Parachute Limit | すかいうぉーかー

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND
















「・・・!?」





両側にかかる深い緑の壁を抜けた瞬間に、目の前に天界が現れた







CBR400RRのタンクに押し付けた内股から 確かな手応えを感じながら
左に向かって駆け下る美しい灰色の路面に意識を飛ばし


吸い付くように応えるサスとタイヤに






(頼むよ!)




アクセルから、風が巻き起こる


竜神の背のように、うねりながら伸びる尾根沿いのスカイライン


巨大な積乱雲と、青空に抱かれて
光るアスファルトが、ミナの五感を抉じ開ける





天井知らずに吹け上がるNC23

全身を包むカムの音と、空気の渦がシンクロし


回り込みながら登る右カーブに、ボトムしたフロントを打ち込んで
ズラした腰がシートの角から、確かな手応えを



飛ぶ


天に向かって










仕事を辞めた



後ろめたさと 先の見えない不安と

何かが音をたてて崩れた喪失感







だが





朝は来る

腹も減る



そして、世界はなにも変わらない

















じゃあ、どうする?










CBRは、変わらずにソコに居た







ギアをローに入れ

クラッチをゆっくりと解放すれば、世界は動き出す











停まってる暇なんか、無いの







全開


流れ出す時間

少しでも気を抜けば、次のコーナーが目の前に迫る





右手を握れば、頼もしいナイトはフォークを沈ませ
その手に大地を掌握して、次の命令を待つ



"決めるのは アナタだ" と









行く



行くよ まだ先に






剥がれ落ち

軽くなっていく心




鋭くバンクして、イン側を睨み

キンキンに張った回転数で、眈々と待つ



曲率が弛む




「行け!」











どこまでも



























走るのは 自分だから








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