乗せられるようなバンクが増え
どんどんリズムが良くなって行く




直線の加速をそこそこに抑えながら

タップリと余裕を持って、軽くアクセルを戻すだけでカーブに入り


Rに対して、速度とバンクさせる量と どうやって態勢を作っているのかを自己分析



勘と経験で勝手に出来上がった物だが

自分はこんな事やってたんだなぁと





心地よい気温の中、そんな事を思いながら走るのも 
なかなか楽しかった







特にトラブルもなく

半分ボケっとしながら、徐々にペースは上がって行く





ミラーの中




成る程
今日は本当に調子良くなさそうだ




まあ、そういう浮き沈みも通ってこその若さである

バイクなんて、乗ろうが乗るまいが誰も責めやしないのだから
せいぜい悩んで、また乗りたくなったら乗って

降りたくなれば降りて

10年後にどうなっているかは誰にも分からない





「おっ」




見慣れた

白い 塗装の剥がれたゲート跡




あっという間









俺は、軽く伏せるとアクセルに喝を入れ



嘘みたいに綺麗になり始める路面を蹴って

一気に都民の森まで駆け上がった




(続



 













Android携帯からの投稿