赤毛のケリー #6 | すかいうぉーかー

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CRAZY=SPELL−BOUND

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「・・・・・・!?」









9号 新木場線

真っ二つに断ち割られた、長く大きな右を抜け
江戸川沿いに湾岸まで抜ける、夜のパノラマが広がった


下りながら飛び出したトウコの感覚に、それまでと全く違うアスファルトの蛇行が見えた






(何コレ・・・)





瞬間

体が先に反応していた


何をどうするかが、既に決まっているような




湿った夜気を切り裂いて、一瞬で吹けきった心臓に3速の自由を与え
右いっぱいから駆け下りながら、左のクリップを突く


立ち上がりに、ラインの“弛み”が全く無い


加速に心が退かない



ほの暗い夜の腑が、鋭い爪のような一撃で綺麗に両断される






「・・・!!」




考えるより先にギアを上げていた

あくまでも、停滞泣き流れ



視界が狭まっているのが分かる
飲み込まんとする奔流が、自分が作り上げているのだと分かる





“1000ccあってもイイ”





足りないのでは無い


まだ幾らでも





過去の記憶とは全く違う“餓え”




何処を走っているのかが分からない

左右の切り返しは1つのS字に化け

あれだけ遠かった直線が、一瞬の“待ち”に変貌する




時折現れては消える車が、後方へ飛び去る











あれ?



アタシ

あの2叉を知って・・・








湾岸



ステップから火花を上げて立ち上がる











何?


何でこんなに





3車線をフルに使って、7~8台の車を“除け”ながら


次のカーブが待ち遠しく感じる




虹橋

芝浦



汐留の、ラインを選ぶダンス



新富町を跳び

京橋のアップダウンにタイヤが吸い付く





江戸橋の左でサスがギッシリと詰まったコーナーリングに、全身を歓喜が突き抜ける











(アァ・・・・)


















代官町から左カーブに飛び込んだ瞬間


















トウコは全てを理解した




(続